追跡
元の場所に戻ると自室に戻った。
結構魔力使ったな。
ゆっくりと体を休めて魔力の回復に専念していた。
コンコン、ドアの音で気がついた。
「マリー様、失礼します」
「エブァンどうしたの?」
「いえ、先程から呼んでいたのですが返事がなくきました」
「そうだったの、今魔力回復に専念してたから気がつかなかった」
「そうだったんですね」
「クオンから連絡が入り、猛獣の親子がクオンの配下になりたいと来たそうなのです。それで話を聞くとここに来るようにと言われたとの事で、言われた人の特徴を聴くとどうもマリー様ではないかと思い聞きに来た次第なのです」
「それ、私よ。クオンに配下に入れてもらおうかなーって思ったのだけど、気分が変わった。クオンに任せる事にしたわ。私が入れろって言ったら入れるでしょ、それじぁつまらないわ、クオンの判断に任せた方が面白いと思わない?」
「それはそうですが、マリー様の思うままにしたらいいと思うのですが」
「それなら、クオンに任せる。もし配下に入れないのなら、猛獣区のクオンの縄張りに住まわせて欲しいのよ。
保護してくれるだけでいいから」
「わかりました、クオンにはそう伝えておきます」
「これから、厄介な事をしないといけないから、もう少し魔力を回復しておかないといけないの」
「わかりました、しばらく配下には離れてもらうよう伝えておきます」
「そうしてくれると助かるわ」
数時間が過ぎた頃
やっと回復した。
体を伸ばして一息をついた。
部屋から出ると食事の支度がされていた。
「マリー様、お疲れ様です。よかったらこれ、子供達と一緒に作ったものになるので食べてください。お口に合うかはわかりませんが」
「リリィ本当にすごいじぁない!いただくわ」
食べたらすごく美味しかった。愛情がこもっているのがわかる。
「美味しい。今度子供達にお礼しないとね」
「いえ、それは子供達からマリー様にお礼がしたいからって作った者なんですよ」
「そうなの、こんなに美味しいんですもの、他の配下にも食べさせてあげたいわね」
「それが」
「もしかして食べてたの?」
「ええ、マリー様がお忙しいとの事でみんなで食べたのです」
「それならよかった」
「リリィ悪いけど、エブァンを呼んでくれない」
「はい、ただいま」
「マリー様、失礼します。お呼びとの事で参りました」
「エブァン、これより追跡を開始します」
「追跡?一体何の追跡ですか?」
「決して手にしてはいけない知識を奪いに行きます」
「知識ですか?」
「そう、それは異世界にあってはならない知識。この世界に混沌をもたらす知識。だから私が管理して表に出さないようにしなくてはなりません、それは物達の王である私の役目」
「エブァン、他4人を呼びなさい。手伝わせます。この世界がなくなったら嫌でしょ?物達にも手伝わせる、集合場所は、異空間球体のある場所よ」
「わかりました」
一体何が起きているというのだ。
マリー様は静かに怒っているみたいだけど。
とにかく呼んで手伝っている間にわかるだろう。
急いで配下4人を呼び出した。
ーーーみんないるよね
(いるよ)
ーーー聞いてたでしょ
(うん、もちろんだよ、手伝うから、私達頑張るね)
ーーーありがとう、早速だけど全ての物達に通達、追跡魔法に取り付いた者達に取り憑いて欲しいのよ。
(それってもしかして)
ーーーそのもしかしてだよ
(でもそれしたら……)
ーーーわかっている、魂にある知識がなくなるんでしょ
(そうだよ、分かってるなら、それしたらただの人形になちゃうよ)
ーーー空の魂の中に学民のかけらを入れるのよ。そのあと物達が回収した知識の内大事な物だけ抜き取り残りは返すから、それなら特別な事をしなくても人形にはならないでしょ
(確かにそうだけど、かなり難しいよ)
ーーーやるしかないんだよ。わかっているでしょ
(そうだね、そうしないと僕らはまた知識を持って漂うことになるからね)
ーーーその通り。頼んだわよ。
(はーい)
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「皆揃いました」
「ありがとう」
球体がある異空間に移動したのだった。
「これより知識の追撃を始める。その前に確認をしておくわね。
ここら一体を守る配下を配置してあるか?
防御魔法の強化をしてるか?
撹乱魔法を強化しているか?
ここの特定をされないようにされているか?
