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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第四章 建国編
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#53 Monster拿捕

「バルト海艦隊!!モンスターはそっちへ行った。包囲しろ!!」


「了解」

MET送還機によって情報のやり取りと指揮の伝達がつながっている。

「は、速い」


「30ノットを超えている」

圧倒的な次元の違いをポートランド=ソフィア海軍に見せつけるラインハルト・シェア大佐命名“モンスター”ことH44級戦艦。その速度は30ノットを超えており追いつけるのは二代目ローレライのみ。

「何としてでもとめろ!!突っ込んでもいい。こいつをこの海域から出したら南プシェムィシル村は今度こそ火の海だ!!」


「了解!!」

威勢良く返事が来るが全く追いつけずに差が出てくるのは事実である。

「仕方がない。奴の動きを止めてからにしようと思ったがこれで止める。艦対艦ミサイル用意」

艦長の一言により全員がCICのモニターを見る。その動きは未だにぎこちないがそれでもさまにはなっている。

「目標はモンスターの煙突部分だ。」


「了解。」

艦長の命令によってミサイルの目標を設定するCIC担当。

その作業はほんの僅かで終わった。

「目標入力完了。いつでもいけます」


「そうか。なら艦対艦ミサイル全弾発射」


「ぜ、全部ですか?」


「ああ。ミサイルならまだ輸送船に残っている。これを今使わずにいつ使うんだ?今すぐにでもこいつを止めなければ」


「はい。わかりました。艦対艦ミサイル発射!!」

たった一つのボタンで二代目ローレライの甲板から放たれた8つの円柱状の物体はモンスターの煙突めがけて放たれた。




――――――H44級戦艦戦闘指揮所

“ドォォォン”と大きな音が鳴り響き艦が揺れる。

「な、なんだ?」


「艦長!!」


「どうした?」


「ポートランドの艦隊による攻撃により煙突大破。機関部損傷大。まともに航行することは不可能です」


「なんだと!!」

さすがの化け物戦艦でも対艦ミサイル8発の攻撃を防ぐことはできなかったようだ。

「今のところ最高でも10ノットが限界。これ以上ひどくなる場合もあります。」


「仕方がない。今はここで浮き砲台となり味方艦艇の援助をしよう」

艦長がそう決めた時だった。再び振動が訪れたのは。しかし、先程と違って爆発音は聞こえない。

その頃・・・・H44級戦艦甲板

「貴様ら!!乗り込むんだ!!この艦を制圧しろ!!」


「はっ!!」

先程の衝突は多数のポートランド=ソフィア王国海軍の艦艇が何隻も衝突し乗り込んできた音だった。艦長が途中であの軍艦は使えると言ったのが原因だった。これによって動きが遅くなったモンスターは味方艦艇による突撃をし、中の陸戦隊による制圧作戦が取られることになった。

「くたばれ!!!」

“バババババババ”と小型化されたガトリングガンが小さく轟く。1秒間に10発程度撃ち放たれるこのガトリングガンに陸で戦闘する事を考えていなかったH44級戦艦のクルー達はほぼ無抵抗のまま殺されていくのであった。

「どうします艦長?」


「うむ、このまま降伏するのは・・・」


「でも俺は降伏をお勧めしますよ?いくら俺とは言え、数百の連発式の銃を手にした軍勢を相手にしろてのは無理ですぜ?」


「しかし、私の名に汚名が」


「・・・・ならば俺はここで。さいなら~」

精霊化魔法により翼をはやして戦闘指揮所を突き破ってジークフリートは逃げ去って行った。



2時間後――――――

結果は言わずともポートランド=ソフィア王国海軍の勝利。

とは言え、ポートランド=ソフィア海軍の被害も少ないという訳ではない貴重の艦艇を130隻中25隻も沈めてしまった。大半はモンスターによる攻撃。モンスターの砲弾2発食らっただけでほとんどの艦艇は息絶えてしまった。だが、その見返りに動きはしないが、いい固定浮き砲台となったモンスターに20隻以上の帝国の艦艇を捕獲する事に成功。

結果的にはプラマイゼロだが人的被害にマイナス。戦力的にはアップした。







――――――――南プシェムィシル村

「助かったのか・・・・」


「俺達は・・・」

降ってこなくなった砲弾の雨に安心し二人で背中合わせでしおれているガルバンとカザード。そんな二人を見て激怒するはアーノルド大佐。

「お前らそんなことしている暇があったら海岸要塞を作り上げろ!!」


「へいへいへいへい!!」


「よかった・・・・助かった」

安心しているのはこの二人だけでなくアーノルド大佐も一緒だった。

だが、まだ安心できない。

海からの攻撃は避けた。けれども・・・・



―――――――プシェムィシル要塞

「攻撃が激しいな」


「こんなんじゃ外へ出て対戦車ミサイルすら撃てない。まだ飛行艇があれば・・・」

僅かな願いだが俺は言ってみる。所詮かなうことはないが。

「そんなもの俺達は持ってきていない」

いちいち無駄に反発してきたエーリッヒに俺は嫌味を言う。

「旧式艦はたくさんあったのに・・・」


「一言余分だゴラァ!!」


「喧嘩しないでくださいな」


「す、すみません殿下!!ほらリュート・クキも謝れ!!」


「すみません」

二人揃って頭を下げるはバカ二人。

「いいえ、そんなに頭を下げられては・・・」


「ほら、困るって言っているだろう。俺の頭においてある手をどけろ」


「くっ、調子に乗りやがって」


「そんなことしている暇があったら何か考えなさい!!」

俺達の悪ふざけに口で武力介入を果たしたのは取りあえずもう一人の皇女イリーナ・ソフィア。

「そう言うお前は何も考えていないけど」


「か、考えてあるわよ!!あ、甘く見ないで頂戴!!」


「ふーん。じゃあ何?言ってみ」


「それはね・・・あれよあれ・・・・・」


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「ふーん。あれね・・・・・・・・・・あれって何よ?」

みんなして一斉にイリーナの方向へ向く。エアリィに関してはいじめに入っている。

もう俺は既にわかっていたのだ。

この勝負。俺に負けはない。詰んだな。

「ないんだな・・・」


「ないんじゃないのよ!!忘れちゃっただけなの!!」


「はいはい。解りました」


「解ってない!!」

怒って口を膨らませながら俺の背中をぽかぽかと叩く。

「ほほえましい光景ですね」


「まあ、冗談はさておき、そろそろちゃんとしたことを考えなければ。そこで俺に方法がある」


「なんだ?」


「夜襲だ」


「「「「はっ?」」」」

全員一致の答え。こいつ何言っているんだ?

みんなの視線は俺に対し向けられ、その視線はとてつもなく痛かった・・・



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