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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第一章 大和皇国編
19/70

#16 降伏勧告

――――プトレマイオス共和国 スエズ運河

俺たちは朝に出向したはずだがここまで来るのにすでに翌朝どころか昼を過ぎてしまった。

ヤマト皇国までつくのにどれだけかかるやらと退屈混じりのため息を俺はしている。

「ポートランド皇国海軍所属艦艇だ。皇帝陛下からの特命でここを通してほしい」

アルバート皇子は運河の管理人に通行手形を貰うために書類を見せている。

「ふむ、成程。帝国包囲網構築のための行動として通行手形を渡そう。」


「ありがとうございます」


「いえ。では通せ」

管理人の指示により運河をふさいでいた門が開いていく。門が開き終わったと同時にローレライの魔導機関は始動して、ローレライは動きだした。

「では、良き航海を」

運河の管理人はゲートらへんで手を振って俺達を見送った。







――――――ポートランド皇国 北プシェムィシル駅

この駅はリュートとエアリィが南プシェムィシル村からウィーンペストへ行くためにしばらく歩いて乗った魔導機関車の駅の次の駅。二人が乗ったところは中央プシェムィシル駅。その次にある北プシェムィシル駅には昨日付で南プシェムィシル地方の大隊長に就任したジン・エンフィールドがいる。彼は現在3つのプシェムィシル地方の一つを管理する役職であり、プシェムィシル地区の下の南プシェムィシル全土を管理する役職で、前の南プシェムィシル地方の下のみなみプシェムィシル村を管理する役職に比べて立場が上がったのである。今彼はある人物をマークしている。

普通こういった仕事は特戦部がやるんだけどなあ・・・と彼は内心苛立ちながらめんどくさがりながらもなんだかんだでやっている。

「・・・・海軍人事部長アルフォート・フォン・ティルピッツ・・・・確証はないが・・・新鋭装甲艦ローレライの極端すぎる人事異動。将校を決めるのはすべて海軍大臣や海軍本部の仕事だが、士官から下士官となると人事部長が担当する。そこが怪しいとして調査を上からの命令でしているが・・・・どうみてもいい年のおっさんにしか見えん」


「そうですね」


「しかし、特戦部の連中は配属された士官から下士官の情報を知っていたからマークした。どうやら、アルフォート自身もジークフリートとの関係があるらしく、今回の人事異動でほとんどの士官、下士官がルーシア征教教徒の疑いをかけられている。」


「ローレライは今出港しちゃって航海中ですが・・・もしかしたら・・・」


「そのために、エーリッヒを乗せたが、まずかったかもしれん。・・・・それにしてもいつまであそこでブツブツ喋っているんだ?」


「不気味ですね・・・」

人事部長のアルフォートは黄色い線よりも外側に立ってブツブツ喋っていた。

「危ないので黄色い線の内側でお待ちください」

そう言ったアナウンスがずっと流れ続けている。そして、魔導機関車がこの駅をで停まるために通る時だった。

「まさか!!」

エンフィールドが部下と見た光景は人事部長のアルフォートが線路に飛び込む姿だった。飛び込んですぐに線路は血で染まり魔導機関車の先頭車両は血の赤で何も見えなかった。

「何があったんだ!!」


「どうした?」


「人が飛び降りたんだ」

たくさんの野次馬共が集まりだした。その集団の中の一人の女性。

「どうしよう・・・」

一人違うことを言っている女性がいた。エンフィールドは急いでその女性の傍まで駆けつけて事情聴取をその場でした。

「警軍です。何がありました?」


「わたしこの人のそばにいたんですけど、この人さっきからどうか恨まないでくれとか、私を許してくれとか、ずっと言っていて・・・・耳から離れない」


(ち、畜生。・・・・完全にローレライはジークフリートの予定通りだ。どんな計画を立てているかどうかは知らないが、大和皇国までなにもなしでいてくれ・・・)

それだけが今何もできないジン・エンフィールドの切なる願いだった・・・







――――――出港1週間後 甲板

艦内ではジークフリートによる行動は起こされず特に何も起きていなかった。唯一この話を知っていたのが、エーリッヒのみであった。

「地図によると大和皇国はここ。あとちょっとでつくな」


「皇太子さま・・・張り切ってますね」


「ちょっとリュート君。君は親善大使なんだから暗い顔はしない。」

さすがに1週間の航海は経験したことのない俺にとってかなりハードなことだった。それに比べて皇子と皇女はますます日に日に元気になっているようだった。よくある設定では皇子と皇女は箱入りで常識知らずで、こんなにハードなことはできないというはずでは?

「さすがのあたしもリュートに賛同。って言うよりも酔った~・・・うえええええ」

エアリィは毎日この調子だ。船に酔うだったら来るなって

「でも、うえ、誰も見たことのない国ってなんかあこがれるじゃない。きっと古代兵器ザックザックの・・・」


「その頭の中身を俺は見てみたい」


「やーだよ」


「・・・・ちょっと・・・・あれが大和皇国じゃないの?」

イリーナは大和皇国らしき大陸?に指をさす。

「確かに・・・・地図的にも距離的にもそれっぽい。」

そんなことを甲板で話している時だった。艦橋で双眼鏡を持って偵察をしている兵士がいきなり叫んだ。

「前方に謎の未確認飛行物体発見。飛行船・飛行艇ではないもよう・・・てっぺんに丸い何かが回っている・・・・しかも速い!!」

大和皇国と思われる島から突如として俺達に姿を現した謎の未確認飛行物体。その正体は・・・

「まっまさか・・・」

アメリカ軍が中東で実戦投入し、日本でも導入された世界最強の戦闘ヘリコプター・・・

「AH-64Dアパッチ・ロングボウ!!何故こんなところに」


「アパッチ?」


「俺達の頭上を通ります」

“ブロブロブロブロブロブロブロブロ”と音を立て猛スピードでローレライの頭上を通り過ぎたAH-64Dアパッチ・ロングボウ。ローレライはその速度によって生じた波によって激しく揺れた。

「アパッチごときでここまで揺れるのか?」

必死に船につかまっていた俺達にアパッチから

「無駄な抵抗はやめて武力解除せよ。投降しないなら攻撃を止むまし」

“降伏勧告”の呼びかけだった。


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