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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第四章 建国編
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#50 外交準備

――――ポートランド皇国敗北。中央同盟国敗戦濃くなる!?

このような見出しがウィーンペスト崩壊から3日後ウィーンペストタイムズの一面を覆った。ウィーンペストタイムズとはギルド公社情報部が発刊している新聞で一日の部数は1000万部を超え国民の新聞の6割はウィーンペストタイムズである。

「崩壊したウィーンペストを占領した帝国軍はサルデーニャ帝国、西部戦線とユートランド要塞で抵抗するポートランド皇国残党軍を征討する動きあり。一方西部戦線のポートランド皇国軍は祖国崩壊で戦意喪失どころか戦意が高揚したようでサルデーニャ・ポートランド連合軍によりノルマンディー公国、ガリア、フランク第四共和国まで降伏。プトレマイオス共和国はカルタゴを全面占領。ついに連邦崩壊か?とまで書かれている。」


「ふん。今はそれどころじゃないだろう」

俺が新聞を読んでいれば皮肉にも俺の事を否定するエーリッヒ。

「情報は重要だ。悪いが西部戦線とユートランド要塞の残党軍には頑張ってもらわないと・・・」


「どういうことだ?」


「帝国が奴らの討伐に向かうなら俺達を素通りするはずだ。俺達を攻撃するには海から上陸するか、山を越えるかプシェムィシル要塞を撃破して進軍するかしかない。レーバテインの炎に耐えた要塞を攻撃するバカはいないだろう。俺なら前者を選ぶ。案の定帝国も海からの上陸を選んだ。しかしそれで一度敗れて撤退している。もう一度同じ手が成功するとはかぎらない。こんなところで時間稼ぐよりも楽な方から確実に潰す。だからここを素通りするんだ」

ふーん。といった顔で俺の意見を聞く特戦部隊長。

俺が一生懸命説明しているのにもかかわらず。だが、彼は彼なりに聞いていたようで容赦なく質問をしてくる。

「それがなぜいいことなんだ?確かに攻撃はしばらくされないが、いずれしてくるだろう」


「その間、時間がかかる。その時間でこの村の防備を固めるんだ。今日からでも間に合う。いや、むしろ今日からしないと間に合わない事もある」


「なんなんだそれは?」

九鬼龍斗はその質問に対し答える前に舌を出しニヤリと笑い答えた。

「まずは主要メンバーを集めろ。俺の言うことを良く聞いてもらうためにな。とりあえず集めてくれ」


「俺はお前のパシリーになった覚えはないが、ポートランド家の最後の血筋を守るためなら言うことを聞いてやろう」


「まあ一応礼は言っておくよ」





――――――2時間後 司令部

「取りあえず集まってもらったんだが・・・」

メンバーは俺。エーリッヒ。元皇女様二人。師団長。ラインハルト・シェア大佐。元ポートランド海軍司令長官様etc・・・・・

「えーと、イリーナとエアリィは何でここにいるの?来てもあまり意味ないんじゃ・・・」


「私は貴重な戦力なのよ。いてもいいじゃない」

自分は帝国軍に大敗北をさせた人だぞと言わんばかりにない胸を張るイリーナ。自分が国を守るためとはいえ2万人程度の帝国軍を殺したことすら覚えていないのに・・・

「じゃあそこは置いておいてエアリィは?治療院で絶対安静じゃ・・・」


「獣人族の身体と人間の身体を一緒にしないでよね。そんなにもろくないわ!!」


「はいはい。わかったわかった。いてもいいけど邪魔はするなよ。で、本題が遅れた。これからしてもらいたいことを言う。まずはこの地図を見てくれ。俺達が現在手にしている領域だ。北はプシェムィシル要塞まで東はこの無名の山までだ。」

