トイレのフタの話
仕事場のトイレが新しくなった。
トイレのドアを開けるとトイレの明かりがついて便器のフタが自動で開くタイプでウォシュレットやらボタンがいっぱいついている。その隣に小便器が並んでいる。
ん?
世の中の男子トイレと言えば、トイレに入るとオープンスペースに小便器が複数あり、個室に便座の便器があるのが一般的かと思う。ところがスペースの都合かこれが並んで1つずつ個室内にあるような構造になっている。なら小便器はいらないんじゃ・・・と思うのだが。
前は洋式の便器だけだった。ウォシュレットもついていなかった。フタも手で開けて、「使用後はフタを閉めましょう」と張り紙してあった。
この新しいトイレはトイレのドアを開けるとフタが自動で開いてお迎えをしてくれる。しかし用事があるのは小便器だ。仕事場で大の用事をすることは年間で数回程度しかない。たぶん、このトイレのドアを開ける100回に1回ぐらいにしか役に立たない機能だ。
これは並んである小便器という存在が想定外なのではないだろうか。
この小便器がなければ、当然フタは開けなければならない。それを勝手にやってくれるのは便利な機能だ。女性用のトイレであれば100回ドアが開けば100回フタを開けるのは自明だ。
そしてもう一つ問題あった。
今まで「使用後はフタを閉めましょう」と張り紙をされていて、便器のフタは閉めておくものだと思っている私は、自動で開くフタを手で絞めて横で小用をたす。これがダメらしい。
このフタは自動で開閉するから、敢えて開閉したい場合はパネルのボタンを押すのが正解で、手でフタを閉めるとモーター部分が壊れるらしい。そんなことを自宅のトイレをこのタイプに変えた人が教えてくれた。トイレ掃除でフタを手で閉めていたら壊れたらしい。1回2回で壊れないけれども壊れた状況を業者に説明すると手で閉めるのがダメだと説明されて数万円の修理費を請求されたとか。
ここまでくるとトイレの新しい文化だ。これまでの手でを閉めなければならないという常識が、フタの開閉はトイレにまかせなければならないという常識に変わるということだ。
聞いた話では新築の家ではフタが自動で開いて水が自動で流れるものが一般的になっているらしく、小学校ではフタが開かなくて困ったり、使用後に流さない児童がある程度いるとか。
私の子供のころはボットン便所が残っていたし、学校の大便器は和式しかなかった。洋式便所が普及するころには使用方法がわからずに困る人がいたものだ。それと同じ年代の児童は便所のフタは勝手に開くのが当然であり、立ち上がれば勝手に水が流れるのが当然の世界に生きている。
10年後、トイレはどんな形になっているのだろう。
仕事場のトイレに感じた違和感は、もはや普通のことなのだろうか。