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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第三章 オーレリシア大戦編
44/70

#41 教官着任

ラグナロク歴1万1年やよい1日

中央三国同盟と東オーレリシア帝国との全面戦争開戦。





―――――3週間後

西オーレリシア連邦とスカンディナヴィア連合王国が中央三国同盟に宣戦布告。これによりオーレリシア大陸全土をつつむ大戦争へと発展。





―――――[うづき]の17日 ギルド公社南プシェムィシル村支部ロビー

シャンバラでは1万年前、オーレリシア大陸を火の海に変えた悪魔のスルトである九鬼龍斗はウィーンペストタイムズと呼ばれる新聞を読んでいる。毎日読んでいるが毎日オーレリシア戦争の記事では飽きてくるもんだ。

「ついにネーデルラント降伏・・・ネーデルラントは連邦から脱退。ポートランド皇国が保護国化。カルタゴはサルデーニャ帝国・プトレマイオス共和国連合海軍による海上封鎖により援助が来ないまま国土の半分を占領されたか・・・」


「帝国も依然として国境を押しきれずにいる。君の言うとおり勝てるかもしれない」


「ふっ・・・・アーノルド大佐は負けると思いで?俺は違いますよ。勝てるかもしれない。ではない。勝つ。この意気込みが重要なんですよ」


「相変わらずだな。前から思っていたんだが何処にそんな自信があるんだ?」


「それがあるんですよ。まあ、その言葉はお褒めの言葉として受け取ります」


「おーい。そろそろ教官が来る時間だよ」

今俺達に声をかけたのは同僚のユリア准尉。ついでに警軍とギルド公社のソルジャーが自警軍になった時は元の職場での階級になる。だからたとえば

「久しぶりです。リュートさん」


「おお。エンフィールドか。元気してたか?」


「いえ、南プシェムィシル大隊長に昇格したばっかりだというのに、ポートランド皇国海軍人事部長を止めることができなかったために降格されて南プシェムィシル村中隊長になりました。ハハハ」

俺達はその哀れな話を聞いてひきつった笑いをしながら半ば憐れんでいた。

「いえ、それでも南プシェムィシル村駐屯自警軍の中では上の方ですから」


「まあ、わしが一番上じゃがな」

そういいながらガハハと笑うアーノルド大佐。態度も身長も一番上ですよ。

「では行きましょう。他の人たちは集まっています」

俺達は今日から首都ウィーンペストを守る近衛師団から教官としてお偉いさんが来る。俺達は国境に近い自警軍のため鍛えに来たのだろう。

俺とアーノルド大佐、エンフィールド中尉。ユリア准尉はギルド公社傭兵部門・・・つまり俺達ソルジャーと警軍南プシェムィシル村支部が共同で使っていた中闘技場へと向かう。

大きさは・・・陸上競技場ぐらいの大きさだ。





「で・・・・その教官とやらは誰なんだ?」


「私に聞かれてもねぇ?」


「あたしにふっても無駄よ」

イリーナとエアリィに聞いた俺が馬鹿だったな。

「あれか?」

アーノルド大佐は一人の男をさす。その姿形・・・・俺は一度見たことがある。まさか、まさか・・・

「俺が南プシェムィシル村駐屯自警軍教官となった近衛師団特殊作戦情報部隊隊長のエーリッヒ・フォン・ザクセンだ。これから貴様らをびしばしと鍛えてやる。覚悟しておけ」


「うわぁ・・・・エーリッヒかよ」

と嘆く俺の声とは裏腹に

「キャァ~!!特戦部ってあのエリートの集まりの近衛師団の中の更にエリートの集まりでしょ?ああ。エーリッヒさん。どうせなら私とワンツーマンで」


「あれが噂のエーリッヒさん・・・あの人にならビシビシと♥」

所々から聞こえてくる徴兵された村の娘達のピンク色の声。だがエーリッヒは顔一つ変えずに立っている。ある意味すげえな。

「いいなぁ。イリーナとエアリィは。あの人と共に寝食を一緒にしたんでしょ?」

ユリアは俺達のお土産話について紛らわしい質問をする。

「「紛らわしい言い方しないで!!ユリア!!」」

良くこれだけの長い言葉がはもったな。俺は深く感心し褒め称えよう。

「わしがあんな小僧に鍛えられないといけなくなったとは。そろそろ年貢の納め時か・・・」

頭を右手でおさえ白いひげを左手でなでる俺の右のおっさん。

「使い方多分違います」


「リュート・クキ・・・・貴様は少しは黙れ!!」


「俺だけか!!」

元の原因はアーノルド大佐だろうが!!

