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第1話 農業ダンジョンの配信者

初投稿です。不慣れな所しかございませんがこれからよろしくお願いします(´;ω;`)



天野優あまの ゆうは、目を覚ました瞬間、自分がどこにいるのか分からなかった。

普段の生活とはまるで違う、どこか神秘的で重々しい空間に取り残された気分だ。

目の前には、青白い光を放つ球体が浮かんでいる。その光が、彼の目を引き寄せる。


「君が天野優か?」


突然、耳に響いた声に驚き、優は体を硬直させた。

まさか、誰かに見られているのか?

だが、その声に実際に存在する人物がいたわけではないようで、

球体の中から響いてくる声だと気づいた。


「は、はい…そうですけど、ここはどこですか? なぜ私が?」


「事故により命を落とし、転生したのだ。君には特別な役割が与えられる。」


優はしばらく呆然とした。

転生? そんなことが現実に起こるわけがないと思っていたが、どうやら現実だったらしい。


球体の中から現れた光の使者、神のような存在は、優に静かに告げる。


「君はこの異世界で『ダンジョンマスター』として生きることになる。」


優はその言葉を理解するのに少し時間がかかった。

ダンジョンマスター?

ゲームやアニメでよく聞くような名前だが、まさか自分がその役割に選ばれるなんて。


「そして、君には唯一無二のスキル『異世界配信』を授けよう。」


優はそのスキルに耳を疑った。異世界配信? そんなものが本当にあるのか?

彼の頭の中に浮かんだのは、配信サイトの画面と、コメントが流れる映像のようなものだった。


「君が管理するダンジョンの出来事を、異世界の人々にリアルタイムで配信することができる。このスキルを使い、君のダンジョンを発展させ、そして異世界の住人たちとの交流を深めていくのだ。」


優はその説明に驚きつつ、何かしらの役割を果たさなければならないというプレッシャーを感じた。

しかし、ひとつ気になる点があった。


「異世界配信って、どうやって使うんですか?」


その問いかけに、球体は静かに答えた。


「スキルは、君の意識によって発動する。君のダンジョンに対する思い、そして君が伝えたい情報を配信することで、異世界の住人たちに届く。」


「そして、視聴者たちから『投げ銭』を受け取ることができる。」


その言葉に優は目を見開いた。投げ銭? どういうことだ?


「投げ銭を集めることで、君のダンジョンは強化され、君自身も成長していく。その資金で新しい技術を取り入れ、モンスターを育て、ダンジョンの施設を整えていけるのだ。」


優は、その話を聞いてなんとなく理解できた気がした。

自分が思う通りにダンジョンを運営し、視聴者の支援を受けながら成長していく。まるでゲームのようだ。


「それでは、君にステータスを表示しよう。」


優の目の前に、青白い光が浮かび上がり、文字が一行一行現れる。彼のステータスがそこに表示された。



---


天野あまの ゆう


種族:人間

職業:ダンジョンマスター

レベル:1

HP:100/100

MP:50/50

攻撃力:5

防御力:10

魔法力:0

スキル:異世界配信、異世界言語理解、農業(初級)



