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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第四章 建国編
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#52 宣戦布告なき戦争

「いいか?敵は引きつけて撃て。レーバテインの炎に耐えたこの要塞なら向こうの攻撃は全く効かないと言ってもいい。だから敵に存分に撃たせろ。飛行艇に対してもそうだ。砲の角度は変えずに一定。特定の位置に来たら撃て。いいな?」


「はっ!!」

巨大な要塞に立てこもるのは大きさの割には圧倒的に少なく7千人。

大半は元国境警備軍。4分の1程度が自警軍。指揮官九鬼龍斗。

数十キロの要塞に均等に分けられた兵士。

対する帝国は兵士数万人。古代兵器180両と5000挺。飛行艇200艇。

戦力差は歴然。だが、龍斗は敵を全滅させることを狙っているわけではない。



撤退―――――ただそれだけだ。龍斗にとって一番の問題はそこではない。

南プシェムィシル村の海岸。いつまた敵の攻撃を受けるか。2代目ローレライがあるから安心はしている。

だが、そのせいで、その安心の所為でこの前は攻撃を受けた。だからどの手で攻撃をしてくるか。

「今更心配しても仕方がない。それにこちらには大和皇国の技術を受けて開発した潜水艦もある。俺の言ったとおりにしていてくれれば・・・」






―――――――南プシェムィシル村海岸

「よし。砲台の準備もOK。敵が来てもどんと来い!!」

胸を張ってガッツポーズをとるガルバン。隣で呆れているカザード。

そして地道に指揮を執るアーノルド大佐。言われた通りに作業するエンフィールド。

「そんなガッツポーズしている暇があるなら作業してくださいよ。リュートさんが海岸要塞は早めに完成させてほしいって言っていましたよ。サルデーニャさん達の支援で作っている軍港も既に7割がた完成しているのにもかかわらず明らか早く始めた私たちのほうが5割程度って・・・遅すぎですよ」


「そうだな。リュート!!そっちは任せたからこっちは俺達に任せろ!!」

更に胸を張るガルバン。そんなことをしている時だった。

“ドゴォォォン”

地が揺れ、台地は裂け、轟音を散らし降り注ぐは砲弾の雨。





だが・・・・

応戦しようとも敵が見えない。

「どこだ?どこに敵艦は?」


「見えません」


「哨戒艦隊はどうした?」


「こ、こちら潜水艦隊。哨戒艦隊全滅した模様。こちらからの攻撃による被害は軽微。敵艦40・・・超巨大戦艦1隻。大きさ・・・・およそ350!!」

潜水艦隊からの偵察状況をMET送還機で聞きとる自警軍。その報告内容には誰しもが耳を疑った。

「350!!いい加減なことを言うな!!そんな巨体動くはずがない!!」


「いや、彼の言うことは本当だ。こちらで状況を確認した。大きさ356m。半径40km圏内に入った。」

別のMET送還機から聞こえてくる報告はポートランド=ソフィア王国海軍切り札。2代目ローレライ。搭載されているフェイズドアレイレーダーにより超巨大戦艦を確認した。というラインハルト・シェア大佐による報告。

「どういうことだ?」


「お前ら!!完成していなくても要塞内部に入れ!!何かにつかまるんだ」


「は、はい!!」

アーノルド大佐の怒号により要塞建築中の兵士たちは一斉に完成していない海岸要塞の中に入る。

「見えない敵をこの砲で撃つのは難しい。頑張ってくれ。オーレリシア最強艦隊!!」

後は任せたぞという風にアーノルド大佐は元ポートランド皇国海軍現ポートランド=ソフィア王国海軍に任せたのであった。




その頃―――――プシェムィシル要塞

「撃て!!」

“ドゴォォォン”と放たれるポートランド皇国製の大砲。臼砲や榴弾砲。カノン砲など様々な砲が置かれているが一斉に放たれているため区別などできない。

唯一区別できるのは俺達の前にいるやつらは全員敵だということだけだ。

「ええい!!恐れるな!!戦力はこちらが圧倒的に上回ってる。砲台のすきを見て放て!!」


「了解」

古代兵器部隊を指揮するリディア・ブレス大佐は部下を率いてファーストペンギンになろうとしている。

「全く・・・俺たちに対し宣戦布告なしで戦争を開始するとは・・・条約違反だぞ?」

この世界でも戦時条約は決まっており捕虜に対する扱いと民間人の殺害の禁止。そして戦争を開始するには宣戦布告をすること。それがないということはつまり俺たちは国として認められていない。

