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私がドラゴン・スレイヤーになった訳

作者: 鳴泉

初っ端からオチが解ります。

一部絵文字注意!

普通の女子高生の私


ごく普通の友だちと遊んだ帰り道


ごくごくテンプレに異世界トリップをして


ごくごくごく王道的にイケメン冒険者達と知り合い


そのイケメン冒険者達の好意で


ごくごくごくごく普通の村の修道院に世話になることになり


ごくごくごくごくごく普通の村娘生活をスタートさせようと思っていました。



ただ一つの間違いは、トリップした世界が


「剣と冒険と旋律魔法」の世界だったことです。








この世界では「音」つまり、普通のドレミファソラシドの音階とは別の特殊な「精霊音階」と「魔力音階」なるものが存在し、神官や魔法使いは、この「音階」からなる特殊な音楽を演奏したり、歌ったりすることで魔法が使えるのです。



イケメン冒険者その1である剣士 カイ=ラディウス氏によると、自身の内や自然界にある力を、その音楽を奏でる事で引き出し、さらに力を、音とか旋律ってものに絡めることで様々な効果を発揮することが出来るとか。


「精霊音階」による「精霊魔曲」が自然界の精霊のポテンシャルを上げて、その力を行使することで効果を発揮し、「魔力音階」による「魔法曲」が自身の魔力を、様々なものに変換して効果を発揮するものらしい。


「精霊音階」による「精霊魔曲」は神殿学校で厳しい音楽レッスンを受けた「神官」にしか使えない。

これは精霊が気難しいため下手に「精霊魔曲」を演奏したり歌ったりすると、精霊が術者に攻撃する危険があるためらしい。



それとは逆に「魔法曲」は、簡単なものなら一般人にも使用可能で、村の子供は修道学校で「一番簡単な魔除けの歌」を必ず習う。

ただし簡単でも歌いすぎると、自身の魔力を消費して倒れるので要注意。



一般に「魔法曲」の使い手は「魔法奏者」、「精霊魔曲」の使い手「神官」、それらの中でも歌によって魔法を使う者を「呪文歌手」と呼ぶ。


前述の剣士カイ=ラディウスは正しくは「剣士兼呪文歌手」だったりする。




この世界が音楽で魔法を使う世界というのは、まあいいとする。

問題は、明らかにこの世界の世界観がおかしいのである。

特に楽器関係。

例その1 イケメン冒険者その2 神官 ユリウス=コルディウス=テッサーリアの武器。

電気の無い世界で、電力供給元が不明のショルダーキーボード。


例その2 イケメン冒険者その3 魔法奏者 キサラ=ナオキの武器。

電力は供給元不明、アンプに繋がってないのに大音量のエレキギター。


私は楽器には詳しくないけど、なんか明らかにおかしいくないですか。


イケメン冒険者の伝手で世話になることになった、村の修道士様がドラム叩いて村に魔除けの簡易結界張ってるのを見たときには、もう「ツッコミ追いつかね~」と思いました。



楽器に対するツッコミを忘れれば、ここでの生活は概ね順調といえたでしょう。

現代日本に比べれば力仕事の量は増えますが、修道士のベルトラン様は人格者だし、村人の皆も親切だし。

「剣と冒険の世界」らしく魔物は出ますが、だいたいベルトラン様の力で追い払えますし。

私を村の修道院に世話になれるようにしてくれた、イケメン冒険者達もといカイ、ユリウス、キサラも土産持って訪ねてくれるし。

異世界生活驚くほどに順風満帆でしたよ。






そう、突然村にドラゴンが出現してくれやがった、あの日までは!!!





