異世界探偵局02
火 風 水 土 伝承に四大種族と名を残す
異世界 ファーゼ トール の始祖の種族達
が…消失し…彼女等は、独りになった。四大
種族達が遺した遺産…CHORD ラビットと謂
れる生体兵器群は、1人…また1人とプログラ
ムされた寿命を迎え、四大種族が残した世界
ファーゼ トールで死に絶えていった…。
いつの頃からか?彼女は、独りになった…。
CHORD ラビットの最後の生き残り、ラビッ
ト…。他に名もなく、四大種族の後に世界に
栄えた人間の文明の中で、彼女は、ひっそり
と、生きていた…。
産みの親もなく…、帰る場所もない…。悠久
の時を、ただ独りで生きていたラビットに、
温かい手を差し伸べられられたのは…、いつ
の頃からだっただろう??
ただ兵器として運用されるのではない…。
温かい食べ物…温かい会話…本物の家族のよ
うに、接してくれる人々…。兵器として戦場
を駆け抜けてきたラビットとってそれは…、
はじめて知る温かさだった。しかし…悠久の
時を過ごす兵器であるラビットは、温かさと
同時に冷たい手の孤独を味わう事となる…。
悠久の時を生きる兵器ラビットと、限られた
寿命を生きる人間。
星の数程の出会いと別れ…。それでも…人は
ラビットに手を差し伸べてくる…。そして、
ラビットもまた…、別れがくると知りながら
も、その手を取ってしまう…。
呪いにも似た日々の中を、ラビットは、生き
続けていた…。
(また…この夢か…)
異界の門と謂う異界との入り口が常に開閉し
魔物の群れが闊歩する世界 ファーゼ トー
ル…。その異界の門より溢れる魔物の群れの
殲滅と異界の門の調査を専門とする組織…異
世界探偵局の社宅で目覚める少女 ラビット
は、寝ぼけ眼で目覚め、部屋の片隅でシーツを
被り、身体を丸め震えている麗人を発見した。
「おはよう✨源之助♥♥✨」
「ひっ………!!」
爽やかな寝起きの笑顔を向けるラビットとは
裏腹に麗人 天空寺源之助 は、声にならな
い悲鳴をあげ部屋の片隅で身体を震わせる。
「どったの?朝から??」
と、寝起きでイマイチ反応が鈍いラビットは
首を傾げる。
「どったの?じゃ!!ねぇーー!!ここは!
俺の部屋だぁ!!」
「?????」
と、寝起きで状況判断が鈍るラビットは、首
を傾げながら、部屋を見渡す。飾り気の少な
い簡素な部屋の風景。ファンシーな物で埋め
尽くされた自分の部屋とは、違う…。
「あ〜…源之助の部屋か…。殺風景だね✨」
「いやぁ〜そのまえに!なんで自分の部屋で
目覚めてないか!疑問に思えよ!!」
「源之助♥♥✨遂に私をお持ち帰り♥♥✨」
「ははーん!脳みそ腐ってやがる!!!昨日
の晩!!お前が人のベットに入ってきたんだ
ろーーーが!!」
「??????」
はて?と、首を傾げ、腕を組み…物思いに耽
るラビット…。そして…ポンと手を打ち…、
「全くを持って!蒼天の霹靂です!!強く!
抗議します!!」と、どこぞの政治家よろし
く!的な発言をするラビットにキレる源之助
…。これが…嘗て、生体兵器群の試作品とし
て、造られた CHORD ラビット の新たな
日常だった…。
寿命が定められた人間にとっては、貴重な人 生の一コマ。しかし…、悠久の時を生きるラビットにしてみれば…、瞬く間の刹那の記憶
…。けして、相容れぬものと知りながらも…
CHORD ラビット は、生きてゆく…悠久…
と言う、夢幻の檻の中で…。




