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スルト  作者: オーレリア解放同盟
最終章 独り復讐劇
68/70

#65 シャンバラ大戦

―――――やよい一日

この日はオーレリシア大陸全土を覆うオーレリシア戦争の開戦日。

もう一年も前の事だ。

だが、開戦から一年・・・この戦争はオーレリシア大戦からシャンバラ大戦へと変わる。




場所はコレリア半島

「今日の夜までに?無茶言うな!!」


「時間がありません。それに皇帝の命令です!!」

コレリア半島と東オーレリシア帝国との国境に大展開する大和皇国軍。

装備は・・・自衛隊の装備だ。戦力自体は自衛隊と全く変わらない。いや、むしろ兵器の数と兵士の数だけなら自衛隊以上だ。

「こんな大量の軍勢・・・コレリア半島の軍勢だけでも十分だろう?」


「帝国は古代兵器・・・・我々が使っている兵器と同レベルの兵器を使ってくると聞きました。ハイパーインフレを起こすぐらいの味方でいいんです」


「ったく・・・・めんどくせえな・・・高須も何を言いだすと思えば・・・」


「しょうがないじゃないですか・・・荒井ニ尉」


「まあ、あの高須の頼みだから仕方ねえ。何とか間にあうようにするよ。首都を守る近衛師団として・・・」

高須は戦争の早期終結のため国内最精鋭の近衛師団まで駆りだした。

五稜郭の方は五稜郭を守る衛兵だけで十分。とか言いだしたそうだ。





そして場所は変わり・・・ムガル連邦国境付近

「準備はいいな?」


「ああ。高須殿からの頼みだ。帝国の侵略から守られたこの国土の恩を忘れた覚えはない」

以前高須が行った海上周辺視察・・・その時に出会ったムガル連邦の偉大なる指導者。

セールス・トルキスタン王朝から侵攻せず大和皇国の周辺の海を回って海上から侵攻するなど誰が考えただろうか?

その甘さにより連邦は帝国に国土の端っこへと追いやられていた。その際にあきづき型護衛艦4隻と強襲揚陸艦22DDHを引き連れた高須に助けられ、国土も取り戻す事が出来た。

「だからといって・・・」


「いいんだよ・・・私の側近として君が心配するのは解る。それに我が軍は2年目の帝国による大侵攻を経てからまだ完全には立て直っていない。だが、装備の方は2年前よりも格段に向上した。プラマイゼロ。いや、むしろプラスだ。様々な技術を得て我が国は豊かになったのは確かだ。あの国には感謝しきれない。それにセールス・トルキスタン王朝のレジスタンスも参戦する。あの大和皇国も付いている。我らが負けることなどない」


「し、しかし・・・」

側近の言葉は続かなかった。

「そろそろだな」

時計の秒針が9を回ったところ。11時59分50秒。

「3・・2・・1・・・我がムガル連邦はこれにて東オーレリシア帝国に宣戦布告する!!全軍東オーレリシア帝国に向けて侵攻開始!!」


「うをおおおおおおお!!」

彼の一声により大きな怒号を発するムガル連邦軍兵士。そして一気に国境を超え帝国へと進行する。





「・・・何の声だ?」


「さあ?獣じゃねえ?」


「人間の声だと思うが・・・」

国境警備の兵士たちはその声がムガル連邦の兵士の声だときづくのはすぐだった。

「た、大変です!!」


「どうした監視兵?」

彼はその名の通り監視塔で監視する兵だ。

「ム、ムガル連邦軍兵士が次々に、越境してこちらに流れ込んできます!!」


「どういうこっがああ!!」

話している途中に首を跳ね飛ばされる国境警備兵。

「話している余裕があるなら首都でも守りに行け」


「ぐわああああ!!」


「うぐっ!!」

次々にムガル連邦兵に殺されていく兵士。しかし銃声など一発もしない。

あるとしても、それはムガル連邦兵のではないだろう。

「俺達は夜戦に強くなるよう目が鍛えられているし、なにより、銃を使う前に近接戦闘を強くするための訓練をしている。遠くからドンパチやっている貴様らに、夜で負けることはない!!」


