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スルト  作者: オーレリア解放同盟
第一章 大和皇国編
18/70

#15 忍び寄る悪魔

―――――ポートランド皇国海軍新鋭装甲艦 ローレライ

俺達は今南プシェムィシルの港を出港し、大和皇国へ向かっているポートランド皇国海軍新鋭装甲艦ローレライに乗船している。目的地まで行くために魔導機関の上にシャンバラの地図と、小さい船のおもちゃを置いて、船の位置がどこにあるか動くように魔法をかけてある。船が動くと地図上のおもちゃも動くという画期的なシステムだ。ついでに考案者は俺。そして、そのローレライというポートランド皇国最新鋭の装甲艦の詳細は全長104m。幅14.2m。最大速度20ノットのオーレリシア大陸では全てにおいて性能が高い装甲艦らしい。ちなみに速度の単位とかは地球と何一つ変わりはなかった。・・・その最新鋭の装甲艦の甲板で俺は説教されている・・・・

「おい!!貴様・・・・予定外の人物がなぜ乗っている!!」

エーリッヒは俺に向けて指をさし激しく怒鳴っている。

「これには山よりも高く、海よりも深いわけがあるのだ・・・」


「そんなことは聞いていない。」


「ちっ・・・仕方がない。わけを話すとしよう」

―――――南プシェムィシル村郊外C-2輸送機

「あたしも行く!!」

エアリィが俺達の住居として使っている南プシェムィシル村郊外の山の内部に埋められているC-2輸送機内でわがままを言っている。言いだしたのはつい10分前。





――――10分前

「どれが売れるかなぁ?」


「ただいまぁ・・・・・ってお前は泥棒か!!」

俺は誰もいないと思っていたが、癖でただいまと言ったら目の前にエアリィが!!・・・・実質泥棒的なことをしていたが・・・横ではイリーナが呆れて哀れな目でエアリィを見ている。

「ねえリュート?どれが一番高く」

“どれが一番高く売れると思う?”の“売れると思う?”を言おうとした時だった。エアリィの頭の上から紙の束を丸めた筒が振り下ろされた。

“ベシッ”と頭をたたく音が聞こえた。

「どれも売却却下だ!!古代兵器だぞ?」


「いった~い・・・・たかが古代兵器売る位でなんで叩くの?」

“ベシッ”俺は再び紙の束を丸めた筒を振り下ろした。

「う~・・・二度もぶった!!親父にもぶたれたことないのに」

う~までは方目から涙流していてキュンときてしまったが、次の何処かでというよりGU○DAMで聞いた事のあるセリフを聞いて俺はつい突っ込みをしてしまった。

「おいっ!!どこでその台詞覚えた?」


「HI・MI・TSU」


「変な言い方すんな」

俺は再び突っ込みを入れた時だった。手から先程受け取った書類を落としてしまった。

「なにこれ?」


「おいっ!!見るな」


「返さないよ!!」


「エアリィ!!返しなさい」

イリーナ!!そうだ。もっと言ってやれ。

「や~だよ。えーとなになに・・・・」

手遅れだった。エアリィは見てしまったのだ。古代兵器についても・・・





―――――そして、現在に至る

「行かせてくれたっていいじゃない!!ケチ」


「ケチでもいい。関係者以外首を突っ込むのは禁止だ」


「ぶ~」

お前いつから子供に戻ったんだ?

「さっき二度もぶったくせに・・・」


「それでもだ」


「どうやってそのセリフ知ったか教えてあげようか?」


「マジで!!」

“バコン”と俺の頭が鳴り響いた(気がした)

「リュ~~~~ト?」

俺の脳内で後ろのイリーナの顔が形相になっていることが想像できた。

可愛い顔が台無しだよ。Byエアリィ・・・

「悪いエアリィ。やっぱだめだ」


「・・・・じゃあいい。リュートの秘密ばらまく」

俺の秘密ってなんだよ・・・ここに来て数日しかたってないぞ!!

「え?何々リュートの秘密って?」


「イリーナさん?・・・・あの~それについての話は乗らなくて・・・」


「イリーナ・・・話してくれたら行かせてくれる?」


「うんうん。だから早く」


「でもなぁ~リュートの許可がないとなあ」


「それより俺の秘密ってなんだよ」

おれがそう言うと、エアリィは俺に近付いて耳元で小声で話した

「あのね・・・ごにょごにょごにょ」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待てい!!お前既成事実作り上げようとしているだろ!!」

