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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第一章 大和皇国編
26/70

#23 出発

―――――――東オーレリシア帝国首都

大きな教会の中に二人の人間がいた。一人は白いひげの生えた、見るからにおっさん。もう一人は2度も龍斗を苦しめ、ポートランド皇国と大和皇国の同盟を結ぶのを妨害した人間。ジークフリート・アルジェント。

「教祖様」


「なんだ。護衛騎士団団長ジークフリート・アルジェント・・・」

ジークフリートは教祖と呼んだ男の前に軽く座って下をうつむいている

「スルトであるリュート・クキの殺害には失敗しましたが、必要最低限の情報を取り出すことに成功しました。」


「本当か?」


「はい。」


「ならば、元キエフ=ソフィア王国皇女拉致、もしくは殺害の任務をスルト殺害の任務よりも優先順位にする。」


「なぜ?ポートランド皇国内の諜報員の話では記憶のほとんどを忘れており、ロストフ半島戦役の時の魔法は使えないと・・・」


「リュート・クキの強みは古代兵器を操れること。ただそれだけ。それ以上でもそれ以下でもない。その奴の情報をお前は知っている。古代兵器の扱い方さえこちらが知っていればあいつが生きて用と生きてなかろうと何も変わらん。むしろいつあの魔法を思い出すか解らないソフィア家の生き残りのほうが危険だ。解ったか?・・・拉致・殺害どちらが優先かといえば拉致だ。とりあえず魔法を知っていたならはかせたいからな。」


「了解・・・(あのスルトは実際のところ危険だ。あの皇女を始末する時に同時に始末する)」

ジークフリートは表面上彼の命令をしぶしぶ受け入れた。

「で、いつ開戦するおつもりですか?」


「?何を言っておる。開戦する気など我らにはない。我々が開戦するのではなく、向こうから開戦させるのだ」


「は?」

ジークフリートの頭の中と言いてっぺんと言いクエスチョンマークで埋まっていた。

「は?ではない。奴らから開戦させるのだ。」


「しかし、ポートランド皇国はもう既に憲法に平和憲法を導入しています。むやみに開戦する事などないでしょう」


「ジークフリート・・・君は剣術といい、錬金術といいかなり高度な腕を持っている。しかし、戦略、戦術、といったことに関してはかなり抜けているようだ」

ジークフリートはかなりむかむかしていたが、相手はなんせ教祖。ルーシア征教のトップである。殺したとなれば東オーレリシア帝国だけでなくオーレリシア大陸中の教徒に袋だたきにされるであろう。それに立場上彼を護衛する騎士団の団長である。そんなこと出来るはずはない。

「は、はあ・・・」


「例えばの話だ。何処かの二つの勢力がいがみ合っていたら・・・そして、自分達の勢力のトップが誰かに暗殺された。暗殺した犯人が見つかった。犯人は相手側の勢力の人間で使っていた武器が相手側の正規軍が使っているものだとしたら・・・・」


「自分は相手側の正規軍・・・すなわち政府が絡んでいると思い抗議します」


「そうだな。普通だれしもがそこに行くだろう。そう、それこそが相手に開戦させるように仕向ける手順だ」


「成程・・・」

先程ひきつっていて、明らか作っている笑顔から一転ジークフリートの顔は感心顔だった。

(しかし、それでもリュート・クキが危険な人物であることに変わりはない。大和皇国内に潜入している国家戦略情報部隊が行動を起こすのを待とう)



