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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第四章 建国編
57/70

#54 F-35 ライトニングII

「で、どうやって、夜襲するんだ?」


「俺が発見した魔法“ステルス”で透明化になれる。というよりも、敵に気付かれにくくなるんだ。それで夜襲するんだ。」

この世界での魔法の呪文・・・それは英語。更に使いかたさえなれれば動詞だけで実行できる。そしてもっと慣れれば呪文を唱えなくても魔法を実行できる。そこまでのレベルになれば魔導士になれる。

「成程。で、いつそれを実行するんだ?」


「えーと・・・」

龍斗は左手に付けられているG-shockを確認する。

「この時計の針が12になったら、夜襲を開始する。それまで準備をする。夜襲する場所は古代兵器のあるベースキャンプ。そこから古代兵器を強奪する」

龍斗達は龍斗の声により急いで夜襲のための武器の支度を開始した。




―――――――11時

龍斗達は一時間後プシェムィシル要塞を出てテントを襲撃する予定だ。

メンバーは欠かせないのがいざという時のためのイリーナ。感覚に鋭い獣人族のエアリィ。そして数々の戦闘になれている第一師団エリート中のエリート。特戦部の隊員。合計50名で襲撃する。

「後一時間。長いな」


「なんでこんな時間にしたんだ?」

エーリッヒが不意に後ろから声をかけてきた。

「次の日になっていればさすがに寝ているだろうから」


「成程。だけど、俺は悪い予感がする」


「なぜだ?」


「この頃お前の言うことはすべて外れているから」

そう。ここ最近龍斗の予測はすべて外れている。

だから心配だった。それ以外根拠がなく龍斗の言っていることがごもっともであっても。

そして、このエーリッヒの心配は予想を的中する。

「敵襲敵襲!!」

プシェムィシル要塞最上部から聞こえてくる鐘の音は警戒のベルだ。

しかもこの音は・・・

「飛行艇か?」


「ひ、飛行艇多数・・・・150を超えています!!」


「なんだと!!今からでもいい。適当に空へ向けて砲撃しろ。今すぐだ!!」

指示を出した龍斗はすぐさまにストライカー装甲車に乗り込みスティンガーミサイルを取り出す。新型のFIM-92Fだ。だが、それでも非常用ということで持ってきた量は2つ。

