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「もしもし、神様相談事が」

 どうも、神様です。

 名前?無いです。神様です。


「神様~」


「なんだい神様」


「また地上の子から電話が来てるんだけど」


「わかった、変わろう」


 どうやら迷える子羊がまた神様に相談事らしいな。


「ここ日本なんで迷える子羊とかやめてもらっていいっすか~」


「はいアーメン。アッ間違えた……はいもしもし神様です」


「話聞いてねぇ」


『あっ、もしもし、あの将来の事について相談したいんですけど……』


「はいはい、どーぞ」



 ここ神様相談窓口では地上に蔓延(はびこ)る「蔓延るとか言わなーい」……地上で生活している人達の様々な相談事を聞いている。

 とは言ってもその人が直接電話してきてる訳じゃ無く、魂が肉体を離れて相談してるんだけどね。

 無意識下で行われるその相談は大小様々。 中には色恋沙汰だってある。

 君ら思い立ったが吉日って言うだろ? あれ行動する前に一回魂が相談してっからね? 無責任に行動すんなよ?


 とまぁそんな具合で今日も相談事って訳だ。


『僕将来の夢が世界を旅することなんですけど……周りに凄い反対されるんです……』


「あーそうねぇ、よく自分のルーツ探しに行くとか言って故郷離れて外国行くバカみたいな例がいっぱいあるからねぇ」


『僕は世界の色んな所を見て回りたいんです! なのに就職した方がいい、人生無駄になるとか言われちゃって……』


「まずは本気な所見せないと。 お金はどんくらい貯めてるの?」


『お金は貯めて無いんですけど……マジックの練習して、そのパフォーマンスで稼ぎながら旅しようかと!」


「……スーッ」


 来ましたねこのタイプが。

 でももしかしたら本当に才能あっての発言かもしれません。

 まだ考え無しのアホと決めつけるのは早いです。


「じゃあ外国語はどれくらい喋れるの?」


『マジックに国境はありません!』


 アホ確定だ。

 移動手段、宿の確保諸々の事なんて微塵も考えていやしない。

 だが夢は夢。 ここはしっかりそのための過程というものを教えてあげないと……


「世界は君が思うよりも厳しい。今のままじゃ野垂れ死にするだけだよ。

 準備してからでも遅くないんじゃないの?」


『でも……少しでも早く旅に出て少しでも多く色々な事を知りたいんです!』


「まだ時間はたっぷりあるさ。 君は今何歳なんだい?」


 頭がスッカラカンだが情熱だけは大したもんだ。

 しかしお金を貯めて無いという事は学生だろう。まだやれることがあるという事を教えねば。


『34歳です!』


「就職しろクソニート」ガチャッ


 こんな具合で俺はこの仕事をこなしている。

 今みたいな奴にはストレートに物言うのが一番。


「いやぁ、やりがいのある仕事だ」


「ホントに相談事聞いただけだけでよく言うね。

 解決させる気とか無い癖に」


「ゑ?」


 何を言ってるんだこの神様は。

 こんなにも熱い気持ちで仕事に取り組んでるというのに。


「腹減ったな飯食うか」


「神様はお腹は空きません」


 何か言ってるがちょっとよく聞こえなかった

 カップ麺でも食うか。


「君くらいだよ、毎日欠かさずご飯食べてる神様は」


「健康的でありたいからな」


「じゃあカップ麺食ってんなよ」


 ちょっとよく聞こえなかった(重要)

 お湯を入れて三分待つっと。



 プルルルルルル


 おいおいお邪魔虫か?「どう考えても相談の電話でしょ」


「チッ……あっ、〈ガチャッ〉はいもしもしチッ」


「なんでわざわざ相手に聞かせたの!?」


『あ、あの相談なんですけど……』


「三分間だ」


『え?』


「三分間聞いてやる」


「いや最後までしっかり聞けよ」


『その、俺好きな人が居るんですけど……』


 恋愛がらみかよ~~~。しかも男。

 こう言うの長いんだよなぁ……さっさと切り上げるか。


「はいはい、告白する気は?」


『えっ!? そ、そんなのしても迷惑っていうか……』


「好きなんだろ? なら告ろうよ」


『む、無理ですよっ! だって……』


「だってもくそもあるかよ、付き合いたいんじゃないのか?」


 だーっこいつ意気地なしだなぁ、頑張るって言えばそれで終わんだよカップ麺伸びるから早く決断しろよアアン?


『でもっ、彼に迷惑は……』

 ガタガタッ


 おっ? こいつ今彼っつったか?


「え? 好きな人男子?」


『は、はい……やっぱり変ですよね……』


「いや~っ、ま、ちょっと言ってみないとわかんないんじゃないの~?」


 プルルルルル


「はいもしもし神様です」


 あいつにも電話かかってきたか。

 さ~てどうしようかこれ。

 ちょっと難しくなってきたぞ~。


「えっ? 同じクラスの男子が気になってる?」


 あっちも恋愛沙汰か~……

 とりあえずこっちもさっさと蹴りつけるか、


「その子がそっち方面に理解のある子かが問題だよねぇ~」


『でも……一応この前何人かで海に遊び行ったとき、手を繋いだんですよ』


 おーいおい結構行ってんじゃないのよぉ~

 期待しちゃう流れやないのよぉ~


「手を繋いだ? 海で? それは脈アリじゃないの?」


 なにっ?


「おい、こっちの子も海で手を繋いだって……」


「えぇ!? いや、まだわからないまだわからない……」


「そうだな……」


 そうだ、落ち着け。

 ピンポイントで渦中の二人が同時に相談してくるなんて……

 世界は広い。こんな偶然中々あるものでは無いのだ。


「次遊ぶ予定は?」


 と聞きつつ隣の神様に目配せする。

 暗に同じことを聞けという合図だ。

 それが伝わったようで、頷いた後無事同じ様な事を聞いているみたいだ。

 後はその返答次第!!!


『あ、でも今度花火見に行こうって……』


「ほうほう花火ねぇ」


 隣を見ると奴はサムズアップしている。

 どうやら一致。

 だがまだだ、決定的では無い。


『で、うどん食べながら花火みたいねって……』


「「何故うどん!?」」


 被った声にバッとお互いを見合わせる。

 どうやらこの珍妙な答えは一致してしまったらしい。


「どうやらビンゴのようだな」


「そうだね、この答えが一致するとなれば」


 よしそうと決まれば、


「おい、安心しろこの恋は成就する」


『え!? 本当ですか!?』


「あぁ、神の名に誓ってな」


『よ、よかった……じゃあ今度の花火大会、勇気を出して告白してみます!!』


「頑張るんだ、アーメン」


 電話を切ると隣の神様も清々しい顔をしていた。


「いやぁ、いいことをした後はいい気持ちだな」


「全くだね」


「しかし彼みたいな子ばっかりだと、日本はますます高齢化社会に……」


「まぁまぁ、今回は彼女の方も乗り気で結果的には結ばれるんだから、いいじゃないんですかね?」


「え? 彼女?」


「え? そりゃそうでしょ気になる男子が居るって話なんだから」


「……」


「なになに、怖い怖い」


「さっきの子が好きなのもね、男子なの」


「え!? 嘘!? そういう事!?

 いやいやいや!!! 分からないってそんなの!!! 言ってくれないと!!!」


「麺が伸びてら」


「オオォイ!!!」


 ズルズルズル

 ふ~

 今日も平和ですなぁ。


「もっと真面目に仕事しろぉ!!!!!」


 花火見ながらうどん食うやつ、結構いるのかな……

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