season2 9話思い出す殺意
住宅街の広い道に2人、ポツンと歩く姿があった。しかし、周りには人の気配がまるで無かった。
「この状況ってさ、どう思う?」
不意におとがみさこに問いかける。
「うーん……こんな規模初めてで、正直頭が追いついてないかなぁ……」
みさこが不安げに答えると、物陰から魔獣が現れる。
「ざっと10体はいるね」
みさこが構える。
「さっきの光の柱と同時に発生した魔力は魔獣だったのね」
そう言うとおとも拳に魔力を込める。みさこは先陣を切って走り出す。
「ちょ、ちょっと……!」
みさこの魔力が紅く輝く。
「羅先!!」
みさこが10体の魔獣を一斉に粉々にする。
「……もう一体、でかいのがいるね」
おとの目線には奥から巨人のような見た目の魔獣がこちらを伺っていた。
「この感じ…多分S級相当だよ…」
みさこが警戒する。
「ここは私にやらせて!波紋……!」
魔獣はおとに殴りかかる。おとは華麗に避け魔獣の腕を登る。おとは魔獣の顔面を連打する。魔獣はどんどん後ろに押されていく。
「このまま決める!!!」
─────Excellent─────
おとの一撃が強い衝撃波を生む。その威力は魔獣を一撃で倒す程だった。
「いっちょ上〜がり〜」
おとが満足気に言う。
「そういえば……おと、三節棍はどうしたの?」
みさこが聞くとおとはギクッ肩を動かす。
「え、えっとね……」
おとは両手の人差し指を付けたり離したりして言う。
「壊れちゃった…」
言いづらそうに言う。
「え!?どうして!?」
当然みさこは驚き、訳を聞く。
「いやぁ……任務で魔獣討伐に行ったら、物凄く硬い魔獣がいてその時にね」
おとは6年前の出来事をきっかけに政府直属部隊に加入し、現在はこうきが指揮する二番隊に所属しており、みさこも二番隊に所属している。
「いやぁ…凄いねぇお二人さん」
拍手と歩く音が聞こえてくる。
「誰?」
いきなり現れた男にみさこが警戒する。
「……矢部みさこだな?兄貴が世話になったな」
みさこの顔を見ると不吉な笑みを浮かべる。
「兄貴……?私の知り合いに貴方みたいな弟を持つ人はいなかったと思うけど。」
みさこが疑問を抱く。
「赤鴉って言えば分かるか?」
聞き覚えのある名前をみさこが聞くと表情が一変する。
「おと……こいつは私にやらせて」
みさこが前に出る。
「で、でも……」
おとは止めようとしたがみさこの気迫に圧倒される。
「……わかった」
「あなた……名前は?」
みさこは冷静に名前を聞く。
「名前……?えーっと、あきとだ。苗字は知らねぇな。そんじゃあ……おっぱじめようか。換装『インティ・サン』」
あきとは大剣を持つと炎を纏う。みさこも同時に構える。
「俺のユニークスキルは『陽炎』!」
炎を纏いながらそう言う。
「属性スキルか……」
みさこが勘づくように言う
「そういう事」
あきとは大剣を両手で持つとみさこに急接近する。
(速い……!)
「爆轟!」
みさこの目の前で爆発が起きる。
「くっ……!!」
みさこは吹き飛ぶ。
「強い……」
みさこがあきとを改めて警戒する
「そいつはどうも」
「でも勝負はこれから!」
みさこは今一度気合を入れる。すると、魔力が倍に溢れ出す。それを見たあきとは思わず唸る。
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(なんだかやべぇな……)
静かな住宅街に1人歩く者が居た。その人物は守屋ひできだった。ひできは沢山の魔獣を目にして緊張が走る。するとひできを挟む家から魔獣が現れる。
「おいおいおい…心臓に悪すぎだろ…!」
魔獣達はひできに襲いかかる。
「閃光!!」
ひできの周りに火花が散る。魔獣たちは焼け焦げる。
「いいねぇ♪」
「これ……アンタらの仕業?」
「YES♪」
「……名前は?俺は守屋ひできだ」
「へ〜?お前意外と律儀だったりする?いいぜぇ?俺の名前は小島とあ…!お互い全力で行こうかぁ♪」
小島は愉快そうに話す。
「その腕…義手か?」
ひできが小島の右腕を見て言う。
「あぁ、最近やっと感覚掴んだんよ♪」
その義手は一般のものとは違い小島のスキルで生成された岩によって作られていた。
「なら気に留める必要は無いな」
ひできが構える。
「フッ……ゴーレム!!」
小島の後ろに2体のゴーレムが現れる。
「換装!三代目胡蝶蘭!」
ひできが短剣を取り出す。
(胡蝶蘭……日本三名匠の一人「友成」の弟子たちが作り出したとされる遺跡武器……四代目までは友成直伝の造形方法によって作られたもの……つまり、名刀同等の性能とみて間違いないだろうな…)
ひできが小島に攻撃を仕掛ける
「電光斬!!」
光の斬撃が小島に向かって放たれる。
「【かまいたち】の応用……器用だなぁ!!」
小島はゴーレムの陰に隠れ攻撃を避ける。攻撃を受けたゴーレムが粉々に砕ける。小島は高く飛び跳ね拳を振り上げると右腕が変形し巨大な拳に変わる
「岩砕!!」
「稲光の裂傷!!」
ひできは激しく輝く衝撃波を出す。二つの技がぶつかり合う。小島の岩の腕は砕ける。
「フッ…」
小島は不吉な笑みを浮かべる。すると、砕けた岩の破片がジェムに変わる。
「……!?」
「パワージェム!!!」
ひできの右腕、左脇腹、左足を光が貫通する。
「……勝ったな♪」
小島が慢心していると攻撃を受けた筈のひできは消えていた
「あ?」
小島が唖然としている時だった。
「ストーム!!!」
奥から暴風ような攻撃を受ける。
「絶壁!!!」
咄嗟に小島は攻撃を防ぐ。
「へへっ……いい人材みっけ!」
「秋本はるこ……!」
ひできの奥から歩いてくるのははるこだった。小島ははるこを強く睨む。
「さて……君はどんなスキルなのかなぁ?




