第一章 五つの影
ジリリリ ジリリリ
目覚まし時計の音が響いた
次の瞬間ベットからのびた手が目覚まし時計を グシャッ と音をたてさせながら叩き潰した。
そのまた次の瞬間 今度は部屋中に設置されていた数多くの目覚まし時計一斉に鳴りはじめた
ベットで寝ていた人物は慌てて飛び起きる。黒い髪と黒い目をもった少女だ。枕の横にコナゴナになった目覚まし時計を見て
「またやっちゃった〜」とため息をつくと破片を全て集めてゴミ箱にいれた。
そして他の目覚まし時計を止めるため立ち上がった。
着替えを済ませてリビングに行くとまず仏壇に手を合わした。そこには3枚の写真が置かれていた。
少女が呟く
「お父さん、お母さん、お兄ちゃん 穂菜は今日 柊学園中等部を卒業するんだよ。
お父さん達が殺されてもう5年もたつんだよ。 穂菜は今日 柊学園高等部にはいるんだよ。父さん達が殺されてもう2年もたつんだね〜。高等部にも特待生ではいれたし こっちは万事うまくいってるよ。だから心配しないでね。じゃあ そろそろいくね」
そういうと穂菜はリビングを出ていった。
同時刻
古びた居酒屋にあつまった5つの影があった。
カーテンを閉めきっている上に電気もついていないため顔もはっきり見えない。
「今日が決行でいいんだな」
女性の厳しい声がした。
「うん、今日がベストだ」
ちょっと神経質そうな男性の声が答える。
「キャハハハハーうまく行くといいけど」
軽薄そうな男性の声がいうと
「まあ なんとかなるんじゃないの」
同じく軽薄そうな女性の声がいう
「僕のデータは確かだよ」
神経質な声が再びひびく
「とにかく今日10時生徒を含めた全員が校庭にでた瞬間を狙う。各自準備しておけ」
最初の女性の声が命令すると4人の足音が遠ざかっていった
さっきの会話に参加していなかった最後の一人は
「柊学園か」
と呟き去っていった。




