【18話】
その日学校から帰ると、お母さんは何やら誰かと電話をしている最中のようだった。
チラッと横目で見るとまた視線をどこかへそらし、ただ黙って電話の向こうの人の話に耳
をかたむけていた。もう10分くらいだっただろうか。長いなと思っていたときお母さんは
電話を切った。そしてそのまま黙っていた。
「どうしたの?」
そう聞くと、今耳にしたことがあまりに待ち望んでいたことで現実味がないとでも言うよ
うな様子で私を見た。
[犯人、警察に捕まったんだって・・・・・今日、その親子が警察署に呼ばれてすごく怒ら
れたらしいよ。]
そこまで喋ると、お母さんは口を閉じた。
涙が出てきた。
たくさんのことが思い出された。
そしてハルカが犯人かもしれないと知った日のこと。
さんざんののしられ、陰愚痴を叩かれた日々。
先生の無神経な態度に苛立ちを覚えたときのこと。
この悲しみを乗り越えるのには、たくさんの孤独という”現実”がありました。
先を促すとお母さんは言った。
[[犯人・・・・・・ハルカちゃんだったって・・・・・・・・]]
わかっていたはずだ。
だから涙も流れた。
それでも目の前がクラクラして、何かで殴られたような気がしたのは事実だった。
修学旅行はあさってに迫っていた。
そしてハルカは修学旅行に行くだろう。
私は、どうしたらいいのかわからなかった。
読んでくださった方、ありがとうございます。
これからも、読んでください。
感謝をこめて Shiena