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Age Bank~ご利用は計画的に

作者: satomi

ひさしぶりの投稿です。

よろしくお願いします!

私はハナ=マーカス。一応貴族令嬢です。

そんなんで、学院を卒業後奇跡的に……本当に奇跡的に……このAge Bank に就職できました☆


上司の課長、ザシ=ナノム氏曰く、「何となく、向いてるっぽかった」が採用理由です。

一応公務員☆

もう一度言います。公・務・員!なんて安定した職業でしょう!


それにしても不思議なのが…唯一無二の銀行のはずなのに今のところ、職員が私とザシ課長だけなんですけど?!

この王国でも一つしかない、世界でも多分ひとつじゃないかなぁ?って銀行なのに、職員が二人ってどういうことでしょう?


それも、私が採用される前までは課長が一人で銀行を切り盛りしていたということでしょうか?

嗚呼、恐ろしや……。

課長は確かに優秀だけど。

しかも、眉目秀麗と来たもんだ。就職したいと思う令嬢が多かったでしょうに。何故私なんでしょうか?

毎日眼福なんですけどね。


……ただ不思議なのが、確かこの銀行って私が小さい頃から存在してたはずだけど、課長は何才なんだろう?見た目は仕事人間一直線の20代後半って感じだけど実際は?


というのも、この銀行はかなり特殊で‘年齢’を預けることが出来るんです。

だから、課長も年齢預けちゃったり……なんて思ってます。


おっと、私にとって最初のお客様(?)だ。


~Case1 若返りたい!


「今日はどのようなご用件で?」


接客はマニュアル通りです。


「若返りたいのよ。そうねぇ、20代くらいに」


「失礼ですが、お客様は現在89才でいらっしゃいますね?」


「そうだけど?なにか問題でも?年齢を預けることが出来るんでしょ?この銀行」


「そうですが…。5才につき実年齢で1才年を取るんですよ」


「聞いてないわ!でも、まぁいいわ。それがどうかしたの?」


「実年齢で100才が当行でのギリギリになるんです。89才ですから11才年を取ることを考慮しますと、55才若返る事が限界ですね。あ、課長!」


「失礼しました。なにぶんまだ新人でして数字で考えるようですね。貴女は89才と9か月のようですから、59才近く若返ることが出来ます。如何なさいますか?」


「あら、イケメンね。仕事もできるようだし。見所があるわ!」


「恐れ入ります」


課長恐るべし。マダムキラーだったのか……。仕事ができるのは見習わなきゃなぁ。

そおかぁ、何か月まで見るのか……私がアバウト過ぎたんだ。……反省。


「では、‘59才若返る’で構いませんか?」


「えーと、89-59だから、30才かぁ。……アラサー。まずまずね。まぁ仕方ない」


「当行ではアフターサービスとして、貴女のこれからの生活についてもサポート致します」


「まぁ!至れり尽くせりなのね!」


「マダムにはまずギルドでハウスキーパーの登録をしていただきます」


「ちょっと面倒ね」


「まあ、聞いてください。すると、男爵家からお声がかかります。あとは、仕事をするなり、男爵様の妾様になるなり貴女の人生です。お好きなようにお過ごしください」


「男爵様からお声がかかるのは確実なのね!私はすぐにギルドでハウスキーパーの登録をするわ」


「とにかく、どうぞ若返ってください」


当行の奥の間にある特殊な魔法陣の上にマダムは立たされた。


課長が機械を側でいじっている。それだけだ。


ちょっと眩しいっと目をつぶってしまい、目を開けるとそこには30代の女性がいた!


「さぁ、マダム。新しい人生を楽しんでください」


「ありがとう!そうするわ!」


そう言って、マダムは去っていった……。



「課長―。いいんですか?彼女はあと一年で天寿を全うするじゃないですか?」


コレはこの銀行に就職してから身についた特殊能力。


‘対面した人の寿命がわかる’能力


ちょっと邪魔な時もある。


例えば、ただ買い物をした時に大将の寿命がわかる。すると、その店の跡継ぎについて考えてしまう。



「俺たちはただ本人の希望に沿えばいいんだよ。まぁお前を採用した理由はそういう所なんだけどな」


どういう所だろ?


「おぉ、今日は客が多いな」



~Case2 大人になりたい!

世の中には、いろんなニーズが存在するもんだ。さっきは若返りたいって老婆だったのに、今度は大人になりたいという少年!

 

