season2 6話運命
〜十数分前〜
「行くぞ!りょうた!」
レヴィアタンを追いかけようとシンがりょうたに呼びかける。
「あぁ!」
すると、りょうたのスマホから着信音がなる。
「!」
「なんだ!こんな時に」
「どうやら本部からだ!先に行ってくれ、すぐ追いつく」
「わかった!」
シンが先に追いかける。
「もしもし」
「政府からだ」
「……!?」
それを聞いた時りょうたは何かを察した。
「レヴィアタンもとい白谷りおを処刑する」
「で、ですか…!」
「これは命令だ」
「…っ!わかりました…」
─────────
「………」
奇襲に成功したりょうたの表情は何処か曇っていた。
「カハッ……!!」
直ぐさまシンがレヴィアタンに近付く。
「ブレインショック!」
シンの親指には電撃が走っていた。
「暗影領域」
レヴィアタンを中心に足元が闇に覆われる。
「ゴフッ……!」
シンが血を吐き倒れる。
「シン……!」
すると、レヴィアタンの体から黒いヘドロのような魔力の塊が溢れかえった。その正体は制御不能となったレヴィアタン本来の魔力だった。その魔力は勢いのままりょうたが押し出される。
「ぐっ……!」
「まだだ……!まだチャンスはある!」
シンは立ち上がっていた。魔力の塊は形を留め無い、化物と化していた。
「りょうた!あいつの中に繋げられるか!」
「あぁ!やってみる!」
りょうたが再び鎧をまとい剣を振り下ろす。
「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!」
魔力の塊に斬撃が当たりゲートのようなものができる。
「俺はゲートを保つ!お前が行け!シン!」
「応!」
シンはゲートに入る。
(待ってろよ……!!)
─────────
その中は海底のような場所で不思議と息が出来た。そして目の前にはりおが一人座り込んでいた。
「りお……!」
「遅い!」
りおが気付くと、待ちわびたかのように怒る。
「さ、帰るぞ」
すると、そこに黒い影が現れる。
『駄目だ……行かせん……!!』
そこに合われたのはりおそっくりの影だった。そしてその正体はレヴィアタンだった。
「諦めろ…」
シンが手をかざす。
『愚かな……!学習能力が無いのか……!』
レヴィアタンも同じく手をかざす。
『破壊!』
禍々しい魔力をレヴィアタンが放つ。
「終焉ノ一撃」
シンが放った魔力はレヴィアタンのそれを遥かに超えていた。
『それは憤怒の……!?』
りおを閉じ込めていた魔力は弾け飛ぶ。シンとりおの周りにはスーツを着た男たちが囲んでいた。
「………」
りょうたは黙りながら手を上げる
「ん?どうしたりょうた」
するとりおは後ろから銃で撃たれる。それはスーツを着た男の一人だった、
「……!何やってんだお前!」
シンが殴り掛かろうとする。しかし、りおがその拳にそっと手を置く。
「……いいの…これで…政府からなんでしょ…?」
「………」
りょうたは思いっきり手を握りしめる
「元から……本部に任命された……のは、私を…管理下に置くため…いつかはこうなると思ってた…シンは他にもいっぱいの人を助けて…呪いなんかに負けないで…これが…私の願い…」
りおは途切れ途切れでシンに願いを込める
「辞めろよ…そんな…最後みたいなこと言うの…」
シンは声を震えさせながら言う
「最期に…一つだけ…りょうたを…恨まないで…そして、みんなにありがとうって」
「お、おい…なんだよ…最後って…!」
「……」
りおは拳から手を離す。
「おい!返事しろって!おい!……なぁりょうた…黙ってねぇでさ、これ…どうすればいいんだ?りおが冷てぇんだけど…」
「……8月…15…日…16時…5分…白谷…りお…し、死亡…か…か…確認…っ!」
そう言うとりょうたは涙する。
「………」
記録8月24日
スキルの暴走
被疑者:鱒渕シン
生存者:佐藤りょうた
死者:16名
その後、本部崩壊。
応援要請:秋元はるこ
「……シン」
崩壊させた本部を後にしようとするシンをりょうたが止める。奥には応援要請によって派遣されたはるこが倒れている。
「………」
シンは正気を失っていた。
「もう声も届かないか……」
りょうたが剣を構える。
(来る…!)
──ユニークスキル──
【創造】
(このスキルは……!)
無数の剣がりょうたに降り注ぐ。
「くっ!」
攻撃を咄嗟に防ぐ。
(このスキルは赤鴉の………)
「理性まで捨てたか!シン!」
りょうたは降り注ぐ攻撃を次々と避けシンに迫る。
─────奥義─────
【新時代】
りょうたの魔力は莫大に膨れ上がる。
──────────
りょうたがシンに時空の狭間で修行をしていた時のこと。
「これが︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎かまいたち”だ」
りょうたはシンにノーマルスキルを教えていた。すると、シンは見た瞬間真似して見せた。
「お前……もしかして天才かもな……」
──────────
「……やっぱりお前は天才だったな」
─────奥義─────
【新時代】
シンはりょうたと同じ奥義を成功させた。二人の剣が交わる。しかし、僅かにシンのパワーが上回っていた。りょうたが吹き飛ばされる。りょうたにとどめを刺そうとしたシンが直前で理性を取り戻す。
「………」
シンはりょうたから剣を離す。後ろに人影が起き上がる。
「リベンジ、いいかな」
はるこがシンの目の前に現れる。
「……いいぜ」
シンが剣を構える。
「嵐!」
はるこの両手から強い風が発生する。風はシンを、閉じ込めダメージを与えていく。シンは魔力で束縛を解く。シンの切り傷が埋まっていく。
(回復技……あの速さはユニークスキルか)
「召喚!入道雲!」
はるこはスキルによって雲の巨人のような精霊を召喚する。精霊は滝のような質量の水を発生させシンに向かって放つ。すると、水は一瞬にして凍る。
「……!?」
そこに現れたのはくるみだった。
「くるみ……」
くるみはりお同様七つの大罪所持者であり、りおの七つの大罪の暴走を理由にくるみにも処刑命令が出ていた。みさこも命令を受けていたがくるみを逃がし、責任を負うことになった。
「小山くるみだね?君にも処刑命令が出ていた筈なんだけど」
はるこがくるみに問いかける。
「逃がしてくれたの。みさこが」
「そうか……みさこが……」
シンがなんとも言えない表情になる。はるこの精霊がくるみに攻撃を仕掛ける。
「破壊!」
精霊は吹き飛ばされる。しかし、再び雲が集まると精霊は復活する。はるこが魔力を集中させ、シンへ次の攻撃に移ろうとした時くるみが鎖ではるこを拘束する。
(意識を集中し過ぎた……!)
拘束されたまま本部の瓦礫に吹き飛ばされた。
「ハハッ……敵わないや」
はるこはダメージで体が動かなくなり、その場で笑う。
「行こう、くるみ。変えるんだ……この腐った世界を」
「えぇ……」
そして2人は歩き出す。
───────半年後
「そういやお前はなんでこの世界を変えようとしたんだ?」
小島が純粋な問いをする。
「そうだな……誰かの代わりに苦しむ世界なんて変わるべきだろ」
「……確かにな。まぁ俺はお前について行くさ」
小島は何か思い出した表情をする。
「……そうか」
シンは少し照れくさそうに言う。




