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ある小さな物語  作者: どこぞのゴリラ
season2
14/23

season2 2話七つの大罪

「……生きてたんだな」

ひびきはくるみを睨みつける。

「えぇ……元気してた?」

くるみは怯むこと無く平然を装う。

「で、なんでか聞かせてもらおうか。お前はあの時確かに死んだ筈だ。」

ひびきが問い詰めると奥から足音がする

「お目覚めか」

聞き覚えのある声がそう言いながらひびきに向かって足を運ぶ。

「はぁ……お前もかよ……」

ひびきの目線の先にはシンがいた。

「お前はりょうたに殺られた筈だろ……」

ひびきは少し呆れたように言う

「あぁ…死んださ。確かにな。ディザスターの能力は知ってるな?」

「あぁ、殺した人間のユニークスキルを奪う……だっけか」

「そう……ユニークスキルは何処に刻まれると思う?」

シンとひびきの周りに氷による戦場が形成されていき2人は氷塊を挟んで歩き出しながら話す。

「現段階だと脳の右脳に刻まれるとされているが」

「が、実際は違う。刻まれるのは魂だ。脳に刻まれるのは他のスキル……俗に言う【ノーマルスキル】だ。ユニークスキルは特別、魂そのものに刻まれるんだ」

「魂……か。で?それがなんだってんだ」

「俺の【七つの大罪(ディザスター)】はユニークスキルを奪う……つまり、魂に干渉するスキルだ」

「なるほどな、行き場を失った魂の主導権を握れるって訳か」

ひびきは顎に手を当てる。

「そして、俺のスキルの真骨頂は奪ったスキル1つを代償に蘇ることが出来ることだ」

ひびきは驚愕する。

「蘇る……!?それは神の領域だろ……!」

ひびきは何故か納得してしまった。シンのスキルの異質さを十分理解しているからだ。

「変わったな……シン」

ひびきは学生時代の姿を思い出し今のシンと重ねる。

「で、くるみ…お前は俺が直接殺した筈だ。確かに手応えがあった。なのにどうして」

ひびきがくるみの方に目線を変え問いかける

「ひびきが教えてくれたんでしょ?」

くるみがニヤッとする

「……!まさか幻想ビジョンを!」

ひびきはハッとする

「えぇ、けど造形スキルの類は自分の分身を作ることはありえないものなの。けど死に際で掴んだ!私のディザスターだからこそできる技!『氷人形アイスクローン』!」

「………何故長い間身を隠した」

ひびきが冷静になって聞く

「準備だ……この世を変えるためのな」

シンがそう言い放つ

「準備……?」

「さて、話は終わりだ。始めようか」

シンが魔力を込める

「……換装:付与鉈エンチャントマチェット

ひびきも鉈を手に取る。

付与:雷迎(エンチャントサンダー)

ひびきが高速でシンに斬り掛かる。その跡には紫電が残る

「ユニークスキル……【風帝エアマスター】」

風の防壁がシンを囲む。

「……ちっ!風のスキルか……!」

ひびきは風に弾かれる。

「ユニークスキル……【ブロッカー】」

シンが更にもう一つユニークスキルを発動する。すると、足元に網状の線が浮き出る。地面はブロックの様に崩れる。

「足元が……!」

シンは膝でひびきを蹴り飛ばす。

「ゔっ……!」

ひびきは咄嗟に受身を取りすぐに立ち上がる。

「これでディザスターを発動してないのか……」

ひびきが汗を垂らす。

付与超覚醒エンチャントフルパワー!」

付与超覚醒エンチャントフルパワー、魔力を多く消費するため短期決戦を求められる。ひびきは賭けに出た。シンはひびきにものすごい速さで接近し攻撃を仕掛ける。しかし、ひびきはシンの攻撃を受け流す。

(……音速にも対応するか。)

付与魔力放出エンチャントビースト!」

ひびきから大量の魔力が溢れ出す。

(一時的な魔力増加か……)

「かまいたち!」

シンがひびきの放った辻斬りを剣で横から受け流す。続けてシンはひびきに次の攻撃に移る。

付与結界壁エンチャントシールド!」

ひびきに振るった剣は結界により弾かれる。

(厄介だな……なら質量で攻める……!)

破壊デリート!」

ひびきを囲っていた結界が割れ、衝撃でひびきは背中を打つ。

「くっ……!」

ひびきが怯み膝を着く。

「随分と俺は見誤っていたらしい。認めよう…お前は強い。こちらも本気で相手しよう……終焉之一撃ロスト!」

シンがひびきに向けて魔力を放つ

「………!?」

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