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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第三章 オーレリシア大戦編
46/70

#43 英雄スルト

「ふあぁぁぁぁ。ねむいよ」


「がまんしろ」


「やだやだ。私たちが眠いんだから向こうも眠いに決まってる。攻撃なんてしてこない」

第二次大戦中のイタリア軍みたいなこと言うな!!

「・・・・」

俺はエアリィを睨みつけるが全く動じない・・・というよりも全く気が付いていない。

相当神経が図太いらしいな。

「いつまで見張りやってればいいのよ」


「夜が明けるまでだ」


「はあ?何言ってるの?殺す気?そうねあんたはあたしを殺す気なのね?」

何言ってんだこいつ。という目で半ば哀れな目でエアリィを見続けるのはこの作品の主人公兼悪魔・・・もしくは大量殺戮者とでも呼ぶべき立場にいる九鬼龍斗。彼本人大量虐殺などしていないが・・・

「はぁ・・・・もうここで寝てろ。俺が見張りやるから。」


「やったね。じゃあ遠慮なく」

“パフッ”・・・彼女は寝転がった瞬間速攻で寝た。本当に遠慮がない。

俺は別に寝ていることに対して遠慮がないと言っているわけではない。

「・・・・・・こいつ」

寝心地が悪いのか知らないが、俺の太ももを枕にして寝ている。

「あのなぁ。こういうシチュエーションは普通逆なんだぞ?」


「すぅ・・・すぅ・・・すぅ」


「完全に寝やがった・・・」

俺だって我慢しているのに。暗闇の中でも目が見やすくするために暗視ゴーグルフル稼働中なのに。

「くそっ!!こういう時に敵が攻めてくればこいつにも危機感がわくのに・・・」

俺はあとあとそう望んだことを後悔した。そう。俺が今言ったことが現実になるなんて。





「ふっ・・・のんきな奴め。貴様の命もあと少しだというのに。まあいい。まずは寝ている奴から殺してやろう」

後ろを振り向けばそこは海と言わんばかりの崖から狙撃銃を構えてエアリィを狙い撃とうとするのは、この戦争を引き起こした張本人“ジークフリート・アルジェント”

彼は軽くトリガーに人差し指を掛け、スコープで目標を絞る。

「頭が狙いどころだな」

“パァン”

龍斗の耳に聞こえた時、エアリィは胸から血を大量に噴き出して倒れていた。

「お、おい。どうした?」

俺は近くに転がっていた弾丸を見て確信する。近くに古代兵器を扱える帝国軍がいる。

その中の、誰かにエアリィは狙撃されたこと。

「うううリュート・・・・」

ガクッ・・・・一向に起きる気配を見せないエアリィ。俺は焦りを覚えていた。そんな時。

“ブォォォォォォ”と海から聞こえる音。暗視ゴーグルをして海の方向を見る。

「そ、そんな・・・・」

そこにはあの鎌と槌のルーシア征教の旗が立てられた大きな船・・・もとい輸送船とでも呼ぶべきだろうか?

甲板の上に乗っている古代兵器・・・装甲車や戦車を運んでいる姿は間違いなく輸送船である。

「くそっ!!」

おれはカールグスタフに照明弾を装填し真上に撃つ。

一気に空は真昼のように明るくなり、俺はその間に新たに対戦車榴弾を装填する。

「くらえっ!!」

俺は輸送船と思われるべきルーシア征教の船に向けて放つ。

カールグスタフから放たれた対戦車榴弾はうまい具合に輸送船に向けて激突し爆発を引き越した。さらに続けて2発目3発目と撃っているうちに、対戦車榴弾、多目的榴弾全弾撃ち終え、それでも輸送船は沈まず、それどころか輸送船は近づいてきて俺は仕方がなくエアリィを抱えたまま一目散に逃げることにした。