聞くまでもないが、トップが集まるということはそういうことができてここに集まることができるのよ。大丈夫ね」
「大丈夫です」
「俺の方も大丈夫だ」
「私の方も大丈夫よ」
「私の方もつつがなく問題ありません」
「マリー様、皆がこう申しており私も準備は万全です」
「ならいいわ、追跡をするにあたって皆に追跡魔法が見えないと困るの。そこで刻印を手の甲に施します。そうすれば私がばらまいた追跡魔法が見えるようになります」
「それはどのようなものになりますか?」
「説明するよりも、使った方がわかるわよ」
手の甲に刻印を施していった。
「使い方は簡単、刻印の印に手を乗せて魔力を注げばいいの」
「やってみます」
「何ですか?この無数の数は?」
「これは、ある特定の知識を持っている民に着くようになっているの、その者を見つけ出して、知識を奪うのが今回目的なの」
「みんな探して、自分達の居住地でいいのよ、あとは私が探すわ」
「頼んだわよ」
「は!」
配下達は自分の居住地に向かった。
私は地下に向った事にした。
ーーーーーーーーーーーーー
エブァンは川の底にいた。
マリー様はとんでもない物を作り出した者だな。
この数とんでもないぞ。
目の当たりにしているのは、花粉よりも小さな追跡の魔法が漂っていることだ。
誰にも気がつかれない程だ
追跡の魔法は本来それを出した本人がそれを維持なくてはならないのだが、目の前に漂っている魔法は違う。
追跡のみをする為かただ漂っているだけで、魔力を使わない、その為維持は必要ないし、見つけたらその者にまとわりついて離れることはない。魔力もまとわりつくだけの分て言い訳だ。
他の者がこの術を編み出すのにどれだけかかるか。そう思うだけですごいのだ。
さて、この中にいるか、探さねばならないか。
川の底といってもかなり広い。
その広さが10キロにも及ぶからだ。
隅から隅まで調べるとなると結構時間がかかる。それでも探さないといけない。
とにかく隅の方までまずは行くか。
しばらくすると隅までやってくる。
飛んだ方が探しやすいか。空から探すことにした。
飛んでわかったがこれはこれで広すぎだ。よくキュウのやつ結界を維持し続けられる感心する。
あいつがマリー様の配下だった事を知ったのは最近の出来事だ。
俺ですら、知らなかった事だしな。
空を移動しながら、探していると
「エブァン?今日はどうしたの?」
「キュウか」
「うん、なんか深刻そうな顔してるからずっと話しかけられなかったんだよね」
「マリー様に重大な頼まれごとをされたな、それをしている最中だ」
「そうなの?、もしかしていっぱい変なのが漂ってるのと関係しているとか?」
「キュウ、見えるのか」
「見えないよ。ただ何か浮いているのはわかる程度。昔からここにあるかのように漂っているんだけど、これはきっとマリー様が何かしたのかと思ったんだ」
「それもわかるのか?」
「魔力がマリー様に似ているのもわかるよ。それ以上は、流石の僕でもわからないや」
「そうか、話はこれくらいにして、俺は急いでいるんだ。作業に取り掛からせてくれ」
「エブァンそれ、僕にも手伝えないかな?」
「そうか、結界の王なら、できるかもしれないな」
「やってみるよ、出来るかはわからないけど」
「それじぁ頼む」
「手を出して」
キュウは、手の甲の刻印に自分の手をかざした。
キュウのやつ、なにやらぶつぶつと言い出したぞ。
マリー様はすごいな、こんなの俺でも作れないや。
刻印の仕組みを解読していた。
ここがこうなってて、これと、これが合わさるんだね。
あとはそれと、これを合わせれば完成かな。
自分の手の甲に刻印を起動してみた。
「出来たよ、これで1発でこの中ならわかるよ」
「本当か」
「うん、ちょっとまってて」
「わかった、助かる。もう一箇所回らないといけなかったからな」
キュウは結界に接続して探していた
「1人いたよ、でも?」
「でもなんだ?」
「それが魂のない人形みたいになっているんだけど」
「なんだと、マリー様に確認を取るから待っててくれ」
エブァンはマリーの元へ急いだ。
「マリー様」
「エブァン、どうしたの?」
「1人見つけたのですが、キュウが妙な事を言いまして」
「妙な事?」
「はい、キュウが言うには魂のない人形みたいだと言っていました」
「ごめん、ごめん説明してなかったわね。それでいいのよ。そのままその人捉えて結界内に閉じ込めておいて。保護も忘れずにね」
