season1 6話襲撃
─────三日後…場所「公園」
美月とこうた、ゆうりはこの前の事を話していた。
「信じられない…」
ゆうりが美月に起きた事を聞いて衝撃を受けている。
「…美月、お前の言ってた水を操るのって今できるのか?」
こうたは思いついた顔をして美月に問う。
「え?うん、まぁ」
「やって見せて」
美月が手の平に水をイメージすると不思議と水が現れる。美月自身も仕組みは理解してないが超能力的なものと思っている。
「それって飲めんのかな」
こうたが何も考えてないトーンで言う。
「んーどうなんだろう───」
美月が言いかけた瞬間目下の地面が盛り上がった。こうた達は反動で押し倒される。
「随分と平和ボケしてる野郎どもだな…」
そこに現れたのは小島だった。
(何が起きたんだ…!?)
こうたは起きたことに理解が追い付かなかった
「いや違う…知らねぇのか…。それより、見せてくれよ!お前の【ユニークスキル】を!」
「なんなんだお前は!」
こうたが小島に反発する。
「俺の名前は小島…てめぇはひっこんでろタコ!俺の目当ては杉山美月…テメェだよ♪」
小島が美月を指す。
「……っ!!」
こうたが美月の名が出て焦り出す
「もしかして私の能力のこと…?」
「あ?あーあいつらなんも説明してねぇのかよ…いいぜ?器の大きいこの俺が教えてやるよ───」
【ユニークスキル】…別名固有スキル。所有者が固有する。
「………」
こうたの横にはリアクションの薄いゆうりがいた
「さてと、説明は済んだし早速始めるか」
小島が構える。
「ふざけんな!」
こうたが美月の前に出る。
「こうた!下がってて!私を信じて」
美月がこうたの肩を掴む。
「分かった…」
こうたは不安そうに言う。
「俺のユニークスキルをお披露目するぜ!」
【バサルトウォリアー】
大地を操る能力。自分自身を岩のような強度にすることも可能。
小島の体は玄武岩のような硬い体になり美月に襲いかかる。
それと同時に美月の右手に水のムチが伸びる。
(水か!相性最悪だな……!)
「だがスキルは相性だけじゃないぜぇ♪ゴーレム!!」
小島の後ろに2体のゴーレムが立ちはだかる。
「あれが美月?なんかかっこいい…」
美月を見てこうたが惚れ惚れしていた。
【水神】
それが美月のユニークスキル。水を操り戦う姿はまるで神のごとく。美月はゴーレムを一人一人相手して順々となぎ倒していく。倒されたゴーレムは粉々になる。
(私は技が分からない…なら!)
─────開戦─────
【水神楽聖】
【開戦】、スキルにおいての極致。結界を張ることで魔力の流れを留め必中効果を付与する。
美月は二度目の開戦により結界を張った開戦を成功させる。
(開戦!?おいおい嘘だろ)
小島が思いもよらぬ攻撃に驚愕する。
「そいつは聞いてねぇぞ!」
(あの時シンがやったように…)
美月はシンが生成させた龍をイメージする。
「水龍!」
水面から波紋が広がりそこから水の龍が現れた。
「あの野郎…知ってて言わなかったなぁ…!?開………っ!─────」
─────閉門─────
小島がそう言いかけた時だった美月の結界が剝がれる。
「……!?」
(なんで!?私閉じてないのに!)
美月が動揺していると奥から人が歩いてくる。
「何をしてんのさ」
【強制終了】
スキルへの物理的干渉による強制解除及び開戦による結界の強制閉門
「やりすぎはいかんでしょうに」
「邪魔すんな!伊藤!」
小島と伊藤が口論している
「ダメダメ。佐藤りょうたが近くに来ている」
「!?……チッ!」
小島がその名を聞くと動揺する。
(佐藤りょうた…?誰だ…?)
「勝負はお預けだ!次きた時は決着つけようぜぇ♪」
と言い小島と、伊藤は地中に潜って行った。
「待て…!……クソッ!」
こうたが止めようとしたが間に合わなかった
「大丈夫!?美月!」
「うん、、、」
ゆうりが倒れそうになる美月を支える。
「……なんであの2人が…」
「何か言った?」
「いや…気にしないで!」
〜1ヶ月後〜
俺たちは臨時で校外学習をする事になった。
ある体育館のような場所に案内された
「──それでは代表の佐藤くんお願いします。」
教師がりょうたを呼ぶ。
「今回はみんなに大切な話があります。」
その話というのはスキルやユニークスキル、にわかには信じ難い話だったが、こうたには思い当たる節はあった。後から思うと伊藤の言っていたりょうたはあいつの事だったんだろう。
案の定みんなは引いたり笑ったりと信じるやつはいなかった。するとりょうたは
「まあ信じる事は難しいと思うので実際に見てもらいます。畠中君と僕が今から戦います。」
(ひびき…俺のクラスメイトだ。ユニークスキル…美月と同じ力…どんなものなんだろうか。)
こうたが興味を持つ。奥からひびきが現れる。
「俺から行っていいか?」
ひびきが構える。
「換装!付与鉈」
ひびきが鉈を構える。
──ユニークスキル──
【付与者】
あらゆる付与スキルを使用出来る。
「付与:筋力強化」
ひびきが自身を強化する。
「じゃあこっちも行くよ。」
とりょうたも剣を構えユニークスキルを使う。
───ユニークスキル───
【???】
「神速!!」
瞬きの間にひびきは切られていた
他の奴らは唖然。それもそのはず目の前で人が切られたのだから。こうたも言葉を失った。
(ひびきは死んだのか…?)
