一話
「不思議の国のアリス?」
「そう、アリス。アリスはね、白の女王と赤の女王を仲良しにさせたの。」
「どうやって・・?」
「ふふっ・・。『不思議の国のアリス』を読んでたらわかるよ。」
昔、『不思議の国のアリス』という絵本を読んでた。でも、今はもう、読んでない。そんなおとぎ話みたいなことが・・本当にあるだろうか?小さいころ、不思議の国に行きたくて何度も穴を掘っては、その穴に入る。でも、結局不思議の国なんか行けない。
『不思議の国のアリス』とは、作者が考えたおとぎ話。そう、だから・・
・・・・!
「痛い・・。」頭をどこかにぶつけたようだ。とても痛かった。でも、血は出てない。周りを見ると、知らない植物があった。そして、道が・・
・・・?
どうして、ここにいるのだろう?私は、確か・・そうだ、穴に落ちたんだ!前しか見えてなかったから、下を見てないんだ。でも、どうして穴に・・もしかして、ここは・・!
考えていると、一匹の白うさぎがこちらへ向かってきた。そして、「ようこそ、アリス!」と明るく話した。話すうさぎ・・これは、夢じゃない・・ここは、『不思議の国』だ。そして、私は、『アリス』だ。本当にこんなことがあるの・・!?
「ん?アリス、どうしたの?」私は、『アリス』ではない。「違う・・アリスじゃない・・私は、玲奈よっ!」少し強く自分の名前を言った。うさぎは、笑顔で笑った。「何言っているの?君はアリスでしょ。ね?ほら、早く行こう。」
ダメだ・・信じてはくれない。私が『アリス』ではないことを・・。
「そういえば、アリス。いつからそんなに髪が短いの?髪の色も、黄色じゃなくて・・少し薄い茶色・・。服も変わってる・・。」・・・!お願い・・
「・・・・。」うさぎは、無言になって何も話さなかった。そして、うさぎは、自分が持っていた時計をじっくりと見た。
「・・・アリスじゃない・・?じゃ、どうして・・。」気づいてくれた!「そう、私は『アリス』じゃない。そしてどうしてここにいるか・・」続きを話そうとした時、うさぎに「・・!こっち、早く!」と言われた。うさぎは急に走った。私は、うさぎの方へと走った。
誰もいないところへ・・「赤の女王・・。」とうさぎが小さくつぶやいた。『赤の女王』って確か・・。
「とりあえず、こっち。」そう言われて、知らない家に入った。