「喰らえ!!」

たった二つしかないスティンガーミサイルは取りあえず確実に自分の上空を飛ぶ飛行艇を2機落としたが、それだけだった。数はほとんど変わらない。

「空爆する気か?」




龍斗がみた飛行艇はあからさまに南プシェムィシルへ向かっていた。

だが、その前に飛行艇群はあるところへ寄っていた。そこはロンツァート城。



――――――ロンツァート城

城は燃えていた。帝国軍の飛行艇によって。たくさんの爆弾をばらまかれ。

中にいた城主と息子諸共葬り去って南プシェムィシル村へ向かって行った。

「ここももうだめか。これだと村も・・・これよりも飛行艇の方が速いし・・・」

ストライカー装甲車を見て龍斗は思う。

もっと速い兵器が欲しい。

そうすれば村を守れる。

「まてよ・・・ロンツァート城の無用の長物って・・・結局何だったんだ?」

龍斗はエアリィから以前聞いた古代兵器を思い出す。

「確か地下に合ったはず。」

ぼろぼろに破壊された城はほぼ平地となっていた。

「たしか、ここら辺。・・・・重!!」

瓦礫によって埋まった部屋を開けようとするが瓦礫が重く動くはずがない

だが、魔法を使う龍斗には関係なかった。

「デストラクション!!」

瓦礫に手を当てた龍斗は呪文を唱える。意味は破壊。

手に触れた物だけを消滅させることができるある意味チート魔法だった。

手を当てたがれきは何もなかったかのように消滅した。そして、その奥に合ったものは

「これは・・・」

ラプター・・・・猛禽類。F-22ラプターと言えば世界最強のアメリカ空軍の戦闘機であり、数々の伝説を残してきた戦闘機である。そしてそれに次ぐ戦闘機。

「F-35 ライトニングII・・・・まさかこんな所にあるとは」

驚きのあまり言葉が隠せない龍斗。一通り一周して確認する。

「航空自衛隊の機体。しかも、俺がいた駐屯地と同じマーク。」

取りあえず数秒間My worldに入って目覚めた。

「これならいける!!」

すぐさまにストライカー装甲車に何の衝動に駆られて入れたのかわからないが詰め込んであった耐Gスーツを取り出し着替え、F-35 ライトニングIIに乗り込む。

「俺の機体かどうかわからんが頼んだぜ!!」

龍斗はコックピット内の操縦桿とスロットルレバーに手をやる。

「燃料は大丈夫だな。弾薬もミサイルもちゃんとしてある。いくか」

平地へと化したロンツァート城から垂直に飛び立ち一定の高さでものすごい速さで南プシェムィシル村へと飛びたつ姿はかつてのオーレリシア人が勘違いしたのもわかる。

それは正に龍であった。









―――――――帝国軍飛行艇爆撃隊指揮官機

「こちら、指揮官機。異常なし。目標・・・南プシェムィシル村まで5000・・・」

MET送還機による各機の報告。指揮官機は特に異常はない。だが、別の機体に異常があった。

「こちら殿をつとめる149番艇だ。異常・・・あり!!正体不明の飛行艇・・・?いや、古代兵器の攻撃を受け“ドガアァアァァァン”・・・・・プツ―――――」


「こちら140番艇。攻撃をぐわあああああ!!“ドガアアアアアン”・・・プツ―――――」

「こちら138番艇以上「こちら128「こちら120番艇敵の「こちら97番艇攻撃を「ぐわあああああああああああ」「助けてくれ!!」プツ―――――」


「どういうことだ?」

指揮官機に乗る爆撃指揮官であるブルクハルト・バルクホルン中将は困惑していた。

これだけの大飛行艇隊を次々に駆逐するほどの古代兵器。思い浮かぶはずがなかった。

「全飛行艇に命じる。我が艇を中央に置き我々を囲むよう一定の距離を保ちながら円を作れ!!」

バルクホルン中将はMET送還機に手をやり全飛行艇に命じる。自分が囮になると。

「それでは、中将の機体が」


「おとりになるだけだ。死ぬわけではない。敵が私を狙って来たら全飛行艇で私の機体に攻撃を仕掛けよ。」


「それでは中将が・・・」


「敵だって指揮官を殺したい。なら簡単だ。私が囮になればいい。これは命令だ。逆らう奴は許さん」

怒る用な怒号で全飛行艇に命じる。

「・・・解りました」

その声と同時に龍斗に指揮官機までの道を開けそして包囲し始める飛行艇。

「あの旗・・・ルーシア征教か?ならあれが指揮官機ということか?」

龍斗は他の機体と違いルーシア征教の旗を掲げていた機体を指揮官機と思ったようで、実際はそれで合っているのだが、完全に彼らの思惑にはまっていた。

「お前らのすきにはさせない!!」

確実に撃破するようにミサイルで攻撃を仕掛ける龍斗。だが、それと同時に

「貴様ら!!攻撃開始!!」

指揮官機から聞こえた唸るような叫び声はMET送還機によって囲んでいた全飛行艇に響きわたり、一斉に攻撃を仕掛ける。

“ドガガァァァァン”という爆発音と同時に円形の飛行艇中心部は大爆発を起こした。

「バルクホルン中将・・・だが、俺達は爆撃という任務は必ず成功させる」


「上空注意!!まだ生きています」


「何!!」

一斉に飛行艇の機長たちが空を見上げる。そこには先程自分達を襲ってきてたった今撃破したと思われていた古代兵器だった。

龍斗はミサイルで指揮官機を撃破した後アフターバーナー全開で上昇し飛行艇の攻撃を避けたのである。

「あれぐらいの攻撃で壊れるわけねえだろ!!貴様らも指揮官さまとともに墜ちろ!!」

F-35から放たれるガトリング砲“GAU-8”の30mmの弾丸は次々と残りの飛行艇を駆逐していった。

「ぐわああああ!!」


「お前らじゃ古代兵器にはかなわねえよ・・・ただいまの時間1時50分。夜襲は明日に延期だな」

一人で時計を見ながら遠くへ向かってしゃべる龍斗は機体を反転させプシェムィシル要塞へ戻ろうとしていた。







「ついにバルクホルンも死んだか・・・・」

イェーガー少将は死んだ元ライバルの形見であった拳銃を握って過去に浸っている

「マクシミリアン様・・・」

一方リディア大佐は戦闘結果があちら側の被害ロンツァート城。こちらの被害爆撃飛行艇150機という無様な結果にいらついているマクシミリアンを心配している。

「だが、我々は指揮官一人死んだぐらいでくたばるわけではない」


「だがよう、マクシミリアン。この無様な戦闘結果。これは尋常じゃないぜ?バルクホルンがこちらに状況報告する間もなくやられたって言う事実でもあるし、残党どもが古代兵器を使ったと考えるのが妥当だ。これ以上戦闘を続けるなら陸上部隊全滅を覚悟してやるべきじゃないか?」