─────閉門─────
すると透明の結界幕が降りた。
切られていたはずのひびきは横になっているだけ。皆は混乱した。
「安心して下さい。これは誰もが習得できる開戦【バーチャルフィールド】で空間をバーチャルに変えるものですので。」
この後、生徒全員はユニークスキルについて詳しく話され、各自「魔水晶」というものに触れ自分のユニークスキルを確かめることになった。こうたの番が来た…
(俺のスキルはー……?)
こうたがゴクリと飲み込む。
───ユニークスキル───
【換装者】
(なんだこれ?)
〜(3ヶ月)3日後〜
こうた達は時空の狭間という日本に3つしかない場所で3ヶ月間修行をした。そこは時間経過がとても遅く、現実との差は1日1ヶ月程あり、修行した実日数はたったの3日である。
そして今日は初の実践の日。実戦場は見沼区を模した場所で、住宅街など全てをバーチャル化されている。
「───位置についてーよーいドン!」
と運動会のような気が抜けた開始合図が流れた。
その瞬間全員ランダムでテレポートされた。
初の実践でランキングもされるのでこうたは緊張感が出てきた。
(とりあえず学校方面に向かおう。)
と、こうたが向かおうとした瞬間、地面から大きな根っこが盛り上がってきた。
「……うわっ!…換装!」
換装、誰でも覚えられるノーマルスキル。空間スキルの1種で空間に武器を保管しそこから取り出す事ができる。だが本来は保管できる個数には制限がある。しかし、こうたのユニークスキル「換装者」は個数制限が無くいくらでも保管でき、スキルとの相性がいい。こうたは咄嗟に武器を手にする。
「【表表千麟】」
表表千麟、二刀流の武器で自分の魔力の属性を炎に変える性質を持つ。こうたの周りを炎が舞った。
「うりゃァァ!!!!!」
こうたは巨大な根を燃やし尽くす。
「やるなぁ」
沢山の根の上に立っていたのは
「ゆうと!お前か!」
こうたが馴染みのある声を聞いて反応する。そこに現れたのは「小山田ゆうと」だった。
「お互い手加減無しでやろうぜ?」
とゆうとがワクワクした顔で言う
───ユニークスキル───
【植物操作】
植物を操る事が出来る能力。根に魔力を流すことで大きくすることが出来る。
他の根が二階建ての建物を持ち上げた。
「お前は見た事あるか?コンクリートを割って生えている植物を…!」
ゆうとが持ち上げた建物をこうたに向かって投げつける。
「神速!」
神速。換装同様に誰でも覚えることが出来るノーマルスキル。一時的に身体能力を底上げし、高速で動くことが可能である。その速さは元々の身体能力によって変わる。こうたは素早くゆうとからの攻撃を避ける。ゆうとからこうたは距離を置こうとするがいくら離れても根は追ってくる。
「俺のスキルの射程範囲は500mだ!逃げられねぇよ!」
ゆうとが自身のスキルの射程範囲を開示する。
「随分と広いな。」
こうたは向かってくる根を次々と切り落とす。落とされた根はこうたの武器によって燃え尽きる。
「お前はレパートリーが多くて厄介だな」
そう言うとゆうとはこうたの不意をつき、根でこうたを拘束する。
「くっ……!!」
締め付けられたこうたは手に力が入らず剣を落とす。
「お前さ、この3ヶ月で一度も俺に勝てなかったよなぁ?そりゃ美月に付きっきりだったしなぁ!」
「……」
こうたが自分自身を情けなく思う。
「そんな奴がどうして俺に勝てるよ?」
ゆうとが嘲笑う。
(こんな所で負けられるか……!俺は……美月を守るんだ……!!)
「換装:飛揚跋扈!!!」
こうたの手元から3つの小型の刃の着いた虫のような武器が飛び回り、こうたを拘束していた根を切り落とす。
「複数の武器を同時に……!?有り得ねぇ……」
ゆうとがこうたの技を見て驚愕する。換装で装備できる武器は一つが限界であり、複数を可能にするのはこうたのスキルのみである。
「なぁ……知ってるか?……『憤怒の罪 シン』を!」
ゆうとが興奮しながらこうたに問う。
(……!?)
