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濡れ衣  作者: Shiena
12/26

【12話】

「はい、大丈夫です。」


『そう、よかった。とくに何かあるわけでもないのだけれど、今日はむこうの親御さん

 も授業参観見に来てたでしょ?それで、大丈夫かなと思ったの。その、嫌な視線を浴

 びたんじゃないかって・・・・』


はぁ・・・・・


「大丈夫です。それよりお母さんに聞きました、カッタ−の刃のこと。先生はどう考え

 てるんですか?私は自作自演だったんだと思います。」


単刀直入な私の言葉に先生はしばし言葉を切った。


『そうねぇ・・・・・』


それだけ言うとまた言葉を途切らせた。


「どうなんですか?」


なおも聞くと先生は口を開く。


『そうねぇ、先生にとってはトキさんもハルカさんも同じように生徒なの。だからこれっ

 て言うことは出来ないわ。』


先生は無難なことを言った。先生の言う通り、確かに私もハルカもやっぱり同じように先


生の生徒。でも私は言って欲しかった。『私もハルカさんが怪しいと思う』と。先生がハ


ルカの味方についているように思えてならなかった。


私は勇気を振り絞って訴えかけた。ここ何日かずっと言おうと考えていたことだ。


「先生、あの5人と話し合いの場をつくってください。今のところ、私の発言権はゼロで

 す。話をさせてください。私の気持ちをあの人達に伝えたいんです。」


今までの緊張が和らいだ。


でも先生の返事は冷たいものだった。


『でもね、むこうの親御さんが反対したら出来ないかもしれない。もう少し間を置いて、

 いいタイミングがきたらにした方がいいと思うわ。感情のぶつけ合いになったら意味

 がないでしょう?』


やっぱり先生はむこうの味方なの?私の気持ちは?


「どんなにむかついても私我慢します。だからお願いです。話し合いの場をつくってく

 ださい!!」


いつのまにか私は泣いていた。とめどなく流れる涙のせいで声が震える。


「だっ・・・て、今・・・・までも我慢してきたじゃ・・・・ないですか。

 ど、して話させてくれ・・・・ないんですか?」


嗚咽が漏れて言葉が途切れ途切れになった。むせ返るような哀しみと怒りが喉から這い登


ってきた。


気がつけば、私は声をあげて泣いていた。


先生は・・・・・・・何も言わなかった。


しばらくして、私から電話を切った。何も話したくなかったから。


でも犯人はわかった。少なくとも私にだけはわかる。私が犯人じゃないってことは


私以外の誰にも、今の段階では断言出来ない。明日からどんな顔で学校に行こう・・・・


それに、ハルカはなんで私をはめたんだろう・・・・・・・・・


信じていた友達に裏切られるほど、心苦しいことはない。



読んでくださった方、ありがとうございます。

今回は涙、涙という感じになってしまいました。

あのときのことは、今でも思います。(と言っても

そんなに月日が経ったわけではないので当たり前な

のですが・・・・)

次話も是非読んでくださいね。



感謝をこめて  Shiena

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