season1 4話分岐
美月はこうたと噴水前で待ち合わせをしていた。今日は夏祭りなので美月は浴衣を着ている。そして少し待つとこうたが来た。
「わりぃ!待ったか?」
「待ってないよ。私もさっき来たところだし。それよりさっそく行こうか」
「そうだな」
2人で祭り会場に向かった。屋台を見て回っていると花火が上がった。こうたは花火を見ている美月の顔を見てとても綺麗で見惚れていた。すると突然、美月がこうたの手を繋ぐ。こうたは驚いて美月の顔を見ると、顔を真っ赤にして下を向いていた。そして小声で言った。
「手、繋ぎたかったから……」
その瞬間、こうたは胸がドキッとし、それと同時に美月が愛おしくなった。こうたは思わず抱きしめそうになった。それから二人がしばらく歩いていると、りんご飴を売っている店を見つけた。そこで2人はりんご飴を買った。2人で同じものを食べながら歩いた。すると、再び沢山の花火が上がり始めた。2人は空を見上げた。すると、不意に二人の肩が触れた。こうたは慌てて離れようとしたが、美月が離さなかった。そして、雰囲気がそうさせたのか、そのままキスをした。こうたは美月とのキスはとても甘く感じた。
そして唇が離れた後、お互い照れくさくて目を逸らしてしまった。すると、それからしばらくの間、二人はその場から動けなかった。
そして、夜も更けてきた頃、最後に1つだけ花火が上がるらしいので、二人はそれを見ていた。すると、こうたが話しかけた。
「なぁ、来年も一緒に見れるよな?」
「うん、きっと見れるよ」
「……だよな」
こうして、夏休み最後の日が終わった。
夏休みが明けてから1週間程経ったある日、先生から全校集会があると言われて生徒が体育館に集まっていた。
「校長先生のお話です」
教頭が呼ぶと校長がステージへの階段を上る
「皆さんおはようございます。夏休みは楽しく過ごせたでしょうか?私はというと、毎日家でゴロゴロしてました。でもそのおかげで体重が増えてしまいました。困ったものですね。はいそこ!静かにしてください!おっと失礼しました。話が脱線してしまいましたね。えぇ…では本題に入ります。最近、誘拐事件が多発していますが、本校の関係者も被害にあった人が出てしまいました。この事態を重く受け止め、休校する事が決まりました。しばらくの間はオンライン授業という形でお願いします。被害にあっているのはいずれも未成年ですので大人との行動を心がけてください。では、これで終わります。」
(えっ、これマジ?嘘だよね?)
校長の話題の展開の速さに困惑する。当然他の生徒も冗談に思ったりと信じる者はさほど居なかった。
集会も終わり休み時間の時こうたが美月に話しかける。
「美月、ちょっと来て」
こうたが美月の手を引っ張る。
「何?」
「ここじゃあれだから、場所変えよう」
「え、うん……」
こうたの目的がわからないまま美月は案内される。
案内された場所は校舎裏だった
「俺の勘違いかもしれないんだけどさ、最近…変な人とかいなかったか?」
「変な人?」
「あぁ…なんかこう、普通の人とは違うっていうか……」
「う〜ん、特にいないと思うよ」
「そっか。ならいいや」
こうたは安心した様子を見せる。
「ねぇ、何の話?」
「なんでもないよ」
「本当に?」
「うん」
「ならいいんだけど」
「じゃあ教室戻ろうか」
「う、うん………」
美月はモヤモヤを残して教室に戻った。
「………」
こうたは何か知っていそうな顔をして黙っていた。
「はぁ……はぁ……くそっ!」
こうたはゆうりの家に向かって全速力で走っていた。そして、こうたはゆうりの家にたどり着いた。
「ゆうり!!」
こうたが家の外から美月の名前を叫ぶ。
「何!?」
ゆうりが二階の窓から顔を出し困惑する。
「美月が………!」
こうたがかなりの焦りを見せる。
「美月がどうしたの?」
「誘拐………された………」
こうたが下を見て言う。
「噓でしょ!?」
ゆうりが家から出てくる。
「本当だ……前からずっと美月の事をつけてた奴がいて、そいつが………!」
こうたが自分の足を殴る。
「警察には相談したの?」
「したけど相手にしてもらえなかった……。俺…美月を救いたい!!」