「………いや」
こうたは知らぬフリをした。
「そいつは一度の襲撃で本部を崩壊させ、あの佐藤りょうたをも凌いだ!規格外の強さだ……!あぁ…俺も……なってみたい……そんな…………『最強』に!!!」
ゆうとが構える。
「だから!こうたお前なんかに負ける訳には行かないんだよォ!!」
ゆうとが根で攻撃する。
「俺も!大切な人を失わないように、負ける訳には行かねぇんだァ!!!!換装:厄鎌!」
こうたが新たな武器に切り替える。厄鎌、スキルかまいたちの精度を上げる。
「かまいたち!」
かまいたち、ノーマルスキルの一つ。刃先に魔力を込め斬撃として放つ技。こうたはゆうとに向かって辻斬りをした
「…ッチ!」
咄嗟にカバーしたが根は紙のように綺麗に切れる。
「グハッ!!!!!」
その斬撃は止まらずゆうとに直撃する。
「そんな……!馬鹿な……!?」
大量の血を吹き出し、倒れたゆうとは溶けるように消えていった。死亡すると、バーチャルフィールドから退出という形になる。
「はぁ…はぁ…」
こうたがゆうととの戦闘で息切れを起こす。
(1人倒すのも結構キツイな…)
──────────
(結構歩いたけど誰とも会わないなまあ会わないならそれでいいんだけど…)
美月が住宅街を一人歩いていた。
「美月ー!」
何処からか美月を呼ぶ声が聞こえる。
「誰!?」
「私だよ!最初に出会うのが美月だなんて」
住宅の屋根の上に人影があった。
「おと!」
美月が出会ったのは同じクラスメイトの「仲間おと」だった。
「まあお互い頑張ろ」
と言うと、おとは換装を使用し三節棍を手に持つ。
「破鉄三節棍!!」
破鉄三節棍、重さとバランスが完璧に調整されており、素早く振ることができる。相手の攻撃を弾くことも可能。
───ユニークスキル───
【波紋】
波紋に合わせるように、まるでリズムゲームのようにExcellentが出た時奇跡のような火力を生む。
「換装!神刀:ネレウス!!」
美月が刀を手に持つ。その刃先には水の文様が掘られていた。
「あまり近づきたくないかなぁ」
おとは相性の悪さからなのか美月と距離を置く。
「水刃!」
水刃、スキル「かまいたち」と美月の魔力を掛け合わせた技である。飛んできた斬撃に向かっておとは三節棍で向かい打つ。
──Excellent──
三節棍で打った瞬間斬撃が割れる様に弾けた。
その瞬間美月は確信した。
(強い…!)
「次はこっちの番!」
おとは高く飛び跳ね三節棍で舞うように攻めてくる。
(来るッ!ここが使い時!)
───開戦───
【水神楽聖】
結界幕を下ろし、おとと近接に持ち込んだ。
「…っ!?まずいなぁ…」
おとが少し焦る。
(水位が上がって身動きが取りずらい…けど…っ!)
「波紋!」
おとの波紋は水面でのExcellentを取りやすく美月とは相性補完が取れている。その瞬間おとは足元の水を弾き飛ばし、本体…美月を叩きに行く!
「…っ!」
近づいた瞬間おとの周りには水滴がいくつも浮いていた。
「これが狙いか…!」
水滴は劇的な爆発をし、おとの全身を砕いた。
美月はおととの戦闘に勝利した。
──────────
(あの結界は美月のか…)
遠くから開戦による結界を見て、こうたが美月の戦況を気にする。
───閉門───
「!!!」
こうたは異変にいち早く気付く。
【バーチャルフィールドの閉門は見沼区との空間つまり現実との接続を意味する】
(とりあえず美月の所に行かないと!)
こうたは美月の場所を目指し駆け出す。
──────────
「美月!!大丈夫か?」
こうたが美月と合流する。
「えぇ、私は大丈夫…」
「……!……ちょっと待て」
こうたが何かに勘づく
「えぇ……来る…!」
龍にコウモリのような羽をつけたキメラのような魔獣が飛んできた。その背中に乗っていたのは…小島だった。
「換装:五代目胡蝶蘭!神速!」
こうたが刀を手に取り、魔獣を素早く真っ二つにした。真っ二つになった魔獣の間から小島が殴りにかかる。
「グハッ!!」
小島の拳はこうたの腹にくい込んでいた。
「こうた!」
こうたは住宅に打ちのめされる。美月はこうたの名を叫んだ。
「よおぅ…お前らぁ」
小島が美月とこうたの前に現れる。
「…小島…!」
こうたは必死に起き上がる
「お?生きてたのか。まぁいいや、殺す!この前の続きだ!」
そう言って小島はこうたに勢いよく突っ込む
(早っ!)
小島はこうたのみぞおちを殴った後どこからともなく現れた鋭い岩を持ちこうたの足に刺す。膝を崩したこうたにトドメを指しに蹴りを入れようした時。
「水龍!!」
水龍、美月が開戦にて顕現させた龍を一時的に開戦を必要無しに顕現させることに成功した。美月が出した龍が小島を襲う。
「やっぱ水は好きになれねぇわ♪」
直撃の瞬間、小島は咄嗟に受身を取る。龍は形を保てず崩れる。
「隕石!!」
小島が上空に石を投げると、突然美月の真上には巨大な隕石が現れた。
「……っ!?」
──────────
「よおぅ…久しぶりだなぁ…りょうた」
ある男がりょうたと対立していた
「あぁ…そうだな。シン」