八話
あ、歩いているうちに、噴水が見つけた!よかった。ここに・・ちょっとまって、様子がおかしい。噴水の近くにいる人たち・・。なにかを見張ってる?警備・・?あ、赤い色をしたダイヤの模様が刻まれている。ダイヤの模様・・赤の国の人たち!?どうしよう・・でも、私『アリス』じゃないし・・!大丈夫、きっと。
うん、だいじょ・・
「見つけたぞ、アリス」
あぁ・・やっぱり、こうなるよね。
「赤の国の女王が探していた。さて、来てもらおうか。」
逃げなくちゃ・・私は、白の国へ行くんだ。
「あっ・・!おいっ・・!」
逃げる、逃げる・・。息が切れたとしても、逃げ切るんだ。捕まったら白の国に行けない・・。それから・・
「あ・・壁が。」もう、あきらめるしかないよね。手にあった傷・・まだ治ってない。痛い・・。
ごめん・・謝ることしかできない私に、生きる価値なんて・・
『逃げてっ・・!』
声だけで背中を押された。
「あれ・・。いつの間にか・・。」まだ、走る場所がある。そして、あの声・・。本当に誰なの・・
ううん、今は、そんなことを考えている暇なんてない・・。逃げなくちゃ・・。
「っ・・!痛っ・・。」途中で私は、転んだ。
「いたぞー!」あぁ・・これじゃ、助けてもらった意味ないじゃん。帰りたい・・。ここより、私がいた場所の方が暖かくて・・それから・・
もう、涙が出そうだよ。
雨が降った。少し、小雨の。雨と一緒に、私の涙を消してくれないかな。そう思ってると、
時が止まった。
真っ暗で、何も見えない。でも、ほんの少し明かりがついている。どこかで見たことがある背景。どこだっけ・・。
思い出した。まだ、私が小さいころの時だ。確か・・
あの時・・とても悲しい色をしていた。でも、どうしてかな。そもそも、私は、いつからこんなに・・なってしまったのだろうか。
う~ん・・。ずっとここにいるから忘れてしまったのかも。
あ・・そんなこと考えている場合じゃなかった・・。
『こっち。ついてきて。』また・・。今度こそ空耳じゃない。
目の前には、黒い猫がいた。黒い猫はニャーと鳴いた。私に、話しかけている・・?
『早く、来て。』優しい声・・。私は、雨の中濡れながら、黒猫の後をついていった。






