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濡れ衣  作者: Shiena
10/26

【10話】

目覚まし時計がけたたましく鳴る。


冬の刺すような寒さに耐えながら1階におり、真っ先に洗面所にむかった。


軽く歯を磨いて、それから鏡の中の私に目をやる。


そこには右瞼の腫れた自分の顔があった。


「やっぱり・・・・・」


ぽつりとひとり言を言いながら右目をこする。


それから朝のシャワ−を浴びて髪をとかした。ゆるやかなウェ−ブがかかった長い黒髪が


肩に広がった。ひとつため息をついて服を着る。いつもと変わらない朝。だけど学校に行


くのが憂鬱だった。食欲の湧かないままト−ストにバタ−とイチゴジャムをぬり一口食べ


る。 




いつもと変わりない朝なのだけれど。





学校に着く。3階までの階段はきつく足がくたびれた。教室に入ればおきまりの5人は私


を睨む。またひとつ大きなため息をついて、私は自分の席に座る。予鈴が鳴り、皆慌しく


教室に駆け込んできた。私は机につっぷしてその足音に聞き入っていた。


そういえば明日は授業参観だった。もうすぐ修学旅行があるため、保護者にむけての説明


会も兼ねていた。授業の内容は前にも書いたように理科の実験だった。





翌日になって今日はいよいよ授業参観。5時間目にやるのだ。私は嫌だった。理科が嫌い


なわけじゃない。ただ、元気をなくした自分をお母さんに見られたくなかっただけだ。


午前中の授業はあっという間に過ぎ去っていった。給食の時間は短く、これまたすぐに終


わった。その日は休み時間がなく、片付けが終わると私は誰よりも早く教室を出て理科室


にむかった。ハルカの後ろは歩きたくなかったのだ。ぬかすにぬかせないし、万が一後ろ


を振り向かれてはバツが悪い。    



5時間目の授業はすぐに始まった。


{起立、礼【おねがいします】、着席}


理科室にはちらほらと保護者の姿が現れ始めた。私はそれを気にしないように努めて実験


に没頭した。



1時間というのはとても短い時間だった。授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、皆一斉


に教科書やノ−トをばたばたとしまう。


{起立、礼【ありがとうございました】}


男子は我先にと狭いドアにむかって猛ダッシュ。女子はそれよりも一足遅く席を立ち理科


室を出る。私は残り2・3人しかいなくなった理科室をゆっくりと後にした。


今日は部活がない。保護者会があるからだ。私はほっと一息つく。休む時間が欲しかった


から。


その日結局お母さんは授業を見に来なかった。くわしく言えば、教室で鈴木先生と事件の


ことに関して話をしていた。この頃、2組の教室にはいつも誰かしら先生がいた。なぜな


ら、調度3日程前から今日まで、ハルカの私物が次々とずたずたに切り裂かれていったか


らだ。マフラ−、部活のユニフォ−ム、教科書、体育着、ウィンドブレ−カ−など。最後


の二つに関しては切り裂かれたわけではなく、赤いマニキュアで【久しぶりだね】と書い


てあったり、べたべたに塗りたくられたりしていたそうだ。そんなこんなで今の状況をお


母さんに説明するべく教室にいたわけだった。その頃、私はまだ何も知らなかった。これ


からの犯人特定への自分の思考が、あの一言で大きく変わろうとしているとは・・・・・

毎度読んでくださっている方、

ありがとうございます。

このつど『濡れ衣』へのアクセス数が100人を超しま

した。愛読者の皆さん、本当にありがとうございま

す。まさかこんなにもアクセスしてくださる方がいるとは思ってもみませんでした。これを支えにこれから

も頑張るので、よろしくお願いします。

次話では私の思考に変化が起きます。

是非読んでください。



感謝をこめて  Shiena

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