勿論逃げる場所は寝床であるC-2輸送機。





「ど、どうしたの?こんなに時間に?」

はぁはぁと息切れをする俺に心配するイリーナ。俺よりもエアリィを心配してくれ。

「て、帝国軍が、ルーシア征教が・・・海岸から古代兵器を連れて攻めてきたんだ」


「な、なんですって?」


「俺は嘘は付かない。それにエアリィの胸の銃瘡・・・これが動かぬ証拠だ。帝国兵に狙撃されたんだ。エアリィを見てやってくれ。俺も取りあえずできるだけ治癒魔法をやってみたんだが、どうもうまくいかなくて。想像しづらいことは呪文を唱えても無理らしい」


「解ったわ。で、リュートはこれからどうするの?」


「勿論帝国の古代兵器群をつぶす」


「はぁ?・・・・ついにリュートもここまでくればビョーキを超えて末期だわ・・・」

こんなときまで憐れみな目で俺を見るな!!

「だまってろ!!イリーナは取りあえずエアリィを見てやってくれ。俺には策がある」


「柵?」


「策だ。」


「何処に?」


「気づけよ。この中にあるだろうが」

俺の言葉では気づかず、目線をイリーナから”策”に目をやる。

俺の目線をイリーナは確認したようで俺の“策”に気がついたようだ。

「まさか、これを使うの?」


「あたりまえだ。とりあえず弾薬類をここに運ぶから、エアリィをここに寝かしてやってくれ。確か大の大人8人ぐらい入ると思う」

半信半疑のままそぉ~と中をのぞくイリーナ。

「案外広いわね」


「しゃべってないで口を動かせ。一刻も争う時だぞ」

“ドォーン”“バゴォーン”

次々に外から聞こえてくる爆発音。古代兵器があばれていることが音で解る。

「よし、仕度はできた。しっかりしてろよ」


「しっかりって・・・」


「使い方余り解らないけど、大和皇国の元陸自に教えてもらったから多少は解る。」

俺はそう言ってガチャガチャと軍人でなければ分からないと思われる機械を弄りだす。

「しっかり口を閉じて衝撃に備えろ」

“グシャーン”と壁が破壊された音が俺の耳に響き渡る。

しかしそんなことはお構いなしで俺は村の中心部へ向かう。

「間に合ってくれよ」

俺はストライカー装甲車の最高速度で林を突き進み、村の中心部へと出る。

しかし、時すでに遅し。村の中心部は古代兵器によって半分近く蹂躙されていた。

燃え広がる焔。次々に古代兵器によって駆逐されていく自警軍。何も罪のない村人たちが、ただ逃げ惑うだけの村人たちが、次々に殺されていく。

飛び散る血。その血はポートランド皇国国民の血であり、帝国の人間の血ではない。

その姿を見て俺は怒りに震えた。

俺の目に焼きついた景色はまるでいつかみたイラクの国内のようだ。

超大国によって蹂躙される国土。死ぬのは何の罪もない民間人ばかり。無差別に殺される民間人、そして捕虜。数年前に9.11の容疑者として殺されたビンラディンのしていたテロ行為は無差別に殺された同胞の仇という気持ちは今の俺が持っている怒りと近い感情なのだろう。