「・・・・あたりまえだ。我が国が貴様らに浴びた国辱・・・今ここで晴らす!!」

2年前の怨念は今ここで晴らされようとしている。

彼らの怒りは収まりを見せず、次々と越境し帝国軍を打ち破る姿はすがすがしいものだった。





「さて、動くとするか・・・」

重い腰を上げたアルト・テギンはアサルトガトリングライフルを片手に持ち数千の軍勢の先頭に立つ。

一目見たら大きい組織だと思う。地球でも数千人規模のテロ組織があれば感心物だ。


だが、一つの国と戦うには余りにも少なすぎる。


しかも戦う国はあの帝国。軍人が数百万の国家に対して六千人。


だが、それでも彼らには勝機があった。

「後ろから攻めてくるムガル連邦・・・東から迫る大和皇国。西から攻めるプトレマイオス共和国。中央から攻める我がレジスタンス。帝国を足止めするキエフ=ソフィアの有志達。我々も動こう!!戦うごとに我らの姿を見てセールス・トルキスタンの有志達は増えるだろう。我らにはたくさんの味方が付いている。そしてわが王朝を取り戻そう!!」


「テギン様・・・・王朝を取り戻そう?そんな優しくていいんですか?」

アルト・テギンの側近・・・龍斗に銃を向けたやつが質問をする。

「いやはや・・・そうだったな。王朝を取り戻す?そんな生易しい事をしてられるか!!我らにあるのは帝国を叩きつぶすのみ!!首都のルーシアグラードめがけて進め!!」


「うをおおおおおおおお!!」

アルト・テギンが銃を握った拳を空に振りかざすとレジスタンスメンバーもつられて手を上げる。

「全軍!!出撃!!まずは第一目標・・・セールス・トルキスタン王朝の首都だ!!」

掛け声とともに走り出す。戦闘はアルト・テギン。彼らの戦争は終わりに近づいていた。





―――――――ルーシアグラード

「臨時皇帝陛下!!大変です」


「なんだ?」

臨時の皇帝陛下となったルーシア征教教祖はジークフリートの声に耳を傾ける。

「確認を取れたところで5か所・・・キエフ=ソフィアの首都跡地、セールス・トルキスタン首都跡地、大和皇国との国境、プトレマイオス共和国との国境、ムガル連邦との国境付近で大規模な戦闘が行われた様子。通信してきた兵士は通信後音信不通に」


「・・・レジスタンスが暴れ出す可能性ありとは聞いていた・・・だが、なぜにいやプトレマイオス共和国はまだしも・・・何故にムガル連邦・・そして大和皇国まで参戦したのだ?」


「いや、もしかしたら、彼らとの戦争を起こさせる罠かもしれませんが・・「入ります!!」」

ジークフリートとの会話の最中にノックもなしに入ってきたのは外交官。

「・・・外交官か・・・なにがあった?」


「たった今は行った通信です・・・大和皇国・ムガル連邦両国は我が帝国に宣戦布告をするとのことです」


「・・・・なななん、な、な、ななんだと!!!!!!!」

“バシイイイイン”と大きな音が皇室を響かせた。

ルーシア征教教祖は頭に血が上り、完全に参っている。それもそうである。

コレリア半島の悲劇とまで言われたあの大敗北が再び・・・しかも、国内でよみがえろうとしているのだ。






その頃・・・ルーシアグラードの真上では

「ここが・・・・ルーシアグラード・・・・そしてグラード城。潰すにはもったいねえ歴史的建造物だが・・・潰してやる」

悪魔化状態の龍斗はものすごいスピードでグラード城へめがけて飛んで行った。



「くそっ!!どうすれば・・・あいつらを?」


「レーバテインを使いますか?」


「無駄だ!!あの連中・・・特に大和皇国の機動力と戦力はケタ違いすぎる。下手に撃って報復されたたまったものではない」

その言葉と同時に来たのは何かが崩れる物音だった。

「な、何があったのだ?」

皇室を覆う煙と埃。周りに散らばる瓦礫の山。

「き、貴様は・・・リュート・クキ」

悪魔化状態の俺の顔を見てすぐさまに名前を出したのは何度も戦った相手ジークフリート・アルジェント。

「なぜ貴様がここにいる!!きょ、教祖様・・・離れてください。こいつは俺が片付けるので」


「成程・・・教祖ね。ルーシア征教教祖」


「なにがいいたい?」

ぽっこり穴が開いた天井を見上げて、俺はにやりと笑う。

「ここが貴様らの牙城というわけか・・・覚悟しろルーシア征教!!」

俺はその言葉と同時に忌々しい姿をした右手を振り上げてジークフリートへと襲いかかる。

第四次龍斗VSジークフリート戦は始まったばかりだ。


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