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最底辺への近道
平日だと言うのに家の近所の商店街の入り口は人が多く騒ついていた。
青年はその人混みの端っこの赤いコーンで区画された駐輪場にバイクを止めた。
まだ9時前なのに、この周辺だけ異様な熱気だ。
その証拠に商店街の奥の方を見てみると人などまずいない。
たまに見かけるのは通勤通学途中の人間だけだ。
この人たちを見るとすごく自分が惨めになる。
そう思ってしまうと自然に目を伏せてしまう。
負い目に感じているなら来なければいいのに。
そう目を伏せていると目の前にいた背の高い正装の男が腕時計を見て満面の笑みでこう言った。
「皆さま!おはようございます♪整理券番号の順番にお並びくださいっ!!!」
すると、目の前にたくさん散らばっていた人たちはその声を合図に一列に綺麗にならんだ。
そう、ここはパチンコ店だ。
この青年が言う仕事とはパチンコのことだ。
青年は整理券を持った人間がぞろぞろと店に入って行くのを見てから店に入った。