こうたは考えた。そして、ある作戦を思い付いた。それは、犯人にわざと捕まって居場所を突き止めることだ。
「なぁ、優里。協力……してくれないか?」
こうたはダメ元で頼み込む
「何をすればいい?」
ゆうりは了承することなく自分の役割を聞く。
「……悪いな。犯人を捕まえる為に、油断させたい」
「つまり………囮になれと?」
ゆうりが言い当てる
「………」
こうたは図星を指され言葉が詰まる。
「嫌」
ゆうりが当然の反応をする。
「そこをなんとか!」
こうたが頭をペコペコと下げる。
「無理なものは無理!」
ゆうりが拒否する
「お願いします!!!!」
こうたがしつこく頼み込む
「しつこい男は嫌われるよ!」
ゆうりが嫌悪感を露あらわにする
「マジで!!!頼む!!!」
「だからしつこいっ!いい加減諦めなさいっ!」
ゆうりがイラつきを隠せなくなる
「頼むっ!このとおりっ!」
遂にこうたが土下座をし始める。
「うっ、分かったよ……」
ゆうりが土下座をトリガーに押し負ける
「ありがとうございますっ!」
「その代わり約束があります」
ゆうりが不機嫌そうな顔で言う。
「何……ですか?」
ゆうりの敬語につられてこうたも同じ口調になる。
「絶対に無茶しない事」
「はい……」
こうたは何故か正座になる。
「あともう1つ…私を…守ってね……」
「当たり前じゃん…」
こうたは真剣な顔で言う。だが正座をしながら言っているのでシュールである
「じゃあ決まりね」
こうして、こうた達の作戦が始まった。
ゆうりは犯人にあえて捕まることにした。もちろん、危険が無い訳がない。でも、やるしかないのだ。
「それじゃあ……行ってくるね」
「気をつけてな」
お互い覚悟を決める。
「うん。何かあればすぐに電話するね」
「分かった」
ゆうりは歩いて行った。こうたは、近くの物陰に隠れている。
(なるべくゆうりが危ない目に遭わないといいけど……)
そんなことを考えていた時だった。突然後ろから誰かに話しかけられた。
「おいお前」
振り返るとそこには意識が無いゆうりを引きずってる謎の男がいた
「ゆうり!?」
受け止めがたい光景がこうたの視界に叩き付けられる
「ん?お前は………」
男はこうたの顔を見て呟く。
「ゆうりに何をしたんだ!?」
こうたが男の胸ぐらを掴む
「はぁ……ちと眠っとけ」
「ぐふぅ…….ゲホッゴホォッ」
腹を殴られたこうたはそのまま意識を失った。
―――――――
(あー失敗した…まさかこんなにも早く始めるとは思わなかった……ごめんね…こうた…)
ゆうりは薄れる意識の中謝罪をする。
(せめて犯人教えてあげたかったなぁ……お願いこうた………死なないで……)
そしてゆうりは深い眠りについた。ゆうりの腹部からは冷気が漂っていた。
──────────
こうたが目を覚ます。こうたが辺りを見渡すと地下牢のような場所に閉じ込められていることに気がついた。
「あれっ、なんでこんなところにいるんだ?」
こうたは記憶を辿ることにした。
「あっ、そうだ。確か、あいつに………!はっ…!ゆうり!」
こうたは思い出すとゆうりの安否を確認しようとする。
「お目覚めか?」
声が聞こえた方に目を向けると、男が立っていた。その男の右手には鉄でできたような長刀があった。
「ひっ……」
こうたが鋭い刃先を見ると心が恐怖に飲まれる。
「無駄な抵抗はやめろよ」
そう言って凶器を近づけてきた。
「やめろっ!来るなっ!」
こうたは必死に抵抗するが、手足に繋がれた鎖のせいで逃げられない。
「惨めだな」
男は軽蔑の眼差しをこうたに向ける
「やだっ!死にたくない!やだぁぁぁぁぁぁ!!!」
こうたは絶叫する
グサァッ
「ガハッ……グフゥ……」
バタッ こうたは横たわる。
──────────
(あぁ…あれからどのくらいの時間がたったんだろ。早く助けに来てよ……こうた……このままじゃ殺されるかも……どうしよう……怖いよ……こうたぁ……)
美月は誘拐されて一日経っていた。夢の中で美月はこうたの助けを待ち望んでいた。目を覚ますとそこは知らない部屋だった。
「やっと起きたか」
そこには犯人らしき男が立っていた。
「………っ!!嘘…でしょ…?」
美月はその男の顔を見て衝撃を受けた
目の前にいたのは
シンだった