でもまぁ、未成年は保護者の同意が必要なのが世の常。


「俺は早く大人になりたい!今15才だから、5才年を取れば20才だろ?この銀行の利子の事も知ってる。実年齢で1才年取るんだよな?」


おおう、情報化社会。若者は知ってるのね。


「貴方はまだ未成年ですから保護者の同意が必要になります」


「それも調べてある。俺に保護者はいないんだけど?どうすればいい?」


課長ヘルプです。


「‘保護者はいない’と君は主張するが、君の両親はご確認済だ」


「……っ…。俺はその両親から自立するために年を取りたいんだよ」


「君の両親についてだが……酒浸りで碌に働かないようだな」


「あぁ、それは親父の方だな。おふくろの方は不特定多数の男の所に入り浸ってる」


「そんなに年取りたいのか?労働はきついぞ?」


「今だって俺が働いてる」


「ま、そうだよな。君の保護者について、勝手に変える方法があるんだが……」


「マジか?それで頼む!」


全力だなぁ。机を乗り出さん勢いだよ。課長がのけぞってる…。


「俺個人として動くことになる。当行には無関係だ。まず、君は違う家の養子に入ってもらう。その後に年をとることになるんだが……」


「養子だろうと、ドーンとこいだ!」


「養子に行くのは貴族の家だ。年を取ることを反対するやもしれない。いい暮らしは保証されるが…」


「俺の目的は今の両親と縁を切ることだ。今のところはそれでいい」


「貴族の家なぁ。場所によってはマナー教育とかそういうのが待ってる。それでもいいか?」


「縁を切るためなら。後の事は後で考える。年を取って自立したいって事も話す。それが通るも通らないも後で考える」


「よし、わかった。また3日後にここに来るように!」


「了解!」



「課長ー。いいんですか?そんな個人的な約束をして?」


「あぁ、跡継ぎに困っている貴族の知り合いを知ってるからな」


「跡継ぎ不足で困ってるなら、彼に自立の道はないじゃないですか!」


「社会の厳しさだ。それに、彼は今まで十二分に働いている。楽をしてもいいんじゃないか?」


マナー教育とかは楽じゃないと思う……。跡継ぎなら領地教育もしなきゃならないし。彼は生まれた星回りが悪いんだろうか?



そして、3日後。

「課長、約束通り来たぜ?」


「そうだな。約束通りだ。それでだなぁ……」


「はぁ?まさかここにきて養子縁組先がないとか言わないよな?」


「その逆だ。王家~男爵家まである。どこがいい?俺のオススメは王家だな。マナー教育とかは面倒くさいけど、既に皇太子が決定している。そのうえ次男もいる。ここに養子縁組すると、マナー教育とかは面倒だが、領地教育はそれほどしなくてもよい。騎士団に興味があるなら剣術を学べばいい。無料だ。税金だけど。

他の貴族の所は確実にマナー教育と領地経営の勉強がついて回る、おそらく自立は無理だろう。王家も無理だろうけど。王家はいけるかな?年を取ることは無理でも、ある程度の年齢になったら遠方の辺境伯とかになるかもなぁ……」


「マジかよ……。俺が王子?王家ってそんなにアバウトなのか?」


「はははっ、そこは俺の人脈というやつだな」


課長の人脈怖いです……。笑えないです……。


「とりあえず、課長のオススメってことで王家との養子縁組をお願いします」


「おぉ、敬語も使えるのか!?」


「馬鹿にすんなよ!」


そりゃそうだ。……あっさり王家と養子縁組しちゃえるのか。やっぱり課長の人脈怖いです。



数日後

王家に第三王子が誕生した。と言っても15才だけど。どうやら剣術に興味があるようで将来は騎士団を目指すようです。



~Case3 やっぱり年の差が気になる……

最近増えてる年の差カップル。……カップル…私には縁がないんだろうね、うん。

そんなカップルの彼の方が相談に来ました。

当行は相談も受け付けております。


「俺と彼女の年の差が15ある。下手すれば犯罪。親子だぜ?だから、俺は彼女の年齢に見合うような年齢になろうと思う!」


「うーん失礼ですが、彼女は貴方のどこに惹かれたのでしょうか?貴方が貴方だから惹かれたのではないでしょうか?年齢を近くすることに意味はあるのでしょうか?」


「ぐっ…。年齢が近いほうが、ほら、世間の目とか?」


「それなら最初から貴方を選ばないでしょう?他には?」


「俺の保険金が早くおりる」


「それなら、もっと年配の方を選ぶべきでしょう?」


「あー!!やっぱりここにいた。コーくんは年齢を気にしすぎなんだよ」


「失礼ですが、どちら様ですか?」


「コーくんの彼女です。もうっコーくんはいっつも自分の年齢気にして!コーくんは童顔なんだから大丈夫だよ!そ・れ・に今はイケオジという言葉があるんだよ!気にしないでよ!」


……課長か…彼女を連れてきたのは。

ここは銀行のわりに目立たないから…。



そう言って彼女は嵐のように彼を連れて去ってしまった……。


「課長ですね?彼女を連れてきたのは」


「そうだが、何か問題があったか?」


「いえ、助かりました。丁度彼女の意見も聞きたいと思っていたので」


「それでどうだった?」


「いえ、思った以上の収穫でした。ところで、ここの奥の間にある魔法陣のようなのは何ですか?」


「あぁ、年齢を操作するシステムだ。使い方は今のところ俺しか知らない」


うーん色々聞きたいけど、知らない方が幸せな事も多いからなぁ。


「このナユル王国の国王陛下の年齢も操作している」


マジかよ―――――!!!


知らない方が幸せに暮らせた。嗚呼、さようなら幸せな日々よ。

そりゃあ、皇太子殿下と並んだ時に「若いなぁ」とは思ったけどさ。その時は「きっと仕事に勤しんでるから年齢を重ねないんだろう」とか思ってた。

それで王家とのコネクション……。


「ついでに……」


ギャーーーー!!


私は心の中で叫んだ。


「皇太子殿下は学園での同級生だ。首位争いをした仲だ」


‘ついで’が小さくて良かった。


「俺は年齢不詳ってことで。ほれ、寿命がわからんだろう?」


確かに課長の寿命はわからない。ナゾ人間だ。……眼福。


「私はピチピチ(?)22才ですよ?」


「そうだな。期待してるぞ新人!」


課長に言われると頑張ろうと思ってしまう。

そうです。私は単純なんです。でも頑張ろー!!


「「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」」








読了ありがとうございます‼

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