【14話】
冬休みももう5日経つ。
私はいつも家でボ−っとしていた。Christmasの予定もまるでない。それどころか、
やることさえないのだ。そんなとき、自宅に1本の電話がかかってきた。
「はい、もしもし」
電話に出たのは私だった。
『こんにちは、鈴木ですけれども・・・・』
電話の相手は鈴木先生だった。
「こんにちは」
『お母さんいるかしら?』
先生からの電話といえばあの事件のこと以外内容が思い浮かばない。でも、電話に出たの
は私なのに、なんでお母さんにかわれなんて言うのかな。隠し事をされているように思え
てならなかった。その頃の私は何かあるごとに「私だけ知らないんじゃないか」と不安を
つのらせていた。少しでもそういうそぶりがあると、過剰に反応してしまっていた。はた
から見れば、私の姿はとても不安定にうつっていただろう。
「はい、かわりますか?」
わかっていながらもそう聞いた。
『ええ、お願いしたいわ。』
そう先生が言ったから、2階にいるお母さんを大声で呼んだ。お母さんは階段のところま
でおりてきて、[ここまで持ってきて]と言った。私が電話を渡すと、それを持ってそのま
ま2階へ行ってしまった。
私が聞いてはいけないことなのだろうか・・・・・・・・
しばらくしてからお母さんが下におりてきた。電話はもう切られていた。
「先生、なんて?」
[明日の夜8時頃から、むこうの親御さんと先生方と私達で話し合いをすることになった
の。学校でね。]
今お母さんは【私達】と言った。それは、まぎれもなくお母さんと”お父さん”のことだ
った。
私は手に汗をかいた。
どうしよう・・・・・・・・・・・
お父さんには私が事件のことに巻き込まれていることを言っていない。その頃は、な
ぜかはわからないけれど、「怒られる」と思っていたから。私のお父さんは私が怪我をし
ても、風邪にかかっても怒る。”自己管理がなってないから”と言って。だから今回もそ
う言って怒られるのではないかと思っていた。
「それ、お父さんも一緒じゃなきゃだめなの?」
私は少し涙声になりながら聞いた。
[うん・・・・そうね。どこの家族も2人でくることになってるみたい。なるべく多くの人
に聞いてもらわくちゃいけないみたいだから。]
「お父さんには、なんて言うの?」
怖くてたまらない。
軽蔑の目で見られるかもしれないことを考えると、喉の奥が痛かった。
[ねぇトキ、もう内緒に出来ないよね。そろそろ言わなくちゃ。ゆくゆくは知るんだから。
それに今日言わなきゃ明日のぎりぎりに言っても、お父さん予定つけられないよ。]
「そっか・・・・そうだよね。わかった。」
もうしょうがなかった。言うしかないし、内緒にしておくことに疲れていた。怒られても
いい。状況がよくなるわけでもないのだから。
「事情を話すのはお母さんがやって。」
[わかった]
そんな会話が、音の無いリビングに冷たい波紋のように広がっていった。
今日は1日に2話も書いてしまいました。
もうすぐテストで投稿のペ−スが遅れてしまうかも
しれないので・・・・・
読んでくださっている方、毎回毎回ありがとうござ
います。これからも読んでください。
感謝をこめて Shiena