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濡れ衣  作者: Shiena
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【8話】

4時55分。先生はまだ現れない。


忙しくて来られなくなったのかもとわずかに希望を持ったその瞬間、「ピ−ンポ−ン」と、


インタ−フォンが鳴った。モニタ−を見ると鈴木先生がいた。当たり前だけれど・・・・


私はがっくりと肩を落としながら玄関に向かう。ドアを開けたところに先生がいて


『こんにちは』


と、満面の笑みで言った。


「こんばんは」


と、私は答えた。


そして私のすぐ後ろからお母さんが出てきて


[先生、どうぞ。寒い中申し訳ありませんねぇ]


と、おきまりのご挨拶。少し遅れてリビィングに入るとお茶が出されていて、お母さん


が先生に向かいの席に座るように提案していた。先生はそれにならい席に着く。そして


熱いお茶を一口飲むと話し出した。


『具合の方はどうかしら?よくなった??』


最初、先生は話しを合わせてくれた。私も適当にあいづちをしたりして、あっという間に


15分が経とうとしていた。そして時計の針が5時20分を指そうとしたとき、いよいよ始まっ


た。




『それでですね、今日ご自宅の方に伺いましたのにはお母様にお伝えしたいことがあり

 まして・・・・・・』



[なんでしょうか??]


不思議そうな顔をするお母さんを横目に私は憂鬱な気分になる。


『だいぶ前頃からトキさんと同じクラスのハルカさんという子にいろいろと嫌がらせが

 行われていまして、最初は手紙での嫌がらせで始まりました。』


[はい、トキから聞いています。]


私が皆と一緒になって犯人を捜していた頃、私は一度両親にこのことを相談してことがあ


った。とくにお父さんは精神科医でいろいろと良いアドバイスがもらえると思ったから・・


『そうでしたか・・・それでですね、一時期それは止んだんですけれども最近になって、

 今度はメ−ルでの嫌がらせが始まってしまったようなんですね。ま、それでもちろん

 アドレスというものが必要になりますよね?そこに問題がありまして、そのぉアドレス

 の中に【toki】とまぁトキさんの名前が入れられておりまして、それで現在犯人という

 かたちになってしまってまして、トキさんのほう毎日大変苦しい学校生活をしているん

 ですよ。』


お母さんは冷静に事を受け止めているようだった。首を縦に振って状況を把握しようとし


ていた。


『それで、トキさんはお母様にこの事が知れるのをすごく嫌がったんです。でも今日は

 辛くて早退してしまったようですし、もうこれはお話しなければと思いまして。』


あぁ・・・・・・・バレてしまった。今日の早退の理由まで喋られてしまうとは盲点だ


った。でも仕方ない。あの日以来、私はいろんなことをあきらめてきた。今さら何かを


知られてしまったところで、状況は1mmだって変わらない。





更新が遅れてしまってすみません。そして、読んで

くださっている方ごめんなさい。それから今後とも

よろしくお願いします。次話も是非読んでください

ね。



感謝をこめて  Shiena

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