―――――――大和皇国 天照治療院

「あら?お兄ちゃんもう傷良くなってるね。三週間かかるとか言っちゃったけど、二週間も早く治っちゃったね」


「ありがとう。由利菜のおかげだ」


「で?もう東京へ行っちゃうの?」

目をうるうるさせて俺を見てくる由利菜。某企業のCMどうするアイ○ル~的なのりで・・・

「行かないといけない。けど、ここからどうやって東京まで行けばわからないんだ・・・・

!!そうだ。由利菜は東京までの行き方知ってる?」


「う、うん。知ってるけど・・・」

ちょっと困った表情をしている由利菜に対し、そんなことは諸共せずに気にせず笑顔で話しかける九鬼龍斗・・・

「じゃあさ、案内してくれないかな?」


「やっぱ言うと思った。私としてはいいんだけど・・・・治療院・・・開けることになるし・・・」

由利菜はその時親父さんを見ていた。その時の顔はまるで鬼の形相だった。しかしその顔はすぐに元の顔に戻っており、俺はただ自分が疲れているんだと思い込んでいた。

「・・・そっか・・・・」

俺は残念そうに下をうつむいて、その時の由利菜は顔は困った顔をしていた。その成り行きを見ていた親父さんが話に首を突っ込んだ。

「・・・・ふぅ。行ってきなさい由利菜。」


「で、でも、治療院の方は?」


「大丈夫だ。一人でも何とかなる。それよりも龍斗君の方が心配だ。行ってきなさい」


「うん。解った。・・・・お兄ちゃん。早く準備しよ。」


「本当にいいのか?」


「お父さんもいいって言ってるし。でもさすがに今日じゃないよ。出発は明日ね」

と言ってさくさくと支度をし始める由利菜。俺には何の荷物も無いからいいけど・・・




――――――大和皇国東京 五稜郭

「話は龍斗の方から聞いている。反帝国同盟・・・均衡という名の平和を作り上げるためか・・・まあ、とりあえず、俺がこの紙にサインすれば条約は成立だな。多分もうムガル連邦にも話が付いているだろう」

高須はそう言うと向かいのアルバート・ポートランドから渡された紙にサイン、そして指にインクをつけ紙に押しつけた。

「ありがたい。どう感謝を述べれば」


「そんなもの必要ない。今は亡き者だが、あの龍斗の頼みだ。断るわけにもいかん。それにあいつが命かけてでも守りたかった君たちの願いでもあるんだ。」


「そうか。かたじけない。」


「ところで、それだけでいいのか?」


「へ?」


「同盟というモノだけでいいのか?もしそちらがいいなら君たちが言う古代兵器についての技術を提供しようと思っているのだが?」


「その話は本当か?」


「ああ。嘘は付かない。すでにローレライの改修の際にも我々の技術をくみこんである」


「ならば、受けられるだけの支援をしてもらいたい。あの帝国のことだ。いつ開戦するかも解らない。」


「ならば交渉成立だ」





―――――――翌朝 天照治療院

「お世話になりました」

治療院の建物の玄関先で頭を下げてお礼を述べているのは九鬼龍斗。そのとなりで満面の笑みをしているのは天照由利菜。

「じゃあね。お父さん。行ってきまーす」


「行ってらっしゃい」


「ではこれで。またの機会がありましたら、よろしくお願いします」


「お兄ちゃんは早く行こう」


「ほれ、由利菜も待っておる。・・・娘を頼んだぞ」


「はい」

・・・・・ちょっと待て?今のどういう意味だ?・・・・いや、たぶん東京まで頼んだぞという意味だろう。うん。そうにちがいない。そう自己解釈して俺は由利菜について行った。




「とりあえず、この山脈を越えたら国営のハイブリッド機関車があるからそれに乗って東京へ行く。まあ、山脈を越えるのに5日かかるけど・・・」


「長っ!!」

ついでにハイブリッド機関車って何だ?とりあえず聞いておこう

「それとハイブリッド機関車って何?」


「???そっちの国だとないの?・・・私もよく知らないんだけど、お父さんから聞いた話だと蒸気機関とか言うのと魔導機関とか言うのを合わせたらしい」


「なるほど。だからハイブリッドか・・・」


「あ、それと山中は魔獣もでるから気をつけて」

また俺の知らないワードを・・・と言っても予想出来てるけどね。METを浴び過ぎた動物だろう。つまりモンスター。

「魔法粒子を浴びた動物のこと?」


「そう。この山脈・・・魔法粒子が出ている個所がいくつかあってモンスターが多いの。多分お父さんが私を行かせたのもそれが一つの理由なの」


「どういうこと?」


「一応私も見習いだけど魔導士だから」


「成程ね。」

俺もなめられたもんだ。まあ、この怪我でずっと安静にしていたから身体もなまっているし、健全な判断だろう。モンスターとやらとは戦ったことはないが、ドラゴンとは戦ったことがある。あの時エアリィがいなければ、死んでいただろう。

「じゃあ、エスコートでもしてもらおうかな。案内よろしく」


「普通逆でしょ?エスコートは男がする。でも、案内係はちゃんとやるよ。ついてきなさい」


「OK」

こうして、俺と由利菜ちゃんの東京までの旅が始まった。


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