いきなり上空に出現したドラゴン。

ドラゴンとしては弱い部類に入るレッサードラゴンだったらしいですが、レッサーだろうが何だろうがドラゴンって言うただそれだけで、ごくごく一般的な一村落には対処不能なモンスターです。


修道院の一員として、村人を避難誘導。

学校でやっていた避難訓練の知識が役に立ちました。


「お・か・し」

お 押さない 

か 駆けない

し 喋らない ってやつですよ。



なんとか村人全員を村の避難洞窟 強い魔物が出た時のために備蓄食料などを置いた丈夫な洞窟に避難させることが出来ました。


村からベルトラン様が村人を避難させるあいだ、ドラゴンを足止めするために叩くドラムの音が聞こえてきました。

村人全員が避難し終えた事を、ベルトラン様にも伝え彼にも避難してもらわなくてはなりません。


私は駆けました。

ベルトラン様は恩人です。

パーティーメンバー(バンドメンバー)だったという冒険者達が連れてきたとは言え、身元不明、一般常識も分からない不審人物な私を引き取って、村に馴染めるように世話してくれたのですから。


しかし、私が村に戻った時には、ベルトラン様は魔力を消費して意識を失っていました。

ドラムはドラゴンの攻撃によるものか、「魔法曲」の魔力に耐えられなかったのかは分かりませんが、壊れています。

ドラゴンは、ベルトラン様が最後の力で張ったであろう光の壁を今まさに突き破らんとしています。


いくら、この世界に来てから力仕事をしているとはいえ、女子高生だった私に成人した男性であるベルトラン様を担いで逃げる力はありません。

光の壁は崩壊寸前です。

あの壁が壊れたらベルトラン様共々、私もドラゴンの体当たりだけで死ねます。



こんなとき魔法が使えればいいのですが、私はとある事情で、この世界で魔法を使おうなんて考えたことも有りませんでしたから、「一番簡単な魔除けの歌」すら覚える気はなかったのです。


簡単な魔除け位は覚えておけば良かったと、この時ほど後悔したことは有りません。

私が歌ったところで、どうなる訳でも無いでしょうが、気休めの手段すら講じられないのが何とも言えない気持ちでした。




「おーい、状況は、修道士様は!?」



私一人では心もとないと思ったのか、村の青年団長が私を追ってベルトラン様救出に来たようです。


青年団長の呼び声と同時に、ドラゴンが光の壁を突き破りました。


ドラゴンの首は声を上げた青年団長の方に向いています。


犠牲者が増える…


考えている暇は有りません。私はイチかバチかの思いつきを実行にうつしました。







ベルトラン様がドラムで叩いていたリズム、ドラムじゃないけど元の世界の音ゲーで似たようなリズムを聞いたことがあるのです。

しかも、その曲は私のカラオケでの十八番(おはこ)

そう、この曲ならなんとかなるような気がする。

お腹に力を入れて、友人たちをドン引きさせた勢いで!!!!!!

















結果・・・なんか大きなクレーターと共にドラゴンは消滅しました。



幸い魔力の暴走もかくやの私の「呪文歌唱」に巻き込まれ無かった青年団長が目と口を開き (;゜Д゜)←としか思えない顔をしています。

ベルトラン様も意識は戻っていませんが無事なようです。


その後、村人の通報で駆けつけたカイ達や、国の魔術組合や騎士達にドラゴン消滅の理由を追求されてモミクチャにされたことは、正直思い出したくないです。






理由を聞かれたって、ただ単に友人たちから「某国民的アニメのガキ大将」並みの破壊的歌唱力といわれる、音痴さで十八番(おはこ)を熱唱しただけなのに…



それがどうこの世界の魔力に作用したのか、あれよあれよという間に私は「伝説のドラゴン・スレイヤー」と呼ばれるようになったのでした。





正直嬉しくないです。












昔、イケメン冒険者を主人公にして考えた設定だけど、音楽の知識が無くて挫折したものの焼き直しです。


ベルトランがパーテイーを抜けた理由=ドラムを荷車に積んでの移動はもう疲れた。


主人公の音楽の成績=ひどい音痴だけど、授業態度とペーパーテストで稼いで「3」(5段階評価)


主人公の十八番=ご想像にお任せします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔法と音楽を結びつけた着眼点はいいですね。 (十何年か前にそんなRPGがあった気もしますが…) [一言] もう少し話を煮詰めて長編として再チャレンジしてほしいです。
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