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濡れ衣  作者: Shiena
7/26

【7話】

翌日学校に行くと、A子が「おはよう!!」と笑いかけてくた。


英語の授業では、抜き打ちのリ−ディングテストがあった。


1人ずつ文を読むのだ。


私が読み終わるとA子の番が来た。


A子は私の顔を見て、「わっかんないよね?」と言っているかのように苦笑いを


して見せた。私も軽く「うん、うん」と、笑いながらうなずいた。


また、少しずつ元に戻っていくんだな・・・・・と嬉しかったのを覚えている。




その日の帰りの会で、先生から話があった。


「え−っとですね、来週の金曜日に授業参観があります。

 私達のクラスは理科をやるとのことです。

 実験なので、第1理科室に移動してください。以上で、先生の話を終わります。」


授業参観・・・・・・・理科かぁ。


悪くはないと思った。


なぜならその日、新しい友達が出来たから。


橋本さん。


特徴を言うと、ちょっと変・少しポッチャリ系・地味系・アニメ好き。


いわゆるハズレ組の子。


前の私だったら


「うわぁ〜、今日も暗いね。っていうかアニメの何がいいんかね。写し絵なんかして。

 私絶対無理だわぁ。」


と、類友と笑っていただろう。


でもひょんなことから私達は仲良くなったのだ。


それはその日の昼休みにさかのぼる。




〜〜昼休み〜〜


私は1週間前からの日課で、今日も図書室に向かう。


うちの学校は給食を食べ終わるとすぐに昼休みになる。


だから、たいていは食べ終わってすぐに向かわないと窓辺のあったかい席に座れないのだ。


そして今日も私は図書室に向かう。


でもちょっと遅かった。いつもは私が座っている席に、今日は誰かが座っていた。


私はがっかり。でもよく見てみると同じクラスの橋本さんだった。  げっ・・・・・


その頃の私はまだ橋本さんのことを毛嫌いしていた。だからあ−あとも思っていた。


でも図書室を見回すと、空いている席は橋本さんの隣の席しかなかった。


しょうがないか・・・・・・・


そう思って橋本さんのところにゆっくりと歩いてゆく。


「ここ、空いてる??」


橋本さんは、突然声をかけられてびっくりしている様だった。でもしばらくしてから、


『うん、空いてる。どうぞ?』


笑顔でこう答えた。わりと普通だったことにただただ驚く失礼な私。お言葉に甘えて


隣の席に座る。さっきの笑顔が嬉しかった私は橋本さんに話しかけた。


「なんの本読んでるの??」


『これ?”天空の城ラピュタ”。知ってる??』


「そりゃぁ知ってるよ!!宮崎 駿のやつでしょ?私もそれ好きでよくDVD見てたよ。」


『そうなんだ。いいよね、これ。』


「うん。いいよね、それ。」


私達はちょっと笑ってそれぞれのやりたいことをした。


私は持ってきたタオルを枕にお昼寝。


橋本さんはまた本に戻る。


そのうち5時間目の予鈴が鳴り、皆一斉に椅子をひいて立ち上がった。


そしておのおの取り出した本を元の棚に戻して図書室を去る。 


私はすっかり熟睡していて予鈴の音に気がつかなかった。


そのまま寝ていると誰かの手が私の背中を軽く叩いた。


寝ぼけまなこで見上げると橋本さんがいた。


『予鈴鳴ったけど行かなくていいの?』


??????????


鳴ってたの?


私は大慌てで


「うそ、鳴ってた?私全然気がつかなかった・・・・・熟睡してたし。

 ごめん、ありがとう起こしてくれて。」


本当に助かった。何しろ次の授業は国語だ。遅れたりしたらとんでもない。


『あぁ、全然(^^)じゃぁ。』


「ちょっと待って!一緒に行かない??同じクラスなんだし。」


『そうだね』


私達は前からの友達のように並んで廊下を歩いた。


3階に続く階段を駆け足で上がると、違うクラスの友達がいた。


私は少し橋本さんと離れた。橋本さんは他のクラスの子から見てもオタク系に見える。


本当のところ、そういう子と歩いてるのは恥ずかしかった。


ひそひそ話をされるんじゃないか。偏見の目で見られるんじゃないか。


私が以前やっていたように。


だから私は少し離れて歩いた。


今でも前から友達が歩いてくると少し離れてしまう。


そんな自分が恥ずかしい。


〜〜〜〜〜〜

そんなこんなで私達は仲良くなった。


偶然なことに理科での席替えで私達は同じグル−プになった。


だから授業参観の教科が理科なのは悪くなかったのだ。




また、この頃になると担任の先生からは毎日のように心配の電話がかかってきた。


「はい、私は大丈夫ですから。」


私は毎回同じ言葉を繰り返した。


親にはこのことをまだ言っていない。もしかしたら授業参観で知らされてしまうかも


しれない。心配でたまらなかった。怖かったのだ。なぜかはわからないけれども。


ある日の金曜日。またいつものように電話がきた。


『今日、大丈夫だった?早退しちゃったみたいだけど・・・ちょっと辛かったかな?』  


内心「ちょっとじゃないし」と怒りながらも


「大丈夫です。」


といつも通りの答えを返す。でも今日の先生は引き下がらなかった。


『それでね、先生思うんだけどそろそろお母様にもお話したほうがいいと思うの。

 どうかしら?』


これには参った。冗談じゃない。絶対に駄目。


返事をしない私に、先生は更に先を続ける。


『えっと、だからこれからあなたのうちに行こうかと思うんだけれども・・・

 いいかしら?』


いいえ、よろしくないです!!私は心の中で悲鳴を上げた。


恐れていたことが起こる。今の時期、親に事が知れるのはやばい。1人いるお兄ちゃん


の受験シ−ズンだし。どっちにしても負担はかけられない状況だった。


「今・・・・・からですか??」


『そうよ。都合悪いかしら?』


「全部話すんですか?最近私が午後の部活に出ていないことも?」


そう、私はこのところ部活に出ていなかった。部長である私は練習メニュ−を部員達に


指示しなければならない。嫌な教室で、冷たい視線をたっぷり浴びせられた後に部活


へ出る気にはならなかった。そして早く家に帰って来ると、「今日も顧問風邪で休み


だった!!監督できる先生がいなかったから今日も女テニは部活無しだったよ。」と、


お決まりの嘘をついた。だから先生にバラされるとバツが悪い。


『そうね、そういうことも含めてになるかしら。』


「そうですか・・・わかりました。」


そういうしかなかった。


いずれは、言わなくてはならないのだから。


ただその時期が早まっただけ。


『5時前には着くと思うわ。お母様によろしくね。』


「はい。わかりました。」


『それじゃ、後でね。』


「失礼します。」


こうして私達は電話を切った。


「おかぁさん、なんかこれから鈴木先生来るって。」


結局私は唐突に言うことにした。


『どうして??』


「ん〜なんか最近風邪はやってるし、私すごく気分悪そうだったから心配して来て

 くれるんじゃないの??ほら、今日早退とかもしたし。」


本当は違うけど、これが精一杯だった。



読んでくださったかたありがとうございます。

いよいよ親のほうも絡んできました。

次話は先生がうちへ訪問する場面が主な内容になる

と思います。是非読んでください。




感謝をこめて Shiena

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