七話
『白の国』って・・確か白の女王がいるところ。あるんだ・・そんな場所が。アリスも、そこに行ったよね。じゃ、『赤の国』も・・?でも、私は『アリス』じゃない。行く必要なんて・・
「どうして、そこに?」理由なんて、ない・・。
「どうしてって・・。帰る方法を見つけるためかな。」
あ・・前に、そんなこと言ってた・・。でも、まだ、ここにいたい。そんな思いが強い。けど・・いつかは、帰らないといけないんだ。いつまでも、ここにいるわけには・・
帰らなくちゃ・・。
「うん・・。そうだね。行かないと・・。じゃ、今から行こう!夕方までには間に合うはず!」
「玲奈・・盛り上がってるけど、夕方までつかないよ。」
えっ・・
「まず、初めにここの町を抜けないと。それから・・」
「何時間くらい・・?」
「え?24時間以上はかかるよ。」
そこまでかけて行くの・・。白の国遠い・・。そういえば、さっき夢の中に出てきた人、優しい声だったな。もしかして、白の国の女王?だとしたら、会わないと。
『白の国に行きたいの?』
・・・・・・。また、空耳?
『ここからじゃ、遠いよね。でも、大丈夫。私がついていってあげる。』
・・・・・。
部屋のドアを開けて、階段を下りた。
「どうしたの・・?」「なんでもない・・ただ、町にある店を見に行くだけ。」「えっ、それじゃ、僕も」「ううん、大丈夫。」
『噴水のあるところに来て。』
私は、家を出て、声をたどりにしながらシクラスの町にある噴水を探した。
「ん・・?なにかあったのかよ、うさぎ。」「何でも・・。僕、町に行ってくるから、犬よろしく。」「はぁ!?」
やっぱり、夜でも人が多い・・。これだけいると、見つからない。声の主が・・。
どうしよう・・私は、悩んだ。悩んでは、探す。
時間をかけてでも、探さないと・・