season【ZERO】3話選ばれし者
―――シンside―――
シンは昨日りょうと祭りに行き目にした光景はピンク色に染まり切った祭囃子だった。その光景を思い出しながら目的の場所へと足を運んでいた。
(はぁ……昨日のこうたと美月……ありゃ完全にデキてんな)
シンは足を止めると目の前にはあの廃墟があった。
(なんなんだありゃ…あの空間はなんだ?潜在能力?意味わかんねぇ。)
「おっ、来てくたんだね。」
廃墟の中からりょうたが顔を見せる。
「昨日のことについて詳しく教えてもらおうか。」
シンは睨み気味で言う
「まあまあ、落ち着いてくれ。説明するから。」
「………」
「まず、あそこは潜在能力を引き出すための場所だ。」
「その潜在能力ってなんの事だよ。それに俺にはそんな力なんて……」
「いや、ある。それは保証しよう。」
「意味わかんねーよ……」
「時期に分かるさ」
「…………で?俺は何をすればいい」
「君にはざっと二年間ここで鍛えてもらうことにする」
「そんな時間あるわけないだろ」
「いいからいいから~」
りょうたが笑顔でシンを廃墟の中に誘導する。
~4時間後~
「おい、そろそろ帰らせてくれ!外はもう真っ暗だろうよ」
「フフッ……そうだね帰っていいよ」
「あぁ、そうさせてもらうぜ」
外に出た瞬間シンは驚愕した。
「全然暗くねぇ……どうなってるんだ?時間は…!?」
シンが咄嗟に時計を見る。
「三時……時間が進んでねぇ……」
「僕らがいた空間は【時空の狭間】と言われていてね。時間が止まっているんだよ。」
「そんなことが現実にありえ………たな………」
シンは自身が体験していることが現実なことを再確認する。
「どうだい?君も強くなりたくないかい?」
「………」
シンは考え込む。そして何かを思い出すと
「俺は強くなりたい。もう何も失わないために」
「いいね。それが聞きたかった」
りょうたがニヤリとする。それからというもの、シンは住み込みで特訓を続けた。その内容は決して楽なものではなく過酷なものだった。そして、ついにその時が来た。
「……シンの身体能力は凄まじく成長した。半端な魔獣なら倒せるぐらいにはなったと思うよ」
りょうたとシンは二年間の年月で呼び捨てをする関係になっていた。
「そう…か……疲れたーー!!!」
「お疲れ。……シン」
「………?なんだ?」
「伝いたいことがあるんだ。明日の夕方4時にこの場所に来てくれ。それまでは絶対に来ないようにな。」
「わかった」
シンが外に出ると苦笑いをする。
「ハハッ………本当に時間が止まってんだな………」
―――翌日
シンは心配になりながらも言われた通りに待ち合わせ場所に向かう。
(着いたけど誰もいないな)
しばらく待っていると遠くから足音が聞こえる。
(なんだ?)
その音は徐々に近づいてくる。すると、何人かの中学生が現れる。
(こいつら……同級生の奴らだ。)
その中にはりょうがいた。
(あいつなんで……)
すると、りょうたが現れ口を開いた。
「やあ、みんな。よく来てくれたね。」
「おい、なんでお前らがここに」
りょうが口を開いた
「なんか伝えたいことがあるって―――」
内容はシンと同じ内容だった。
「お前らも……」
「話はここまでにして早速始めよう。準備は良いかい?」
「ああ、って何を?」
「【ユニークスキル】について話す時が来たんだ」
「ユニークスキル?」
いきなりの事でシンは意味がわからなかった。
「もしかして潜在能力とか言ってたヤツか?」
「この魔水晶を手をかざすと自分のユニークスキルが分かる。まぁ自分の能力がわかる感じと思ってくれればいいよ」
全員が手をそれぞれかざしていく。続いてシンも手をかざす
「頼む!強いやつであってくれ!!」
「シンの潜在能力はかなり高いよ。きっと強くなれると僕は思うよ」
「そうか!なら良かった」
シンは少し安心した。
「どれどれ……俺のユニークスキルは……」
シン
ユニークスキル:―――
「お?出てこないんだけど。おい、話が違ぇぞ」
「おかしいなぁ……そんなはずはないんだけどな」
もう一度試してみるがやはり何も起こらない。
「なんでだぁ……?」
それからしばらくして、
「今日はこれで終わりにしよう」
りょうたがそう言うとシンたちは廃墟を後にし家に帰った。次の日、学校に行くと教室はざわついていた。
「おい、聞いたかよ。また出たらしいぜ。」
「マジかよ!これで何人目だっけ?」
「確か5人だったと思うぜ」
「うわー!こえー!」
この前と同じ様な会話をしている。
―――たいぞうside―――
「おはよう」
「あっ!たいぞう!昨日はごめんね!急に居なくなっちゃって……」
「別に気にするなって!それより、昨日のニュース見たか?ほら、連続殺人犯の話だよ」
「うん!見たよ!たいぞうが無事でよかった」
「サンキュな」
たいぞうはこの時、嫌な予感がしていた。何故だかは分からない
――放課後――
「なあ、みさこ」
学校の放課後クラスメイトが続々と帰っている中たいことがみさこに話しかける。
「ん?どーしたの?」
「最近物騒だしさ、一緒に帰ろう」
「ほんと!?ありがとー!」
そして二人で歩いている途中のことだった。後ろから誰かが走ってくる音が聞こえた。振り返るとそこにいたのは……
「た、たいぞ……う……」
「りょう……!」
そこには血だらけのりょうがいた。
「おい!大丈夫かよ!!なんでそんな怪我を……」
「逃げろ……早く……」
「なんで……何があったんだよ……!」
「いいから……頼む……」
「でも……」
「いいから行けっ!!!」
りょうの声が響いた。
「わかった……すぐに助けを呼んでくるから!」
たいぞう達はその場を離れた。
(くそっ……なんなんだよ……どうしてこうなるんだ……俺はただ……平和な日常を過ごしていきたかっただけなのに……ちくしょう……神様なんて大嫌いだ……)
たいぞうが走りながら怒りを通り越して情けなく思う。
「やっぱり俺……戻る!」
たいぞうが足を止め、りょうの下に戻ろうとした時だった。
「たいぞう!誰か来る!」
たいぞう達の目の前にいくらか持て余し気味の堂々とした体格をした男が現れる。
「女もいるのか」
「だ、誰だ!」
たいぞうがおびえながらも声を振り絞る。
「えーっと、俺の通り名は赤鴉だ。」
(赤鴉って………確か佐藤りょうたが言ってた……)
「な、何が目的?」
みさこが赤鴉に問う。
「そうだなぁ……簡潔に言うと、お前らを殺す」
「たいぞう!」
みさこが呼び、たいぞうの手を掴み逃げようとする。
「逃がすかよ」
すると、巨大な壁がみさこ達の逃げ道を塞ぐ。
「なんだこれ!?鉄!?」
たいぞうが壁を叩き壁の強度に驚愕する。
「さてと、仕事を始めるとするか。」
赤鴉はどこからか長い刃物を手にする。
(今どっから……?それより……どうする……!?)
