season1 7話再開
「シン…お前は何が目的なんだ……?」
りょうたがシンに問いかける。
「時期に分かるさ……」
シンはニヤリと微笑む。
「換装:憤怒の浄剣」
シンは黒く禍々しい魔力を纏った短剣を持つ。
「本来のユニークスキル【七つの大罪】……知ってんだろ?」
───ユニークスキル───
【七つの大罪】
殺した相手のスキルを奪う。身体能力の底上げ。
「さぁ始めようか」
シンが不敵な笑みを浮かべる。先行を取ったのはりょうただった
「神速!!先手必勝!!」
りょうたが著しい速さでシンに迫り、剣で切りかかると辺りに高い金属音が響く。シンはりょうたの攻撃に対応していた。その表情は余裕を持っていた。
「……七つの大罪!」
スキルを発動したシンの顔には黒い紋様がデコから目にかけて浮き出てきた。
「加速……!」
シンの攻撃は加速し続け、遂には音速をも超えていた。りょうたもシンからの攻撃に負けずと対応する。だが一瞬の隙にシンがりょうたを蹴り飛ばす。吹っ飛んだりょうたは住宅を豆腐の如く貫通する。シンはその住宅ごと斬撃を加え追い討ちをかける。
「……くっ!!」
この5秒の猶予がシンの決め手に繋げた。
──開戦──
【混沌】
りょうたは結界に囲まれた。りょうたの目の前には8つの龍の頭があった。迷いなくりょうたは冷静に龍の頭を切り落としていく。そして最後の頭を切り落とした時1枚目の結界が割れるように剥がれ始めた。
(ここまでは大丈夫。混沌は2枚結界を貼ることでの身体能力の底上げ+魔力の超増量だ。だからここで決める!)
剥がれた結界の向こうから斬りにかかったのはシンだ。不意打ちに対しりょうたは驚くこと無く剣を持ち、構える。すると、りょうたから大量の魔力が溢れる。その量は開戦の効果で増えていたシンの魔力量を既に超えていた。
───奥義───
【新時代】
その速さは光の速さなどとうに超えていた。シンは首を切られている事にも気付かず殴り掛かる。だがその刃は届くことは無かった。
「ふっ…流石だな……勇者」
シンは死に際にそう一言、口に出した。
「……」
りょうたはかつての友を失うことになった。
──────────
「羅先!」
美月に降り注ぐ隕石を何者かが粉砕した。
「!?みさこ!!」
美月を助けたのはクラスメイトの矢部みさこだった。
「ッチ!ギガントか!」
──ユニークスキル──
【ギガント】
他のスキルを一切使えない事の代わりに身体能力の限界突破。そしてスキル貫通の魔力攻撃。
「大丈夫?美月、こうた」
「え、えぇ…」
「なんとかな…」
みさこは美月とこうたを見て心配する。話している間に小島は美月に近づく。
「しまった……!!」
みさこは急いで美月を助けようとする。
「パワージェム!」
小島がスキルを発動した。その瞬間、美月の周りに2つの宝石のようなものが浮かぶ。その宝石が美月を挟み重なる時、宝石が光りその光が2つの宝石を結ぶ。
「…………っ!!」
宝石を結んだ光が美月の体を貫通し右足、左肩、右脇腹をえぐる。それはもとより言葉にはならなかった。ただ痛いというのがむごたらしく聞こえるばかりで、傷ついた牛のように叫ぶほかはなかった。
「美月ー!!!」
こうたが美月の名を叫ぶ。美月は倒れ込む。小島は2度目の攻撃に移る時みさこが小島に殴り込む。
「厄介だなぁ!矢部みさこ!油断は許されないって訳かぁ!」
──開戦──
【グロンディステーンバッド】
その瞬間みさこを結界が囲む。
「巌竜!!」
シンの開戦を模した技である。この結界内では小島が生成したものに必中効果を与える。みさこに岩の龍が襲いかかる。
「羅先!!」
魔力を拳に集中させることで破格な火力を出すことができる。殴る衝撃波は龍を粉々にする。
「ゴリラかよ……まだまだぁ!!パワージェム!」
巨大なジェムが現れる。ジェムからの無数の光がみさこに襲いかかる。
「やばっ!」
みさこは光に飲み込まれた。
─閉門─
みさこの全身は血で満たされていた。
「おいおい…あれ食らってまだ息してんのかよ……バケモンか?」
小島がみさこの耐久性に驚愕した。こうた達は絶望に明け暮れていた。
「龍解!!」
小島に巨大な龍が襲いかかる。
「……っ!!キングゴーレム!」
小島は通常より大きいゴーレムを顕現させる。龍は勢いを変えずそのまま突っ込む。小島の出したゴーレムは粉々になった。その衝撃波は小島を吹っ飛ばした。
「クソがァ!出やがったなぁ!!」
と、小島は巨大な龍に指をさし怒鳴る。巨大な龍は煙と共に小さくなっていき人間の姿になった。
「……っ!こうき!」