「わかりました、他の配下にも伝達しておきます」
「悪いわね、頼んだわよ」
「は!」
「キリウス、聞こえていただろう?」
「わかっているわ、伝達しておくわ」
「宜しく」
エブァンは、元の場所に戻った。
「キュウ、それでいいんだってよ。ついでに保護と結界そいつにかけてくれ、そのまま連れて帰る」
「わかった」
キュウは、魔法を施して、エブァンの元に連れてきた。
「キュウ、助かったよ。これで次に行ける」
「エブァンも大変だね」
「そんなことはない、マリー様の方が休まないで働かれているからこの程度なんともない」
「たしかに、マリー様働き者だもん」
「そういうことだから、俺からお礼を考えておくよ」
「それならさ、川の結界維持しなくて済むようになったらいろんなところに連れて行って欲しい」
「そんなことでいいのか?」
「それがいいんだ」
「わかった、その時を楽しみにしてる」
「僕の方こそ楽しみにしているよ」
エブァンは、川の向こう側に向かった。
「アイシェいるか?」
「エブァン様、どうかなさいましたか?」
「悪いが、こいつを見張っておいてくれないか?」
「わかりました、見回りは特に以上はありません」
「そのまま継続しててくれ」
「わかりました、エブァン様はどちらへ」
「次の場所に向かう、頼んだぞ」
「はい!」
エブァンは魔物の森奥地に足を運んだ。
ここからが本番だ。
エブァンの目の前に大木がそびえ立っていた。木より小さいが、それでも2番目に大きい木だ。
手を木に添えると魔力の流れに集中し、刻印を発動した。
木があるところ全てが手に取るようにわかる。それを利用して探して始めた。
木々には取り付いて無いようだな。
それなら、あそこに行くか。
次に向かったのはフロンツメーの場所だった。
植物の生みの親、ここから植物達が生まれてくる。
細かい花粉はその土地に落ちるとたちまち植物が生えてくる。
生えない場所も存在するがそれ以外は生えてくる。
フロンツメーの力を借りて、探させてもらう。
フロンツメーは言葉を話さない。
同じ緑のものでなければフロンツメーの発している信号を読み取れない。言葉とは違ってその信号を読み取ることで信号を言葉として捉えることができる。もちろん、自分達も信号を出せば言葉として捉えてもらうことができる。
「エブァン、久しぶりね」
「フロンツメー、久しぶり。こないだは大変だったようだな」
「あの時は、私が結界貼り忘れて捕まってしまってもう無理だと思ってしまったのだけど、マリー様の配下が助けてくれたのよ。ありがとうって言っていたのだけど、やぱり緑ではないから伝わらなかったようだけど」
「俺から伝えておくさ」
「どうせ話せるの緑だけだからね」
「もしかしたらマリー様なら、話せるかもよ」
「そうかも、話したことないけどね」
「今度、連れてきてやろうか?」
「本当?」
「お前が望むならな、もともと人との関わりを避けてるだろ」
「確かにそうよ、だってこないだみたいに鉢に植え替えて、透明な容器に閉じ込めるんだよ。昔に何回も捕まって 生まれ変わりを繰り返したの。本当に嫌だったわ」
「だから本当にいいのかを聞いている」
「マリー様は、そんなことしないと思えたの。これで最後、これが本当にダメなら二度と人とは関わらない」
「お前がそれでいいのであれば、ここに今度連れてきてやるよ」
「うん、楽しみにしてる」
「ああ」
「それで今日来たのは他の用事だったんでしょ?」
「そうだ、少し力を貸して欲しいんだ」
「いいわよ、何をすればいいの?」
「植物達とお前は繋がっているだろう」
「もちろんよ」
「そこでだ、それを利用して探し出してほしい人物がいるのだが、俺の刻印とお前の繋がりを通して探す」
「特徴とかあるの?」
「説明するよりもやった方が早いんだ。頼めないか?」
「構わないけど、説明くらいはしてほしいな」
「時間があまりないんだ、やりながら説明する」
「わかったわ、エブァンの頼みだもの、はじめましょう」
「助かる」
エブァンはフロンツメーに触れると刻印に触れ作業を開始した。
それと同時に説明も行なっていた。
「なるほどね、それなら花粉に乗せて探したら?」
「花粉を飛ばす時期ではないだろう?」
「大丈夫よ、今漂っているのは私の植物達にもわかるようにしてあげれば、人物特定がしやすいわよ」
