#1 プロローグ
この作品にはちょっと無理やりな展開がいろいろとあります。それでもよろしい、GJの方々はどうぞ
2015年に再発した朝鮮戦争。中国軍とロシア軍の介入によりアメリカの支援がある韓国といえども苦戦を強いられアメリカ軍の基地がある日本にも飛び火するのは時間の問題であった。
2017年――――北海道 航空自衛隊千歳基地
現在朝鮮戦争は地方の小競り合いは起きている物の大きな事態には至っておらず、しかし、それでも日本に飛び火する可能性があるため、日本の国土防衛のためアメリカからの後押しで新たに配備されたF-35Bでロシア軍機の夜間の領空侵犯のためスクランブル発進をするエレメント(2基編隊)のエレメンタル・リーダーをしている九鬼龍斗は俺のこと。ついでに言えば配備された根本的な原因と言えば開戦当初に在日米軍を送るための輸送機が足りなくなり、日本で配備されたばかりのC-2輸送機を使って朝鮮半島に輸送したところ海上で撃墜されたのとか、第七艦隊の補給、黄海の海上警備兼朝鮮半島のアメリカ軍の支援で派遣された強襲揚陸艦に改造された22DDHとあきづき型護衛艦2隻の撃沈が一番の原因だろうけど。ちなみに階級は二等空尉で年は27歳。ちなみに現在F-35Bは石狩湾の上空7000メートルを飛行中。
「こちらライトニング1・・・ライトニング2応答せよ」
「こちらライトニング2・・・・ライトニング1・・・3時方向」
ライトニング2は俺にそう言った。俺は言われた通り三時方向を見た。俺の目の前に広がっていたのはオーロラだった。俺の機体がそのオーロラに突入した時だった。
自分のからだが揺れた。いや、機体が揺れた。
「ライトニング1!!何があった!!」
ライトニング2はそう言って俺と連絡を試みる。
「こちらライトニング1・・・機体のバランスが取れない・・・エンジン出力低下!!・・・コントロール不能!!」
「ライ・・・ン・・グ1・・・ノイズ・・だ・けで・・・聞こえ・・い」
(ああ・・・俺の人生ここで終わりか・・・)
そう思いながら墜ちていくF-35Bの中で俺の意識は途絶えた。
「いてててててて」
俺は気がつくと砂浜で倒れていた。そしてすぐに、装備の確認をした。
「9mm機関拳銃1丁とマガジン3つ。それと・・・」
航空自衛隊でのスクランブル発進においてもし、敵の領地または領海に墜ちた時用に自衛用の装備が再び持たされるようになったため、おれは携帯の装備がある事を確認した。そして、俺が今おかれている現状を確認するため動き出した。その時だった。
「ち、近寄らないで!!」
コンパスで見てここから北の方角の森から女性だろうと予想される声が聞こえた。それに続いて
「俺達ルーシア征教を相手にしたのが悪かったな」
「あんたが幾ら失い人といえども、俺達もお前達と似たようにMETを浴びて強化されているんだ。お前らといえども俺達5人を相手にするのは厳しかったな。」
「まあ、ここで命を失うのももったいないし・・・」
「俺達のお相手でもしてくれるなら生かしてやるよ。見たところ17ぐらいだし、なかなかかわいい顔しているからなあ、お譲ちゃん」
「あんた達と相手するぐらいなら死んだ方がましよ」
「そういう強気な女の子が羞恥プレイさせられるのもなかなかだよな」
「ああ」
「やっちまえ」
くっ、こいつら最低・・・少女はそう思って覚悟した。
“ゴスッ”
そう音がしてから何もない時間がただ過ぎ去って行った
「・・・・あれ?」
少女はおそるおそる重い瞼を開けると目の前に変わった服(耐Gスーツ)を着ている良くわからない人間の後姿が見えた。私の横には私を直で襲ってきたやつの抜け殻だった。
「一人の少女を集団で襲うとは・・・恥を知れ!!」
「よくもやってくれたな!!ただじゃおかねえぞ!!・・・野郎ども!!・・・こいつはスルト!!・・・ひ、怯むことはねえ!!囲め」
「おっす」
ルーシア征教と呼ばれる奴らのリーダー格と思われる人物の声と同時に俺を囲み始めた。
「かかれ!!」
「おりゃあ!!」
奴らは一斉に俺の頭上めがけて剣を振り上げ切ろうとした。
(動きが遅く見える・・・)
俺はやつらの剣の動きが遅く見えた。すぐさまに包囲網を切り抜け奴らの背後を取る。
銃を使えば簡単だが俺はそれよりも自衛隊で鍛え上げられた護身術を巧みに使い、9mm機関拳銃の銃身で奴らの後頭部を殴って気絶させていった。かかった時間1分。この戦闘で一つ気付いたこと。俺の身体能力が格段に上がっている気がした。特に動体視力などが向上しすぎているような・・・そしてこの戦闘で気になったことは4つ。失い人またはスルト、METって何?そしてここ何処だ!!