つまり反帝国勢力の一つということでかたずけられているのか・・・・

「なら上等だな・・・お前ら!!古代兵器に近付かれると厄介だ。古代兵器集中に攻撃しろ!!」


「もう既にやってます!!」

俺のオーダーもむなしく、既に要塞内の兵士たちはものすごい勢いで進軍してくる古代兵器部隊に攻撃を仕掛けていた。だが、その攻撃は俺の発したオーダー並みにむなしく

「全然効かねえ!!」


「全然当たらねえ!!」

全く効かなかった。

「ええい、どけ!!」

俺は近くの砲台の兵士をどかして、C-2輸送機から持ってきた物を取り出す。

「な、なんですかそれは?」


「対戦車兵器とでも呼ぼうか。あそこらの古代兵器に対抗できる兵器。いわば古代兵器だな」

俺は肩に担いでいるジャベリンと呼ばれるアメリカ軍の歩兵携行式多目的ミサイルの発射機の触れる。

「何してるんですか?」


「ちょっと見てろって」

俺はゆっくりと標準を合わしていく。まあ少しぐらいずれていてもこのミサイルは自律誘導するから空自の俺でも扱える。

「Fire!!」

俺のセリフと同時に発射機前方から突きだし推進していく円柱状の物体はまるで生き物のごとく目標に向かっていく。目標は勿論帝国の古代兵器群。講習直後のオペレーターですら94%の命中率を持つミサイルは目標に直撃。大爆発を起こした。

「す、すごい」


「みている暇があったら大砲でも撃ってろ。この世界の大砲でもそれだけの口径だ。装甲がへこむくらいはするだろう」


「りょ、了解です。」


「少しは士気が上がったか?」

自分がした行動によって部下たちの士気が少しでも上がっていたらいいなと思う龍斗だった。その一方

――――――――南プシェムィシル村近海 二代目ローレライ

「クルーは全員衝撃に備えろ」

艦長による艦内の放送によってクルー達はすぐさまに近くの何かにしがみつく。

「うわああ!!」

船の近くの海に着弾しその振動で起こる波によって揺さぶられる船。

「まさかあれだけの巨体の船と戦おうことになるとは・・・何かいい作戦はないか・・・」

今オーレリシア最強艦隊となったポートランド=ソフィア王国艦隊はあの戦艦大和を超える化け物戦艦H44級と呼ばれる幻の戦艦と戦っている。

「あの煙突・・・きっとあそこが、機関部なのではないでしょうか?大和皇国からの技術提供で蒸気機関車というのがありましたが、機関部のちょうど上にあのような煙突が付いていましたから」


「成程・・・つまりあそこを狙って・・・」


「浮き砲台にする。」


「そうです。でもそれだけでは心配なので、他の艦に艦尾・・・多分スクリューなどがあるでしょうから、そこを破壊すれば・・・動けないのをいいことに艦隊で体当たりを喰らわして、乗り込む。どうでしょうか?」

ラインハルト・シェア大佐は部下の意見が気に行ったらしく首を縦に振る。

「よし、それで行こう。対艦ミサイルの着弾をあのモンスターの煙突に。他の艦に連絡。モンスターの護衛艦隊はザクセン海艦隊が。バルト海艦隊と地中海艦隊はモンスターに専念。モンスターの艦尾めがけて集中攻撃だ!!」

二代目ローレライからはラインハルト・シェア大佐の怒号が響き渡っていた。


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