エアリィが俺の耳元で言った言葉は“イリーナがウィーンペストに行っていて、リュートと一緒にいなかった間、俺がエアリィとベットでごろんちょした”ということだった。

「既成事実は周りをだまして作り上げる物よ。それよりも言っていいかな?そうだ。ギルドの人たちにも言っちゃお~と。リュートの印象ガタ落ち」


「待ってくれ!!それだけはガチで勘弁してくれ。」


「じゃあ連れてってくれる?」

こいつ・・・策略家だ・・・・勝てん・・・こいつには。

「仕方ない。一応親善大使は俺だから・・・いいよもう。好きにしてくれ」


「わーい。やったー!!リュート最高。ふっと腹!!イェーイ!!」


「ちょっとリュート!!それにエアリィ!!私は聞いてないよ。エアリィ!!」


「HI・MI・TSU」


「変な言い方しないでよ!!」


「悪い。イリーナ。これだけは言えない(特にお前には!!)エアリィの言ったことを忘れてくれ・・・」

嘘のことなのになぜ俺はここまであせっているのか・・・

「そういうこと。忘れなさい」


「お前が「エアリィが」引き金だろ「でしょ」」


「てへっ♥」

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

「と、言う訳なんだが・・・・よくよく考えたら俺が親善大使だから、俺はエーリッヒに文句を言われる筋合いなどない!!はっはっはっ」


「そうそう。私も、リュートも咎められることなんかないの」

尻尾と耳をぴょんと立たせてルンルンと愉快なスキップを繰り出し俺の腕と組みだしたのはエアリィだ。

「くそっ・・・調子に乗りやがって・・・恩を忘れたのか?」


「恩?何の冗談を?あれはお前にとって任務であり、決して本意でやったことではなく、皇帝陛下からの命令だからだろう?形だけは礼をしてやるが、俺もその礼は不本意でな。」


「きさま・・・この前の続きをやるか?」


「いいぜ。かかってこい」


「武器もないくせに?」

エーリッヒは俺の武器がジークフリートによって壊されているのを知っていたため強気な態度で出た。確かに銃剣の予備は無いがな・・・

「わりい。銃剣の方はもうないけど、H&K HK416の方はあまりがあったんでな」

俺はH&K HK416を見せる。

「こいつ・・・」


「君達・・・無用な争い事はやめたまえ。これから遊びに行くんじゃない。交渉に行くんだ。」

俺達の仲介に入ったのは珍しくもイリーナではなく、アルバート皇子だった。

「こ、これは皇太子さま!!み、みっともない姿をさらけ出してしまいました」


「なんで謝ってんだ?みっともないのは元々だろ?いまさら考え直すことでもないし、みっともないって認めろ」


「く、こいつ何も言えないのを知って・・・・くそとことん腐ってやがるスルトは」


「リュートは黙ってなさい」


「はい」

イリーナには何も言えない俺だった・・・

「乗り心地はどうですかな?」

突然の声で振り向くと後ろには肩幅が広く立派な軍服とたくさんの勲章をつけたいかにも提督という風帽を持ち合わせた人がいた。

「あなたは?」

俺は率直に質問をした。

「私はローレライの艦長ラインハルト・シェア大佐だ。貴殿らを大和皇国まで送る者だ。よろしく願いたい。また何か要望がありましたら、付近の海兵に自由に声をかけてください。お疲れになったら、客室へ腰をかけてください。では、これにて失礼」

ラインハルト大佐はそう言った後帽子を取り礼をして艦橋に戻って行った。

―――――ローレライ艦橋 戦闘指揮所

“コンコン”ローレライの艦橋内部の戦闘指揮所の扉をたたく音がする。

「暗証番号は?そこに鍵を掛けてある。暗証番号通りに合わせて開けろ」

“カチャ”“カチャ”“カチャ”と何度か音がした後に“パキン”と音が鳴り鍵が外れた。

「久しぶりだな。」


「ああ。しばらく帝国内へ逃げ延びていたからな。そっちは大丈夫だったか?」


「ああ。ばれてはいない。それと、こいつらをどうするかだ・・・」


「将校たちの方か。飯だけは与えておけ。いずれは大和皇国まで着いたら俺達の計画が実行されるから支障はないだろう。問題は大佐の方だな」

“ガチャ”と扉を開ける音が鳴り彼らの後ろにはラインハルト大佐がいた。

「わしがどうしたのかね?」


「いえ、なにも。」


「そうか。それにしても、ローレライはどこから見ても美しい。椅子の座り心地も最高だ」


「そ、そうですか。」

一人の方があきれて聞いていると、もう片方は大佐の後ろに回っていた。

「そんなに椅子が好きなら、そこで一生寝ていろ!!」

“バコン”という鈍い音が戦闘指揮所で発せられた。その音はラインハルト大佐の頭を鈍器でたたいた音だった。

「き、貴様は何者?」


「俺か?俺はな、ルーシア征教教祖直属のルーシア護衛騎士団の団長のジークフリート・アルジェントだ。よろしく」


「俺は東オーレリシア帝国陸軍国家戦略情報部隊の隊長ヴィクトル・チェブリコフ大尉だ。よろしく。」


「ヴィクトル・・・こいつがいなくなったら変に思われるだろう。変装用魔法を使って艦長役をやれ。お前の得意分野だろ?」


「ああ。」

ヴィクトルはそう言うと、目をつぶって顔の近くに両手を近づけてMETを集める。顔の周りは緑色の光に包まれ、しばらくすると、ヴィクトルの顔はラインハルトの顔になっていた。

「これでよし。こいつも、将校たちと同様に牢屋にぶち込んでおけ」


「ああ。解った」


「大和皇国か・・・どんな国家か知らんが帝国を撤退させるほどとは・・・・おもしろい。潰しがいがある。はっはっはっ!!」

艦橋内の戦闘指揮所ではヴィクトル・チェブリコフの笑い声がとどろいていた・・・



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