season1 2話一方的な恋
〜1週間後〜
こうたはゆうりとはあの日以来会っていない。連絡先を交換していなかったので、連絡を取ることができない。
「会いたい……話したい……」
夏休みに入ってからのこうたはずっとこの調子だった。学校がある時は、授業中は勉強に集中して、休み時間は友達と話したりとそれなりに充実した日々を送っていたが、今は暇で仕方がないのだ。ゲームをやってもすぐに飽きてしまうし、アニメを見てもあまり面白く感じなかった。
そんなある日、こうたのスマホにメッセージが届いた。相手は、同じクラスのくるみからだ。内容は『今週の土曜日空いてる?』というものだ。
(なんだこれ?)
と思いながらもこうたは返信をした。するとすぐ既読がついた。それから10秒後くらいに返事が来た。その内容は、『よかったら一緒に出かけない?詳しいことは直接話すからよく考えて決めて』というものだった。こうたは悩んだ。しかし、答えはすぐに出た。なんせ女子からの誘いだ
「よしっ!行こう!」
こうしてこうたのデートが決まった。そして、その当日。待ち合わせ場所は、駅前の噴水前だ。こうたが着くと既に待っていた。
「おはよう、こうた」
「おはよう!」
「じゃあ早速行こうか」
「どこに?」
「それは行ってからのお楽しみ」
そう言われて連れて行かれたのは公園だ。そして、2人は自販機で飲み物を買ってベンチに座った。
「なぁ、どうして公園なんだ?」
「それは、こうたともっと仲良くなりたかったから……!」
「えっ……それどういう意味?」
「……こうたのことが好きってこと!」
「……」
まさか告白されるとは思っていなかったこうたは言葉が詰まる。しかも、こんなところで。
「……気持ちはとても嬉しいんだけど俺には好きな人がいるんだ」
「知ってるよ。見てたらわかるし」
「ならなんで?」
「だから!諦めるために最後に思い出を作ろうと思って!」
こうたは何も言えなかった。断るにしてももう少しちゃんとした理由が欲しかった。
「お願い!せめてキスだけでもさせて!」
「なっ!?何言ってんの!」
流石にこうたも焦った。いきなりそんなことを言われたら誰でも驚く。
「お願い!」
「駄目だって!こういうのって好きな人とじゃないとしちゃいけないだろ!?」
「じゃあこうたは私のこと嫌い?どうなの!?」
「嫌いって訳じゃないけど…」
「なら問題無いじゃん!」
「…今のくるみは好きじゃないな……」
「お願い!一生のお願い!」
「うっ……」
ここまで言われると断りずらい。それに、もし断ったとしても引き下がってくれるとは思えない。どうすればいいのか迷っているうちに、唇が触れてしまった。
「うわぁぁぁぁ!!」
「きゃぁぁぁぁ!!」
『はぁはぁはぁ……』
2人とも叫びすぎて息切れしている。
「ごめん……」
「いや……俺こそ…」
気まずい空気が流れる。しばらくして、先に口を開いたのはくるみのほうだった。
「私、帰るね」
そう言うと、走って行ってしまった。
「おい!ちょっと待てって!」
そう言った時にはもう遅かった。こうたは追いかけようとしたが、足が動かなかった。
「くそっ!動け!」
必死で足を動かし走ったが、追いつけなかった。そして家に帰った。
その夜、こうたはベッドの上で悩んでいた。