「いいなぁ~リュート大尉。エーリッヒさんに怒られて」


「リュートさん・・・羨ましいです」


「あの~羨まれても・・・全然うれしくない!!」


「くそっ!!あのエーリッヒとやら・・・ギルド公社南プシェムィシル村支部最強ソルジャーがいるというのにもかかわらず・・・許せん」

何がだ!!何に許せないんだこのおっさんは!!

「貴様ら静かにしろ!!・・・えーと、話がずれたな。という訳で俺が教官となったんだが、なんせ俺一人では全員見切れない。という訳で元ギルド公社のソルジャーや元警軍は民間人出の兵を所々見てやってくれ。俺からのお願いは以上だ。」


「人をこき使わせやがって・・・」

と俺の言葉とは裏腹に

「キャ~エーリッヒさんにお願いされちゃった。やったー」


「ああ。お願いされただけなのに胸がキュンキュン」

・・・・予想通り。いや、むしろ予想以上。ここまでとは・・・

エーリッヒパワー恐るべし。

そしてこの初めの挨拶というべきか、なんか良くわからない着任式が終わった後俺達は訓練や民間人出の兵の教官をさせられた。





その頃

――――――南プシェムィシル地方東の果て 帝国との国境

「こちら異常なしだ」


「ああ。こちらも」

国境沿いに作られた何百キロにも及ぶ塹壕と地下施設は国境警備軍の負担を軽減させ、更には安全性も向上した。そしてあちこちに設置されたガトリングガンのおかげでここ最近の戦闘での被害者は帝国兵の被害者ばかりである。






「ええい。本国からの古代兵器の支援はまだか!!」


「それが殿下・・・もう数週間前に手紙を出しましたが、まだ返事が来なく・・・たぶん、陛下も大和皇国を恐れているのでしょう。無暗に古代兵器を動かせません。」

ブルクハルト・バルクホルン中将は帝国ポートランド皇国侵攻軍の司令部である巨大飛行艇の机をたたくマクシミリアンに対しどうにか冷静にさせようと努力する。

「殿下・・・古代兵器が来ましたら・・・わたくしはいつでも殿下の矛に盾になりましょう。」


「ああ。古代兵器に関しては貴殿に任してある」


「はっ!!なんなりとこのリディア・ブレスに」


「しっかし・・・マクシミリアン。ポートランドの国境警備軍はいつの間にこんなに強くなったんだ?5年前まではこんな戦法をとらなかったし、何せあんなに連射してくる銃など古代兵器以外で見たことがない」


「ギルバード少将。我々が軍隊を強化していくように周辺国も強化していきます。さらに彼らは大和皇国へ行き、技術支援を行ってもらったと聞きます」


「成程。フェリクス少将。その情報は?」


「昔後輩だった奴が今諜報部隊でそいつから聞き出しました」


「そうか」

ギルバード・イェーガ―とフェリクス・ニコラエヴィチ・ステッセリはスパイ活動報告のような会話をしている時だった。

「マ、マクシミリアン様!!」


「なんだ、偵察兵」

飛行艇内の外で双眼鏡などで辺りを偵察している偵察兵がいきなり息切れをして飛び込んできた。

「ル、ルーシア征教の旗を掲げた古代兵器群がやってきました」


「は?私は本国に支援を要請したつもりなのだが・・・」


「とりあえず、指揮官に会いたいとのことです」


「ちっ、仕方がない。飛行艇を降ろせ」

かなりご機嫌斜めのようで、机を右手の人差指でトントンさせている。




「私はポートランド皇国侵攻軍司令官東オーレリシア帝国第5皇位継承者マクシミリアン・フォン・ヘルフ・アレクサンドロヴィチだ。ルーシア征教が何の用だ?」

マクシミリアンの周りは4人の参謀によってガードされている。目の前にある謎の第4世代戦車相当の戦車から出てきたのは身長が2mをゆうに超える大男だった。

「これは、これは・・・東オーレリシア帝国第5皇位継承者であるマクシミリアン様に会えるとは光栄ですな。俺はルーシア征教教祖直属のルーシア護衛騎士団団長ジークフリート・アルジェントです。お見知りおきを」


