#34 続く平和
「うぇぇ~もう飲めない」
「エアリィに同感・・・わたしも~」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・重い・・・」
俺は今ものすごくつらい・・・
それは何故か?
「リュートの背中広くて安心するぅぅ~」
「ずるいよ~エアリィ~」
「わかったからおとなしくしてろよ・・・」
人のことを考えてほしいものだ。
まあ遡ること数分前。
「もう飲めん!!」
「俺もだ!!」
「うえぇぇぇ」
ギルド公社南プシェムィシル村支部内で行われた宴会は皆さんが飲み過ぎて自然とお開きになった。14歳のイリーナまでもが飲んでエアリィと共にくたばってしまった。とりあえず二人とも
「「起こして~」」
と、酒を飲んでいない俺にすがりついてきたため放っておくのもなんで、結果的に運んできたわけだが・・・
「遠い!!」
村の外れの山の鍾乳洞にある俺達の家は村の中心部からすれば遠い。と言っても3km位だろうけど・・・
「そして、重い」
後ろにしがみつくエアリィ。前ではお姫様だっこされるイリーナ。二人の合わせた体重をXであらわすなら、80kg≪X≪100kgとあらわせられるだろう。
ということなんだ。
―――――1時間後
「ふぅ~着いた」
ようやくC-2輸送機に着いた俺なんだが・・・早速困った。
「・・・イリーナはいいのだが、エアリィの家はどこなんだ?」
そう、俺はエアリィの家を知らないのだ。
「・・・まあしょうがない。俺が使ってるベッドに寝かせるか」
イリーナ、エアリィをベッドに寝かせて新たに気付く。
「・・・俺の寝る場所は?」
無論無かった。ボリボリと汗まみれの頭をかいて俺が決めたこと。それは
「床で寝るか」
それしかなかったのだ。俺がここに来てから早3カ月近くたつ。この世界にも季節がありそして月がある。1月2月とかではないが一年が12カ月に分けられているのは変わらない。
そして、イリーナ達が言うには今は年が始まって昨日で11ヶ月目らしい。つまり俺が来たのは8月ごろか・・・・
そして、この世界というかこの村の11月に値する月[しもつき]の季節は雪こそ降らないが、とても寒かった。たぶん、大和皇国がよほど暖かかったのだろう。ここに戻ってきてそう感じた。
―――――――朝
「ううぅ~ん・・・・いい朝」
綺麗に元気良く目覚めるエアリィはとりあえず自分の身の回りを確認する。起きて初めて目についたのは・・・
「リュ、リュート!!あ、あんたなんでここにいるのよ!!」
「・・・あ、ふぁ~あ。朝からさわがぶっ!!」
俺は朝起きた瞬間地獄を見た。というよりも地獄を浴びた。そして見えたのは地獄ではなく星だった。
「あんたねぇ・・・・どんだけ性欲たまってたのよ!!人の家まで侵入するなんて!!失望したよ」
エアリィは朝起きたばかりの俺を蹴り飛ばしておいての胸倉掴んでわけわからんことを一方的に吐き出す。
「ゆするな!!人の話聞け!!ここは俺達の家だ!!」
「ふぇ?」
エアリィは少し落ち着いて辺りを見回す。それはいつも自分が寝ている部屋ではなく、良く遊びに行く家の風景。
「あ、あんた・・・イリーナという存在がいながら他の女連れてくるなんて!!」
「ちがうわ!!エアリィとイリーナが酒飲み過ぎてくたばってたのをギルドから遠い道のり二人かかえて運んできたんだよ!!エアリィの家の場所が分からないから、とりあえず俺のベッドに寝かせて、俺はしぶしぶ床で寝たんだ!!この気持ちわかるか!!寒くなってきたこの時期にこの床で震えながら寝る俺の姿・・・」
「あっそ」
「おい!!せめて自分の非は認めろよ」
「・・・・・ゴメンネ」
「いや、別に謝れとかではなくて」
「リュート・・・うるさい。昨日の所為で疲れてるんだから静かにしてよ」
イリーナは俺とエアリィの方を向いて言った。数秒間俺達を見て何もなかったかのように再び寝る。そして
「えぇ!!」
急に起き出す。何がしたいんだ?
「リュ、リュート・・・・・そんな・・・・」
ベットから落ちてorz姿勢になるイリーナを見て唖然とする俺・・・
彼女に何があったんだ?
「わ、私じゃ物足りなかったの!!別の女連れてきて!!しかもエアリィ!!ひ、ひどいよ・・・リュート・・・」
またいたよ・・・脳内に膨大な量の被害妄想をするやつ・・・まだ酔っぱらっているのかと思う。
「はぁ・・・突っ込むのも疲れた・・・エアリィ。説明してやってくれ。俺はまだ寝るぞ」
そう言って俺は再び眠りに就くことにした。まだ俺の時計では朝の5時を指していた。
「・・・きて」
「う~ん。後30分」
「・・・きてって」
「ダメ」
「起きろ!!」
「うわあああ、敵襲か!!」
俺は大きな声に驚きとび上がって起きた。
「敵襲よりもひどい事態だよ・・・」
「?・・・・」
俺はイリーナの言葉が理解できず周りを見渡す。別に変った風景などないが・・・
「なにがあったんだ?」
「あたし達のお腹が大変なのよ。もうおなか減って。あんたがかわいそうだと思って1時間待ったけどもう駄目。早く作って」
俺は時計を見る。朝の6時。俺が起こされた理由。“飯作れ”
「・・・はぁ。俺の背中に疫病神がいる」
「「誰の事?」」
「はぁ?勿論おま」
お前らと言おうと思ってたんだ。だけど、彼女達の目が・・・言葉では表現できないほどの形相で・・・これ以上言うと長くなるからやめておこう。仕方なく彼女達にパシられた俺は眠さを押さえて飯を作っていた。そして、飯を食べたら俺とイリーナは久しぶりのギルドでの任務。エアリィは午前は骨董商。午後はトレジャーハンターと、俺達の生活は徐々に戻ってきていた。そう、平和な生活へと。かつての日本のように。なにせ俺達はあの東オーレリシア帝国包囲網を構築したのだから。そして、俺達は思う。
この平和が永遠に続くと