この場に立たないと解らなかったことだが、彼のしていることがすべて間違いではないと感じた。

そう、正義は一つじゃない。むしろ自分達がすべて正義だと思って、人の国の地面を土足で上がって、罪もない人々を無差別に殺していく超大国よりはましだと思えた。

「くそっ!!くそっ!!」

俺は運転しながらただ、叫ぶことしかできなかった。

「イリーナ・・・エアリィの血は止まったか?」


「う、うん」


「ここにいれば安全だ。少し外へ行ってくる」


「リュ、リュート!!」

九鬼龍斗はイリーナの声も聞かずに外へと出かけてしまった。外は朱に染まり、帝国軍が蹂躙している危険地帯に九鬼龍斗は足を入れてしまった。

「くそっ!!どうして、どうしてこんな罪もない民間人を・・・」

俺は死んでいる人々を見て、生きている人がいないか辺りを見渡す。

しばらく見渡していると、虫の息で生きているおばあさんを見つけ、彼女の元へ走る。

「大丈夫ですか?」

俺の声に気がついたようで老婆は俺の顔を見る。彼女は胸から血を流しておりもう長くはないだろうと俺の直感が感じている。

「あ、あなたはスルト様・・・」


「・・・・」


「この村を救った英雄・・・あなただけじゃ・・・この村をこの国を救えるのは・・・」


(やめろ・・・この戦争は俺さえここに来なければ起きることはなかったんだ。俺のせいなんだ・・・)


「英雄・・・スルト・・・・スルト様・・・御助けを・・・この国を・・・」


(英雄・・・スルト・・・)


「この国を御救いに・・・我らを御導きを・・・英雄・・・」


(俺は英雄なんかじゃない。俺が来なければ・・・)


「ス・・・ル・・ト・様」


(やめろ・・・俺は英雄なんかじゃない・・・・やめろおおおお!!)

老婆は俺の服にすがって助けてを求めながら力尽きた。

「なぜだ!!何故だ。なんで罪もない民間人ばかりが死んでいくんだ!!」


「はン、それは違うなリュート・クキ」


「!!」

唐突に聞こえた声に振り向いた俺は見たことは数回したことがないが二度と忘れるはずがない。

何回も剣を交えて、何度も殺されかけた。そして今でも恨んでいる。こいつさえいなければ、由利菜も親父さんも大和皇国で死ぬことはなかった。二人で家族団らんで治療院で働いて、由利菜にもお嫁さんができて・・・・・

「ジ、ジークフリート・アルジェント!!」


「ようスルト。久しぶりだな・・・・ポートランド皇国国家国民総動員法。国民の一部を強制的に軍隊にしているらしいじゃないか。そこで国民を殺そうと軍人を殺したことなんだから何の問題もないだろう。」

成程。そう言うことか。だからってこんな老人まで殺して何の得があるんだ。

「こんな村までも来て何の用だ?」


「決まってるだろ?始末しに来たんだよ。始末」


「俺をか?」


「お前ともう一人」

俺はもう一人という言葉に背筋が凍る。まさか・・・

「エアリィを殺したのはお前か?」


「エアリィ?・・・ああ。お前と一緒に警備していた獣人族の女か。ああ。あいつを狙撃したのは俺だ。だがあいつは殺しの対象じゃねえ。お前の目の前で殺したかっただけさ。何の恨みもない」


「き、貴様!!」


「おっと、怒るねぇ」


「もう一人って誰だ!!」


「お前と一緒に住んでいる奴。イリーナとか言ったなぁ。あの魔導士。この戦争で使われたら5年前の戦争のサラ川要塞の二の舞になるからなぁ。先に始末しておこうという訳さ」


「サラ川要塞・・・お前イリーナのこと知っているのか?」


「ああ。ロストフ半島戦争の大量虐殺者。帝国兵は恐ろしくてちびった奴が続出したらしいぞ。たかが小国のお姫様にびびって。まあヴィクトルの話だとこの前で力を使い果たしたらしいからしばらく回復に時間がかかるそうだからな。今のうちの殺しておこうと思ってな」

俺と一緒にいたからエアリィも・・・俺がここにいたから村人も・・・俺さえいなければこの国の人々は死ななくて・・・

「貴様・・・お前を俺は許さない。覚悟しろ!!」

ただ今銃を持ち合わせていないので左腰にかけていた日本刀を手にする。

「ははは、そんな細い刀身の剣で、俺が精製したバスターソードに敵うとでも?」

ジークフリートは右手に柄を持ち左手で横に真っすぐに手を移動させると緑色に発光し巨大なバスターソードが精製された。

「まずはスルト。貴様からだ!!」

ジークフリートの右手から振り下ろされたバスターソードは龍斗の頭めがけて重力に身を任せて落ちていく・・・




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