---


「これが君の初期ステータスだ。」


優はそのステータスを見て、少し驚いた。攻撃力や魔法力は低いが、防御力がやや高いようだ。

それよりも、農業のスキルがあるのは、どこか嬉しい気がした。


「君は、ダンジョンの運営を通じて成長するだろう。」


その時、優の後ろで何かが動く音がした。振り向くと、そこに小さなスライムのようなものが現れていた。


「このスライムは君の最初の配下だ。農業を手伝ってくれるだろう。」


優はそのモンスターに目を向ける。スライムの姿だが、普通のスライムとは少し違う。

どこかゴツゴツとした質感があり、どこか人間的な雰囲気が漂っていた。


「これはスライムゴーレムだ。君のダンジョンを発展させるために協力してくれるだろう。」


優はそのスライムゴーレムを見て、少し微笑んだ。

少し気弱そうな顔をしているが、どこか愛嬌があり、安心感を与えてくれる存在だと感じた。


「これから君の新しい生活が始まる。」


その言葉と共に、優の視界が変わり、異世界の風景が広がっていった。




優は新たに始まった生活に少し戸惑いながらも、

スライムゴーレム(通称スラ)と共にダンジョンの基礎作りを始めた。

周りには、緑豊かな大地が広がっており、まるで農業に適した土地が待ち構えているかのようだ。

スライムゴーレムは黙々と土を掘り、穴を開けていく。

手伝ってくれるありがたい存在だが、何せまだ初めてのダンジョン管理だ。優は手探りで進むしかなかった。


「よし、これでいいかな?」


優はスライムゴーレムに目を向け、作業の進捗を確認する。

スラはその大きな体を揺らしながら、満足そうに頷いた。


「スラ、ありがとう。じゃあ、次は作物の種を植えようか。」


優は懐から、異世界で手に入れた作物の種を取り出す。

それらの種は、見るからに魔力を秘めているような輝きを放っていた。


農業スキルは初心者レベルだったが、何となく感覚で分かる気がした。

地面に穴を掘り、種をまいて、少し水を与えるだけでいい。

しかし、初めての作物を育てるのには緊張が走る。

これが上手く育てば、異世界の食文化に新しい風をもたらせるかもしれないと思うと、妙に気合が入る。


スライムゴーレムも、その動きで土を柔らかくし、種がしっかりと根付けるよう手助けしてくれる。

優はその作業に没頭しながら、少しずつ自分のダンジョンが形を作り始めるのを感じた。


「よし、これで…少し時間をおいて、様子を見よう。」


そして、その間に優は自分の手元にあるスキルを試してみた。


「異世界配信…」


彼は、心の中でその言葉を呟いた。すると、目の前に透明な画面が現れ、その中に自分が今している作業の様子が映し出された。

画面には、「ダンジョンマスター天野優が農作業を開始」といったコメントが流れ始め、数秒後には配信画面に視聴者が集まり始めた。


「え…これが配信?」


優は驚きのあまり声を漏らした。

その透明な画面には、リアルタイムで視聴者の反応が映し出され、コメントやアイテムの投げ銭が流れ込んできた。


「おお! これがダンジョンマスターの仕事か…面白い!」

「農業もできるのか! すごい!」

「投げ銭投げたよ、頑張って!」


コメント欄が賑わい、少しずつ投げ銭が集まり始める。


「え、投げ銭?」


優は再び驚く。自分が今までただのフリーターとして、ネットで少し稼いでいたころと全く違う現実が広がっていた。

こんなに簡単にお金が手に入るわけではないが、それでも嬉しさと驚きが交じり合っている。


「ありがとう!」


優は画面の向こうの視聴者に向かってお礼を言う。

異世界の住人たちが、自分の作業を見守ってくれるというのは、思いのほか心強いものだ。


「よし、次はどうしようかな?」


優は改めてダンジョンの運営に目を向ける。

農業を中心にダンジョンを発展させるつもりだが、やはり何かしらの冒険者を迎え入れることも考えなければならないだろう。

モンスターを育てるだけではなく、来訪者を迎え入れる施設も作らなければならない。


その時、スライムゴーレムが急に動きを止め、優の方をじっと見つめる。

優が不思議に思いながらもスラに目を向けると、突然スライムゴーレムが口を開いた。


「…主、何かが近づいてきます。」


その言葉に優は驚いた。スライムゴーレムがしゃべる?

それに、何かが近づいてくるとは…何か危険なものだろうか。優はすぐに視線を巡らせ、周囲を確認する。


そして、少し離れた位置から、薄暗い森の中に数人の人影が見えた。

優はそれが誰か分からないが、警戒を強めるべきだと感じた。

ダンジョンに訪れるのは普通の冒険者だけとは限らない。



その人影が近づくにつれ、優は心の中で深く息をついた。

これから始まるのは、単なる農業だけではないのだろう。


「どうする、スラ?」


スライムゴーレムは少し考えた後、優に答えた。


「見守りましょう。何事も、学びです。」


優は少しだけ微笑んだ。そうだ、すべては学びだ。

初めての冒険者、初めてのダンジョン訪問者との対面。これが自分の新たな生活の始まりか。

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