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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第四章 建国編
54/70

#51 戦争開戦準備

「オーライ、オーライ。そこそこ。そこに運んでくれ」


「ういーす」

木で作られた人力のクレーンで運ばれる軍艦の砲塔。

龍斗の指示により南プシェムィシル村の海岸は徐々に少しづつだが要塞化している。

積み上げられた石。均等に並ばれた砲塔。復興困難と見た村南部も復興の代わりに要塞化している。

さらに帝国の軍艦を通さないように並んでいる元ポートランド皇国海軍の軍艦。

帝国をキエフ海から出さないための準備が整いつつある。

「順調だな」

龍斗は新たに作られている軍港と海岸要塞を見ながら少し満足そうな顔をする。

俺達がサルデーニャ帝国に建国を表明してから1週間。

サルデーニャ帝国は好意的な意見を表し、俺達に支援をする約束をした。

プトレマイオス共和国もポートランド=ソフィア王国の建国を認める意を表した。

「これが本日サルデーニャ帝国から来ました援助物資です」


「どれどれ・・・小麦粉10トン、米30トン、鉄1トン・・・・けち臭い奴らだ。まあこないよりましだ。向こうが支援をくれている間に自給自足ができる体制を作らないと・・・」

俺は新しく始まった自給自足計画の一つである田畑を作り上げるための広大な森林伐採を眺めている。

「伐採された木はあの山を鉱山とするために使われる」


「成程。うまく考えたものだ」


「ん?なんだ・・・エーリッヒか。」


「なんだとはなんだ。」


「こんにちは。建国作業はどうですか?」


「これはこれは・・・ローラ皇女殿下にイリーナ皇女殿下。勿論順調です。」


「変な呼び方しないで!!私は建前だけなんだから!!」

俺のイリーナ皇女殿下という発言に文句を言うイリーナ。

建前と言ってもこの国のトップなんだから別にいいだろうということを言いたかったのだが、別にどうしてもって言うほどではなかったのでやめた。

「はいはい。それで、俺になんか言いたいことがあってきたのだろう。なんです?」


「察しがいいですね。偵察に行っていた・・・」


「あたしがね、見たの。帝国軍の不穏な動き」

イリーナとローラ皇女殿下の間に私ですよーと名乗り出ながら割り込んできたのは猫娘。

または人間モドキか猫もどきのエアリィ。

「言っておくけど獣人族だからね」


「何で俺の考えていたことばれてるの?」


「そこは置いておいて、帝国のキエフ艦隊が集結しつつ、陸軍の方ではプシェムィシル要塞から北5kmに古代兵器をそろえて展開。飛行艇までそろえてあるわ」

自分が見てきたことをはっきりとした口調で言うエアリィ。その言葉に間違いはなさそうだ。

「めんどくさい連中だな。まだ準備が整っていないのに。しかも俺の読み外れた・・・

絶対しばらく攻めてこないと思ってたんだけどな」


「いまさら言っても仕方あるまい。むしろ貴様が早めに計画をおしたせいで帝国もそれに気づき、俺達が戦争の邪魔になると見たのだろう。」


「成程。俺達は向こうにとって過大評価されているわけだな。なら話は早い。その評価をもっと上げさせるか・・・ここに俺がこれから何をするべきか書いた紙がある。いわゆる計画表みたいなものだ。この通りにやってくれ」

俺は石の上に置かれた紙の束に目をやる。それにつられみんなが目を計画表という名の紙の束に目をやる。

「あ、あんたはどうするの?」

まだ治ったばかりだというのに元気に偵察しに行ったエアリィは俺の動向が気になるようだ。

「前線指揮をする。そのためにプシェムィシル要塞まで行く」


「ちょっと!!」


「悪いな。むこうが攻めてくるならこちらとしては自軍の士気を上げたいものだ」

そう言うと龍斗はC-2輸送機に戻ってストライカー装甲車に大量の武器弾薬を積む。

「耐Gスーツにヘルメットか・・・役に立ちそうにないが・・・持ってくか」

意味も解らず持っていても無駄な耐Gスーツを手にしストライカー装甲車に乗せる。

そして龍斗はプシェムィシル要塞へ向かって行く。はずだった。

「は~い。ここからは通行止めで~す。先を行くには私たちを乗せていきなさい!!」


「異論はないわよね?」


「は、はい・・・・」

イリーナとエアリィ、まさかのローラ皇女までもが加わりそしてとどめには護衛のエーリッヒまでを連れて俺はプシェムィシル要塞へ向かうことになった。

話によると俺の代理はアーノルド大佐がしてくれているらしい。

まあ彼なら安心だ。





―――――――プシェムィシル要塞北5km

「ふふふ、皇帝陛下である私自身が前線指揮に来たのだ。自軍の士気も上がるだろう」


「勿論でございます。マクシミリアン様

司令部となっている大型飛行艇には共産主義を掲げた神聖東オーレリシア第2帝国の皇帝陛下であるマクシミリアンとその他参謀4人が周りを囲むように座っている。

「なあ、マクシミリアン。やつら本当にポートランド=ソフィア王国と名乗ったのか?」


「間違いない。イェーガー・・・だがそれがどうした?」


「いや、なんでもない・・・」

(たしかにソフィア王家で唯一遺体の見つからなかったというか殺されなかったのはイリーナ皇女殿下・・・だがしかし・・・生きているはずがない。指名手配にされてはいたが・・・あの年齢で俺達の包囲網をかいくぐれるわけがない)

「だが、しょせんはポートランドの残党。再び発掘し、集結させたこの古代兵器の量。たとえレーバテインの炎に耐えたといえ、これだけの軍団を防げるか!!」


「ごもっともでございます。マクシミリアン様。古代兵器部隊の指揮はわたくしリディア・ブレスにお任せを」


「期待しているぞ」


「はっ!!ご期待に沿えるよう頑張ります」





――――――――プシェムィシル要塞

「なんだこの数・・・・古代兵器もこの前の数とはケタが違う。」


「飛行艇までそれているよ・・・」


「この要塞は保てるのか?」

次々と不安の声を漏らす俺についてきた連中。

だから俺一人で行きたかったんだ。なぜって?

「お前ら・・・自軍を不安にさせるようなこと言うな。士気が下がるだろう」


「そうだね」


「まぁ、この要塞はレーバテインの炎に耐えたというのだから他の古代兵器の攻撃はかゆい程度なのだろうけど」


「だが、1万年も前のもの」


「それを言うならあそこにならんでいる古代兵器群も1万年も前のものだ。しかも全部中古品」


「んん・・・まあ確かにそうだが」


「なら大丈夫だ」






―――――キエフ海

巨大な軍艦1隻にその3分の1にも満たない大きさの軍艦数十隻が周りに護衛としてついている。

「貴様ら準備はいいか?」


「はっ!!」


「俺達ルーシア征教が直々で発掘した世界最大の軍艦H44級戦艦でポートランド皇国海軍残党を蹴散らす!!」

全長が350mもあろうかという巨大な戦艦の艦首に立つジークフリート・アルジェントはポートランド=ソフィア王国を滅ぼすための準備をしていたのであった。



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