うんうんと全員一致で首を縦に振る。よし、ここまで順調だ。

「そして領域不明確なのは海だ。特に南の海域は帝国がサルデーニャ帝国討伐に向かうというなら・・・」

俺はプシェムィシル地区の南に位置する地中海の東端の海域に指をさす。

「ここ。ここを通りサルデーニャ帝国のシーレーンを脅かすだろう。そうなれば我々はサルデーニャ帝国ともプトレマイオス共和国とも通信が取れず援助ももらえない。そして、いつ、また帝国が海から上陸してくるかわからない。敵にシーレーンを脅かされないために海上封鎖をする」


「成程」

取りあえずみんなからは首を縦に振る者が多い。一部理解ができずに悩んでいる奴がいるが・・・それは置いておいて

「後もう一つある」


「なんだ?」


「旧式艦。俺が見た中で使えそうにない古い軍艦・・・まあ戦闘艦艇だけだが全軍艦178隻中48隻あった」


「そんなに?」


「と言っても使えないという訳ではない。他国の最新式の軍艦に比べると速力や火力が落ちるという所だ。そこで、南プシェムィシル村の超巨大古代兵器であるあの巨船は海軍基地になっている。あそこでその船の砲塔を外し村の海岸に付ける。」


「成程。そうすれば敵の軍艦が来ても、ある程度その大砲で威嚇でも撃破でもすればいいのか」


「そう言うことだ。さらに砲塔などの武装を外した船は軽くなり速度が上がる。ならば輸送船にはもってこいだ」


「ではどれくらいの期間が必要と?」

海軍司令長官直々の質問。珍しい。

「そこら辺は良く解りませんが最低でも1カ月以内には終わらせたいと・・・」


「1か月!!そんな短期間で?」


「多分1か月もあれば帝国もそれなりの装備を備えこちらに向かうでしょう。我々で帝国を止めるという名目でサルデーニャ帝国に援助を求めるいい機会になるでしょう。それを口実にもう一つプトレマイオス共和国かサルデーニャ帝国に頼んで海軍基地を作ってもらいましょう」


「そんなことあいつらに通用するとでも?」


「いいえ。通用するはずです。とくにサルデーニャ帝国には。彼らはポートランド皇国が消え去った今オーレリシア大陸で完全に孤立しました。防壁となる国はない。しかし、俺達という帝国にとっての敵対勢力ができれば、いや、むしろそれを望んでいる。いい口実だ。さらに大和皇国の技術を売りつければもっと交渉をうまく勧められるでしょう。たしかローラ皇女殿下はサルデーニャ帝国で安全保障条約を締結しに行ったと聞きましたが・・・」


「はい」


「なら話は速いです。今からでも行きましょう。事は早く済ませたほうがいいですし」


「確かに。ではほかに誰か、私一人ではあれですし・・・」


「それなら俺が行きましょう」

すぐさまに自己推薦をするエーリッヒ。まあ選択は間違っていないだろう。

だがまだ足りない。

「俺はこの村の指示のために残りますから、ラインハルト・シェア大佐。2代目ローレライなら初代ローレライが8隻束になってきても無傷で倒せる船ですから、2代目ローレライを派遣するのが一番かと」


「うむ。わしもそう思っていた」


「それとイリーナも」


「えっ?わたしも?」


「取りあえずここを国にしたいから、ポートランド皇国の皇女とキエフ=ソフィア王国の皇女が二人で建国した国家という名目で一緒に行って欲しい。たぶんサルデーニャ帝国でも顔ぐらいは知っているだろう。そうだな・・・・自己紹介の時はポートランド=ソフィア王国でいいんじゃないか」


「ちょ、ちょっと、勝手に話を進めないでよ!!」


「俺の言うことは聞いてくれないのか?」

俺はトーンを下げて残念そうに言う。

「べ、別にそう言う意味じゃ・・・なんていうか急過ぎるというか・・・心の準備とか・・・しかも外交経験なんて覚えてないし・・・」


「別にいるだけでいいんだ。頼む。この通りだ。俺からの頼み事なんてまずないんだから聞いてくれよ。ダメか?」


「・・・わかったわよ。今回限り。いい?」


「話が解って助かる。という訳だ。みんな、頼んだぞ!!」

集まったみんなからはオーというやる気に満ちた声があふれ出た。

俺達はまだくたばるわけにはいかない。



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