8.ティラノサウルス(仮)
今日も読んでくださってありがとうございます!
投稿予約できてない時は今回のように深夜に投稿することもあると思います。
よろしくお願いします。
帰り道、少しばかりモンスター討伐と採取を行って無事に居住区へと帰ってきた。トイレ休憩も兼ねて居住区に入ったところで一度ログアウトする。
WWOでは公式の掲示板が実装されているため、ログインしながらでも掲示板の確認や書き込みができるようになっている。もちろんログアウトしている状態でもネットから掲示板の使用はできる。そのため、麦茶を飲みながら掲示板にさっと目を通していく。ティラノサウルス(仮)の正体が気になって掲示板を覗いてみたが、それらしき情報は挙がっていなかった。
なんでも、攻略組は現在崖沿いを進んでいるらしく、森の奥の探索はあまり進行していないそうだ。β版では多くのプレイヤーが、まず森を探索すべく走り回ったのだが、あまりに広すぎて結局森を抜けることができなかったそうだ。ただ、βプレイヤーの何人かは崖沿いを進んで、別の居住区を発見したという報告があり、今回は崖沿いをまず進んでいるんだと…。βプレイヤーの情報交換スレも見てみたが、β版での森の出現モンスター情報の中にティラノサウルス(仮)の情報はなかった。
掲示板は基本見る専門だから、あのモンスターのことを書き込んだ方がいいのか迷う…。一回ギルドの受付嬢にでも話して反応を見てみようか。あ…でも、どうせギルドに行くならクエストも進展させていた方がいいかな…。こういう時優柔不断な性格がモロにでてしまう。
よし、まだ夜になる気配もないし、一度船に戻ろう。【助っ人を呼んできて】というクエストをクリアできたら受付嬢にまとめて報告できるしな。ドゼルフのおっちゃんに言ってみたらギルドの助っ人について何か対応してくれるんじゃないだろうか。
”アンカーの崖”さっきよりはだいぶ人の数が減ったように思う。みんな居住区の方や、フィールドに出ていったのだろう。圧迫感が幾分か少なくなった広場を抜けてドゼルフの元へ向かう。
「こんにちは」
「おう!…ニックだったよな?なんだ、もう戻ってきたのか?」
ドゼルフは相変わらず甲板の出口付近に立っていた。話しかけると表情豊かに反応してくれた。
「いや、ちょっとドゼルフのおっちゃんに用事があってな。」
「俺にか…何か質問か?」
「2つあるんだが…、まず、この大陸の目の前の森で巨大な恐竜が生息しているって話は聞いたことあるか?」
「恐竜…、いや、ねぇな。すまん、そもそも俺はニックたちと一緒に来た今回の上陸が初めてなんだ。居住区のやつらなら何か知ってるかもしれねぇが…。」
ドゼルフは申し訳なさそうにそう言った。そうか、NPCだったら知ってるかもって思ってたけど彼もここに来るのは初めてなら知っているわけ無いよな。
「いや、俺ももし知ってたらって感じだったから気にしないでくれ。それと本命はもうひとつの質問だ。実は…」
俺はギルドが忙しく、人手が足りないことをドゼルフに伝え、手伝いを寄越せないかを尋ねた。
「そうだなぁ…、じゃあ俺が行こう。」
「へ…?」
「俺が手伝いに行くよ。正直やることなくなってきてて暇だったんだ。」
一瞬ドゼルフが受付嬢のようなメイド服を着ている姿が脳裏に浮かび上がり吐き気がしたのは心の内にしまっておこう…。まあ、だが大丈夫だろう。ギルドが忙しいと言っていたけど別に受付だけがギルドの仕事じゃない。男でもクエストに影響は無いはずだ。
「ほんとか、助かったよ。えーと、船の乗組員で他に手伝える人はいないかな?多ければそれだけギルドも助かると思うんだが…。」
「んー、そりゃ確かに。」
ドゼルフは少しの間思案して、閃いた!といった感じで右手の拳で左の手のひらを打った。
「機関室の奴等なら何人か引っ張ってこれるかもしれねぇ。悪いが少し時間が経ってからまた来てくれるか?何人かに声をかけてみる。」
「ほんとか!ありがとう、助かる。」
どうやらドゼルフに頼んで正解だったみたいだ。これでギルドの仕事が円滑に流れればみんな喜ぶだろう。よし、ちょっと時間を潰そうかな…。