「大丈夫か?」
俺は茶髪碧眼で色白のぱっと見14歳。身長は160前後?出ないといけないところはAぐらいだろうか?身体には部分的に鎧を着けていた。何処かの騎士だろうか。やつらの目は狂っているな。17歳には見えないぞ。の少女に手を差し伸べ、戦闘機パイロット用ヘルメットを外した。決まった!!心の中で俺は叫んでいた。
「あなたみたいな子供に助けられるとは・・・まあ、ありがとう。助かったわ。私イリーナ、イリーナ・ソフィア」
子、子供だと!!この年になって誰からも言われたことないぞ!!
「よろしくイリーナ。俺は九鬼龍斗。この世界ではリュート・クキだな。ついでに言うと俺子供じゃねえぞ」
これでも俺27歳なんすけど・・・・・
「どんな冗談?あなた私と年齢たいして変わらないでしょ?せめて2,3歳年上ぐらい?」
「俺は27歳だ!!」
「うっそだ~。自分の顔確認してみなよ。今鏡あるから」
そう言って渡された手鏡で自分を見る。そしてその鏡には現実とは思えない者が写っていた。そう、27歳の俺とは思えない、15か16の高校生時代の俺、そして
「俺の高校時代・・・こんな顔だっけ?」
自分で言うのも自信過剰で変であるが、かっこいい気がした。
「失い人の特徴の一つだね、それ。特にあなたは異界からの失い人[スルト]ね」
「すると?・・・さっきから気になっていたんだが失い人とすると、それとMETってなんだ?あと此処はどこ?」
「此処?此処はシャンバラのオーレリシア大陸中央部の大国ポートランド皇国よ。失い人とは・・・その前にMETの説明をしておくね。METとはシャンバラ語で魔法粒子。異界語でMagisch Ein Teilchenの3語の頭文字をとってMET。METはシャンバラにおいて自動に精製される物で魔術師や魔導士はシャンバラで精製されたMETを使って仕事しているの。失い人とはこのMETの集中しているMETベルト地帯と呼ばれるところとかで大量のMETを浴びた人のことよ」
何故言葉が通じるのか?そしてシャンバラ?理想郷なのかここは!!そして異界語?・・・Magisch =魔法Ein Teilchen=粒子 MET=魔法粒子・・・ドイツ語!!良かった。大学でドイツ語学んでおいて。まあ、魔法が使えるとかいろいろと突っ込みどころが多かったが俺はそれよりも別に疑問に思ったことの方が重要と判断したため突っ込まなかった。多分突っ込んだとしても解らないだろうから。例えとしてMETの元がドイツ語と言うのとか・・・
「MET自体はそこまでよくわからないがMETと言うモノを大量に浴びてなぜ失い人と呼ばれるものになる。またなぜ失い人と呼ばれる?」
「METを大量に浴びると自身の身体能力が向上し体内に周囲のMETを自動に蓄積していく体質になるの。魔術師や魔導士、一般人が魔法を使う時はシャンバラに溢れているMETを自分の生命力を使って集めて魔法を使うけれど蓄積されている分生命力を使う必要がないわ。生命力を使いすぎると人は命をけずっているようなものだから下手すれば死ぬわ。何日か休めば回復するけど。そのため失い人は強力な魔法が使えるの。でも、その代償として思い出と呼ばれる記憶がなくなるの。自分の知識、情報は覚えていても、親の顔や親族の顔とかは思い出せない。つまり力と引き換えに失う物があるから失い人。あなたの場合多分時たま異界の方にまで飛来したMETベルトを中継地点にしてシャンバラに来てしまった人ね。だから異界からの失い人。そして異界から来た失い人をスルトというの。なんでそう呼ぶのか知らないけど。スルトは結構珍しいんだけどね」
つまりMETベルトはオーロラ?いや、そんなことよりもなんで?・・・いや・・・確かに異界から来たのは本当だけど何でわかるの!!もしかして彼女超能力者!!
「ついでにあなたがスルトと思ったのはこのシャンバラのオーレリシア大陸で黒髪で茶眼で肌が黄色の人なんてスルト以外あり得ないわ。シャンバラにいたとしてもオーレリシア大陸を超えてアシーリス大陸の端。ポートランド皇国から一番遠い国にしかいないわ」
「ふーん・・・異界からの失い人・・・・異界からっていうのはあっているけど・・・俺・・・両親の顔も、小さい時の記憶も全部覚えてるんですけど・・・」
「・・・・?わたしだって失い人になってから3年たってるけどあまり思い出してないのよ?じゃあ、あなたはどこから来たの?そしてここに来る前は何していたの?」
「俺は地球と呼ばれる星にいた。ここに来る前は地球と呼ばれる星の日本と言う国の軍隊の士官だった」
「軍の幹部ね・・・まあ、此処で話すのもなんだし・・・私の住んでいる村へ来る?一応命の恩人だし、礼ぐらいはしとかないとね」
「俺は礼を求めて助けたわけじゃないがな。しかし、してもらえる礼を断る必要もない。それにシャンバラのこともよく知っておきたい。何かわかれば元のところへ帰れるかもしれない」
「じゃあついてきて」
こうしてぱっと見15,6歳に戻った九鬼龍斗こと俺はイリーナと呼ばれる俺と同じく?失い人の少女についていったのだ。そして、これがスルトである九鬼龍斗と失い人のイリーナ・ソフィアの二人の初めての出会いだった。