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カウントダウン
ものの30分、青年はパチンコ店をすでに後にしていた。
1時間前までのワクワクは何だったのだろうか。
そう思うほどあっけなく青年のなけなしの1万円札はパチンコ台横のサンドに吸い取られていった。
駐輪場でバイクにまたがりながらスマートフォンをいじりながら、店に入った時に買った微糖の缶コーヒーの残りを飲みながらタバコに火をつける。
『クソが…。遠隔だろあんな店。』
ボソリと呟く。
そう思うなら行かなければいいのに。
目の前を歩いているギャンブルとは無縁そうな大学生と思しきカップルに言われている気がした。
もちろんそんなものは被害妄想だ。
財布の中を見ると5千円札が2枚。
『いよいよやべぇなこれ。』
財布の中身を見た。
財布の中身=全財産である。
若干の焦りを感じて年季の入ったバイクで家路に着いた。