こうたはその姿を見て龍の正体が政府直属部隊2番隊隊長田中こうきということに気づく。政府直属部隊とは名の通り政府直属の部隊であり、りょうたを含むスキルを所持する実力者が所属している。その中でもこうきはNo.2の実力を有している。
─ユニークスキル─
【竜王】
火竜、暴風竜、氷竜、白神竜、真魔竜、水竜、鉄竜、巌竜の計8体の竜のスキルを扱える。制限はあるものの自身を竜の姿にも変えられる。
「治癒」
こうきが癒しの力でこうた達の負っていた傷を治す。
「今のお前らじゃ小島には勝てない!今は逃げろ!」
「まだ……っ!やれる!」
みさこは途切れ途切れに言う。みさこは重傷であった為こうきでも完治させることは出来なかった。
「貴方……シンと繋がってるのよね?」
みさこが小島に問う。
「だとしたら?」
「………なら…尚更っ…!」
みさこが再び構える。
「……あおい、頼む。」
こうきが誰かに頼む。その場から少し離れた建物の上に女性の影があった。その瞬間、指が鳴る音がした。すると、みさこのいた場所には小石が落ちていた。
「……っ!?みさこは!?」
こうたが驚愕してこうきに聞く。
「心配ない。安全な場所に移動してもらっただけだ。任せてくれ。」
「……わかった!頼むぞ!」
こうたは美月を連れてその場を離れる。
「さてさて…別れの言葉は済んだかよ」
そう言うと小島は地面を叩くとこうきの足元に鋭い岩が飛び出す。
「水竜の鉤爪!」
こうきは手に水を纏い、岩を砕く。勢いをそのままに小島に向かって刃を向ける。
「ガッ!?」
小島の胸元に爪痕が付く。
「暴風竜の翼撃!!」
こうきは小島の腹に手をやる。すると、上空に向かって強風が起こり小島を空高く上げる。
「鉄竜の咆哮!!!」
こうきが口を大きく開けると鉄色の炎のようなものを噴き出す。咄嗟に小島は岩の壁を作り、自身を囲む。理不尽な程の火力は壁を破壊し小島の右手を吹っ飛ばした。
「ゴーレム!!!」
小島は再び岩で自身をゴーレムで囲む。
「鉄竜の剛拳!!!」
こうきが鉄に変化した拳を振るとゴーレムが粉々になる。ゴーレムの中身はもぬけの殻だった。
「クソッ!逃がしたっ!!」
こうきは拳を振る。まるでトカゲのしっぽを掴んだ気分だった。
──────────
(どういうことだ?バーチャルフィールドが閉じた?とりあえず本部へ───)
ひびきが建物の屋上から辺りを見回し、状況を整理しようとしていた。
(この魔力は………シン……!?)
ひびきが禍々しい魔力を察知し状況の深刻さに気付く。
「……!?」
(身動きが取れない……いや固定されている!)
ひびきは手足が氷のチェーンで固定されていることに気付く。
「付与:筋力上昇!」
ひびきは無理やりチェーンを壊し自由を得る。
「……くるみだよな。雰囲気変わったな……」
この国には時空の狭間が全部で三ヶ所ある。1つは東京。残り2つはまだ何処にあるかわかっていない。時空の狭間の中は時間の進みが無く、年を取ることがない。その代わり戦闘経験が増え修行した分魔力は手に入るが体の成長が止まるため、体そのものの変化が起きない。だが20年居続けると、代償として自身の体の時が止まってしまう。そうすると時空の狭間以外の場所でも年を取ることが出来なくなるなり、擬似的な不老状態になる。
「まさかシンと繋がっていたとはな!!」
ひびきがそう言い鉈を繰り出す。
「造形:氷狼!」
くるみによって生成された4匹の氷の狼がひびきに襲いかかる。
「付与:超覚醒!」
全能力増曻により目にも止まらぬ速さで狼の首を切る。すると、切られた狼の体が破裂し氷の破片がひびきを襲う。ひびきは咄嗟に避ける。
(以前よりスキルの精度が特段に上がっている……)
「ふぅ……全く、相変わらずの強さ……」
くるみがひびきの強さを見て自然とニヤついてしまう。
(以前のくるみとはまるで違うな……油断はできねぇな…)
ひびきが冷や汗をかく。
「じゃあこれならどう?」
くるみは片手を前に出す。
「吹雪!」
吹雪がひびきを襲う。
「くっ!付与:結界壁!」
魔力の結界がひびきを護る。
「造形:氷雨!!」
氷の礫が結界を割る。生身となったひびきは吹雪をもろにくらい凍りつく。
「これで終い!造形:槍騎兵!」
巨大な氷の槍を10本作る。
「ごめんね……ひびき」
10本の槍が一斉にひびきに襲いかかる。
「うぉおおおお!!」
ひびきは全力を出し氷の槍を壊す。
だが、
ドサッ────
ひびきの胸には大きな穴があいていた。そして、ひびきの目の前にはくるみの姿が見えた。
「………………」