イェーガーがごもっともな指摘をしそれを素直に聞くマクシミリアン。

しかし素直に聞くだけで彼の言うことを聞くではなかった。

「奴らが古代兵器を使っているのは承知の事実。我らはそれに対抗するためにこれだけの古代兵器を用意した。陸上部隊が全滅するなどありえん」


「しかしマクシミリアン様。あのプシェムィシル要塞はレーバテインの炎ですら効かなかったシャンバラ最強の要塞です。これをそこらへんの古代兵器ごときで叩きつぶそうおするのは間違いかと・・・」

融通のきかないマクシミリアンに追い打ちをかけるように説得するのはフェリクス少将。

少将とは思えない若さのエリートコースまっしぐら。

彼が言ったことですらマクシミリアンには効かなかった。

なぜなら彼の考えは破壊ではなかった。

「叩きつぶす?バカを言うな。あれは我々の新たな要塞だ。壊すなどもったいない。奪い取るのだ」


「奪い取るですか・・・・・・」

無理だ・・・とも言えずにフェリクス少将は黙り込んでしまった。

イェーガー少将も黙り込んだ。だが、彼はフェリクス少将とはまた別の理由でのだんまり。

(150機の連絡する間も与えない撃滅。古代兵器ではなかったとしたら・・・ポートランド=ソフィア王国・・・・人間でそれだけの力を持つのは・・・ヴァルキューレであるイリーナ皇女だけだ。ロストフ半島戦争で唯一の帝国の敗北・・・・彼女がまだ生きているというのか?)

彼は自室に戻り悩んでいた。







翌日――――――南プシェムィシル村 大衆酒場

「連戦連勝!!ひゃっほーい!!」


「宴だ宴だ!!」


「わしのおごりだ!!飲め飲め!!」

大衆酒場で元ソルジャーであるアーノルド大佐のおごりでポートランド=ソフィア王国軍での大宴会が開かれていた。

それもそのはず。あれだけ巨大な軍艦・・・H44級戦艦を捕獲し、その他多数の敵艦も拿捕。捕虜も多数。さらに爆撃しに来た爆撃飛行艇群を全滅させた龍斗の話は村に広まっており連戦連勝の大騒ぎ。

「今は亡きリュート王に乾杯!!」

今ここにいないというだけなのにまるで死んだかのような言い草で龍斗を称え酒を飲むガルバン。それに続くのはカザード。

「乾杯!!」


「今日は要塞建工中止。明日からだ」

敵が攻めてきたことに完全に油断しており全滅必死の飲みっぷり。

だが最前線であるプシェムィシル要塞では







「この前できなかった夜襲。今日決行だ」


「・・・時間もこの前と一緒でいいか?」

エーリッヒは言った。

「ああ。一分も狂いなく。この前よりも確実にできるように武器も村に戻って持ってきた。全員一丁ずつ拳銃と手榴弾。そして大和皇国から送られた大量のナイフ。このナイフは古代兵器の装甲でできている。そう簡単には壊れない」


「心強いが何故か心細い」


「細いのは刀身と銃身だけだ。下らん心配はするな。俺達が奪うのは命ではない。武器だ。武器がなければ敵は困る。戦えん。戦意喪失させてやる」


「ああ」


「望むところよ」


「私も勿論連れてってくれるわよね」

本人いわく怪我が治っているらしいが俺的には安静していろと言いたい。

だがいくら言っても言うことを聞かないのは確かだ。だからあえて来るなと言わない。

けど、変わりに言うこと。

「お、俺の傍から離れるな。まだ、治ってないだろうし」


「心配してくれるの?ありがと」

素直に喜んで俺に笑顔を見せてくる。

その笑顔がなぜか可愛らしく龍斗はつい顔を赤らめる。

傍にいるイリーナの顔が明らか不機嫌だということに龍斗はまったく気付かない。

「じゃあ、集合は1200。ではそれまでに準備を済ませておくように。以上解散。」

俺はそう指示を出し時計を見る。今は朝の8時。作戦決行は夜中の12時。それまで俺は19時まで寝る予定だ。




ベットに上向きに横になり天井を見つめる。

「俺達の戦争はいつまで続くんだ?」

時が解決するような心配をして龍斗は眠りについた。



そして要塞の近くの森林におかれたF-35ライトニングIIは月光に照らされ奇妙に光っていた。


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