「で、いいから要件を話せ」


「我々ルーシア征教は帝国からの支援命令で教団が保有している古代兵器の一部を私の指揮の下支援に参りました。戦車と呼ばれるのは3両、装甲車と呼ばれるのは5両ほどお持ちしました」


「ほお、つまり我々が自由に使っていいということだな?」


「結果的にはそのようなことになります」

マクシミリアンは右手を古代兵器に触れると満足そうな笑みをこぼした。そしてリディアの方へ顔を向ける。

「リディア・・・貴殿は何を動かすことができると言ったか?」


「銃火器と一部の戦闘車両です」

顔を古代兵器に向けまた先程の笑みを浮かべる。彼の脳内では勝利の宴が行われただろう。

「ならばこの戦車と呼ばれるもの・・・動かすことは可能か?」


「失礼します」


「ああ、自由に見てくれ・・・・マクシミリアン殿下。・・・・彼女はスルトで?」

古代兵器を動かせるという点で不思議に思ったジークフリートは彼女の上司であるマクシミリアンにリディアについて詳しく聞き始めた。

「スルト・・・オーレリシア大陸を火の海にした悪魔・・・詳しいことは知らんが私の邸宅に倒れていたので取りあえず助けた。名前と年齢以外は思い出せずに最初は言語も日常会話すらまともに話せなかった。ただ、武器を使えるとか言って、貴殿が古代兵器の情報を手に入れてから古代兵器に乗せて見たところ他の兵隊よりも圧倒的にうまく動かせるので古代兵器担当にしてある」

胸の前で腕を組み何に感心したか知らないがジークフリートは何かに納得していた。

「成程」


「多分・・・大丈夫だと思います。言語は読めませんが、基本的な使い方はかわらないかと」


「ならばちょうど良い。このまま全軍を動かす。古代兵器の部隊を先頭に国境警部軍の塹壕を突破するのだ!!」

飛行艇は再び空へと上昇し、命令が下された帝国兵は一斉に進軍していく。






――――――ポートランド皇国南プシェムィシル地方国境警備軍

「暇だ・・・帝国をぶちのめすと言ってもずっと防戦じゃあな・・・」


「仕方ないだろ。軍の決定事項だ。」


「と言ってももう奴らに古代兵器はないんだろ?徐々に進軍していけばこのガトリングガンがあるんだ。勝てるだろう」


「た、隊長!!」

突然帝国の方角から来た斥候兵は息を乱してあわただしくしていた。

「どうした。そんなにあわてて」


「た、大変です。大きな大砲をつけた鉄の箱の古代兵器と鉄の箱の古代兵器がこちらに向けて進軍中です」


「な、なんだと」


「こ、古代兵器!!」

“古代兵器”・・・・ひらがな6文字。漢字4文字。英語にすればAncient Weapon

この言葉が国境警備軍の兵隊を怯え、震撼させた。

「ひ、ひるむな。古代兵器の数は?」


「8です」


「たった8だ。たったの8だぞ!!」

隊長は部下達をおびえさせないよう、士気を低下させないよう頑張ってみるが、みんなの反応を確認する前に死んだ。

“ドォーン”“ドォーン”

“ドカァァァン”

次々に吹っ飛んでいく塹壕。

「ひるむな!!撃てええええ!!」

“ドゥドゥドゥドゥ”

次々に発射されていくガトリングガンの弾丸は古代兵器を盾にしている歩兵には当たらず、ましてや古代兵器に傷一つ負わせることなど不可能だった。

「ひれ伏せ!!ポートランド!!」

“ドガァァァァァン”

戦車から放たれた砲弾はポートランド皇国の国境警部軍の塹壕に直撃し、残ったのは壊れた武器と塵だけだった。

「ぐわあああああああ!!」


「我が帝国に仇名すものは死あるのみ!!ひれ伏せ!!」

一台の戦車から現れた一人の女性は僅かに残った兵士を取り付けられていた機関銃でただ殺していくのであった。



[うづき]の17日午後―――――

破られた塹壕から次々に帝国軍の侵入を許したポートランド皇国軍は国境警備軍を次々に撃破され、正規軍は国境を一斉放棄し撤退を開始した。


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