「やってくれるか?」
「任せて、一緒に探すわよ」
植物と繋がりを感じながら探した。
「いたわよ」
「どこだ?」
「川の向こう側、結界のさらに左奥に建物があるのその中に5人いるわ」
「そんな所に、隠れていたのか、でも変よ」
「いいんだ、マリー様がそれでいいと言っていた」
「なんか怖いわよ、あれ。それにみんな地下に降りて行ったみたいよ」
「なんだって、急いで向かわないといけないな」
「これで私が分かる範囲全部見たけどあれだけだね」
「そうか、助かったよ。これでほかのやつらの手伝いに回れそうだ」
「役に立ったみたいで良かった」
「ちゃんと約束は守るからな、マリー様をここに連れてくる」
「約束よ」
「ああ、約束だ。俺はそこに向かわないといけないから、また、今度な」
「ええ、また今度」
エブァンは、川の向こう側左奥地に向かう事にした。
ーーーーーーー同時期ーーーーーーー
ファティマが魔女の森に足を踏み入れた頃
「ファティマ、マリー様より伝言です」
キリウスが水の玉をファティマの前に飛ばしていた。
「どうしたの?」
「見つけた者には、魂がない人形になっているとのこと。保護、結界を施し捉えて連れてくるようにとの仰せです」
「キリウス、わかったわ。わざわざありがとう」
「では、自分も探しに行く」
「ご苦労様、キリウス頑張ってね」
「ファティマこそ」
水玉は大地へ吸われてなくなった
作業に入る前にちゃんとやっているか見回りをしないとね。
森を散策していると
「ここに立ち入ってはいけない」
背後から声をかけられた、振り向くと魔女が立っていた。
「そうなの?でも私女やよ、それでもダメかしら?」
「魔女になりたいものは拒まないが、本気かどうか試させてもらわないといけない」
「構わないわよ」
「ここで試させてもらうわ、いくわよ」
魔女は、ファティマに向かって、攻撃をしはじめたのだ、
可愛いわね、この魔法私好きよ。
いろんな属性の魔法を繰り出し、攻撃をしているのだが、全く効かない。
手で払いのけるだけ、その場から動くこともなく相殺していた。
相殺するように手に魔法をまとわせている。
どうなっているの?こんなにも強い人が魔女になりたいなんておかしい。
何かあるに決まっている。応援を呼んだ方がいいわね。
しばらくそれが続くいていた、その頃になると、なんか増えてない?
かなり、強い魔法になっているんだけど。
側から見ると、かなりの攻防になっているのだけど、ファティマは涼しい顔をしながら相殺。
そろそろ飽きてきたし、そう思っていると
「皆者も、控えよ」
その声と共に、攻撃が止む、魔女王が姿を現した。
魔女王がファティマの前に行き跪いた。
「魔女王様なにをなさっているのですか、そんなことをなさらないでください」
「お黙り」
配下を黙らせると
「ファティマ様、お久しぶりでございます」
「あなたも元気そうでなによりです、ちゃんとここを守ってくれる事嬉しく思いますよ」
「!?」
その会話を聞いた魔女達は、一斉に跪いた。
「ファティマ様とは知らず申し訳ありません、この失態をどう償えば」
「黙りなさいと言っている」
「!?」 沈黙する配下
「それで、今回は視察でしょうか?」
「いいえ、話は城についてからゆっくりとするわ」
「わかりました、案内いたします」
「みんな、これからもここを宜しくね」
「ファティマ様より、お言葉をいただいた。精進せよ」
「は!」
魔女王と共にその場を後にした。
あのお方がファティマ様なのですね。
今までの魔女王の中でも一番強いと言われていた方よ。
そうなの?
あなた知らないの?
ここの森を拡大したのもファティマ様らしいわよ。
そうそう、もともとここは500メートルくらいの小さな森だったのよ。それを今や5キロまで森を増やして住処にしたのはファティマ様だって噂よ。
それ本当?
年老いた姿をした3台目魔女王が現れた。
「お前たち、噂ではない事実じゃよ。いい加減無駄話をしてないで持ち場にお戻り」
「は!」
あれ、本当だったんだ。
配下達は、即座に持ち場に戻っていった。
やれやれ、ファティマ様にも困ったものだ。配下を試すなら言っておいて欲しかったものだ。
それにしても、立派になられて魔力もここにいた時より増しているようだのう。
私もあと300年早ければファティマ様位まで行きたかったのう。
後処理をし、その場を後にした。