たいぞうが決断した行動は…
「みさこはやらせない……!!!」
「たいぞう……!?」
たいぞうがみさこの前に立つ。
「いいねぇ……男前だな………が、悪いが茶番に付き合うつもりはねぇよ」
すると、赤鴉の周りに剣が現れる。
「創造:剣」
(なんだ……?あれ……夢でも見ているのか?)
たいぞうが目の前の光景に驚いて目を黒白させる。
「剣の舞」
赤鴉そう唱えると剣がたいぞうの体に次々と突き刺さっていく。
「………っ!?」
たいぞうが腹部から背中に熱い塊が突き抜けた様な痛みに襲われ、口の中に酸っぱいものが込み上げる。
「たいぞう………!!!!!」
みさこが咄嗟に叫び、たいぞうを支える。
「み……さこ……俺………の事を……好きでいてくれて……ありがとう」
たいぞうが途切れ途切れに気持ちを伝える。
「だ……から……みさこは……生きてくれ………」
好きだよ
たいぞうが最後にそう言うと息を引き取る。
「たいぞう………?」
たいぞうの顔には涙が零れる。
「健気だねぇ……だが、これが現実だ」
赤鴉が愉快な顔で言う。
「………よくも……」
みさこが立ち上がる。
「よくも……たいぞうを………!!!」
みさこから大きな力が溢れ出す。
「………!覚醒したか………!」
みさこが赤鴉に殴りかかる。
「……っ!!」
(重い……!そして速い……身体能力を上げるスキルか………)
再びみさこが殴りかかると赤鴉が受け身の姿勢になる。赤鴉の腕には鉄の装甲があった。
「羅先………!!!」
みさこが纏う魔力が紅く輝く
「………ぐっ!」
鉄の装甲は完全に割れ赤鴉が吹っ飛ぶ。
「……はっ!死に体がぁ!!相手してやるよぉ!」
―――シンside―――
シン達は秘密裏に連続殺人犯の後を追っていた。だが、簡単には足をつかめない。そんな日々が続いていた時だった。塾から帰っている途中シンのスマホが鳴った。りょうたからだった。
「今、りょうが連続殺人犯と遭遇した!奴はスキル持ちだ!最寄りのお前が応援を頼む!」
「……!わかった!」
シンは急いで向かった。りょうのところに確実に近づいてる時だった。魔力を感じ取るも一つの魔力しかないことに嫌な予感がした。
「おっ、来たか」
「……っ!?」
(こいつが赤鴉……なんちゅー魔力量だ……)
「換装:紅蓮の剣」
シンが剣を持つとすぐさまに赤鴉に切りかかる。赤鴉もすぐに剣を生成して攻撃を防ぐ。シンが自身の剣に魔力をのせる。
(魔力強化………!しかも、武器に……!魔力武装だ……こいつ……やり手だな……)
赤鴉が警戒する。
「神速……!」
赤鴉が勢い良くシンに切りかかる。シンは体制を崩す。
「鉄の監獄!」
シンが拘束される。
「鉄塊!!!」
鉄の塊がシンに衝突する。
「………ぐっ!!」
衝撃でシンが吹っ飛ぶ。
「強ぇ……ん?」
シンが自分の手に血が付いていることに気付く。シンの隣にはたいぞうとみさこが倒れていた。
「たいぞう……?みさこ………?」
シンは声が震える。すると、赤鴉が歩いて近づく。
「おい……りょうは…佐藤りょうはどうした!」
その声は辺りに響き、とても威圧があった。
「佐藤りょう………?あー…フッ!」
赤鴉は笑みを浮かべこう答える
「佐藤りょうは俺が殺した!」
「そうか…………ぶっ殺す」
2024年8月8日日本時間17時36分
シンのユニークスキルの覚醒
―――ユニークスキル―――
【七つの大罪】
大罪人が持つとされる古代のスキル。その種類は七つの大罪に分けられておりシンのスキルは憤怒だ。
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