夜を駆ける ~feat.〇〇~
「がーはっはっは。今日は俺様のおごりだあぁぁ。」
豪華な内装のキャバクラに俺とレオ、何故かヴァルゴの3人は来ていた。
俺とヴァルゴはフカフカのソファーに座っているが、レオだけは立ち歩き色々な嬢に話しかけている。
酔っ払い気が大きくなったレオは気が大きくなっているのが分かる。
-アイツいつもあんな感じなのか?ていうか、あんな飲み方でよく金が無くならないな…
この時俺は知らなかった…レオには大量の借金があり、それを平気で踏み倒している事に…
「ねぇぇ。本当にあなたが魔王スペルビアを倒した勇者様なのぉぉ?」
3人程の綺麗な女性たちが上目遣いの甘ったるい口調で、カクテルを飲む俺に話かけて来る。
ヴァルゴには興味ない様な素振りが丸分かりだった。
3人とも綺麗なドレスを着ているが、肌が出ており、胸元はしっかりと強調されている。
ヴァルゴはキッと3人の綺麗な女性を睨みつけ、女性が俺に近付かないようにしていた。
ここまで20人程俺のテーブルに綺麗な女性が来た。だがヴァルゴが蛇のように人睨みして全てを遠ざけていた。
-つまりヴァルゴがいるせいで俺はただ高い酒を出す、普通の店に来てるだけだな…
勿論レオだけは嬢による接待を受けていた。きっと太客になると判断されたからだろう。
-羽振りが良いなレオは…
レオが色々と歩きまわるせいで、俺もあいつを見失わない様に辺りを見渡しながら飲んでいる。
もし途中で消えたら払えるか分からないし…
-凄い綺麗だな…というか、皆俺のタイプの女性だ…
このキャバクラは本当にセクシーな美女が多くいた。
-全員の女性が俺のタイプだな。
俺のタイプはサラサラの長い髪
大きな瞳でスレンダー
胸は有ればなおよし
-つまりベガが大好きだ…もし彼女がいなければここに毎日来たかもしれない…
嬢だけではない。内装、グラスすべてが俺に合わせて作られたのではないかと思えるくらいの素晴らしいお店だ。
自分がキャバクラを建てたらきっとこんな店になりそうだと思うくらいだ。
20分程キャバクラで飲んでいた時だった。
「あら……わた……ねむたく……」
お酒を飲み過ぎたのか、ヴァルゴはウトウトと眠りに就いてしまった。
嬢はチャンス到来かの如く、5人程一気に来て俺の手を取る。まるで最初から分かっていたかの様に…
「勇者様ぁ、あっちのVIP席で飲みましょうよぉ!!」
俺の手を取り、女性たちは腕に抱きつく。胸も当たるほど密着しており、皆離れそうにない。
女性に引っ張られるまま、俺はVIP席に連れられようとしていた。
俺は初めての体験に戸惑いつつ、レオに目配せする。
「がっはっはっは。俺はアイツの相棒だからなぁ!!この国で2番目に強い漢だぜ!!」
レオは気付いていない。
-どうしよう…俺、聖剣を治す為にここに来たのに…
俺の聖剣はまだ折れたままだった…タイプの女性の胸が当てられていても反応がない。
-VIP席って、料金は大丈夫なんだよな?レオのおごりって言ってたけど…
扉で隔てられたVIPルームに案内される。そこは普通の空間より更に豪華な個室になっていた。
暗めだが高級なシャンデリアに照らされた部屋
-何かが起きても見えない暗さだ…
先程よりも更に高級感溢れるフカフカのソファに嬢に座らせられた。
凄いフカフカの椅子で俺は深く座り込んだ。
-フカフカ過ぎて、人をダメにするソファだ…
思った以上にリラックスできてしまう。
「勇者様…私達を勇者様の愛人にしてくださいな。ふふふふ」
女性たちはドレスを脱ぎ、下着姿になる。その姿のまま、ソファーに座る俺の隣に来る。
-完全に逃げ場を失った…
完全に両側を塞がれてハーレム状態だった。百花繚乱で俺の好みの美女しかいない。
-これが桃源郷って奴か…
だがまだ勃たない…どうしてしまったんだ?俺のち〇ち〇は…
俺はそのせいで少し曇った顔をしてしまった。
そんな俺を見た嬢たちは不服なようだ…
「ねぇ、私達ってそんなに魅力ない?」
嬢が涙目をしながら上目遣いで言う。これは演技だと分かっていても、どうしてもグッと来てしまう。
「いや、俺に婚約者がいなければ恋人にしたいくらい魅力的だよ。」
「恋人にしなくて良いから、私を抱…」
嬢は上目づかいで俺を誘おうとしていた時だった…
その瞬間VIPルームの扉が勢いよく開く。
「王様だーーーれだ?はい、ワシでーーーーす!!」
-プロキオン王?え、何故ここに?
俺は予期せぬ来訪に動揺する。
-と言うか、ガチの王様キター…
王様ゲーム必要ないレベルで好き勝手出来る人間が来た。
VIPルームに勝手に入って来た。王様らしく…
プロキオン王も酔っぱらっているようだった。
俺は王と目が合ってしまった…
下着姿の美女たちに囲まれ、どっしりとソファに座った俺…
セバスチャン(男)が後ろに立ってはいるが、普段よりもテンションが高いプロキオン王…
そんな王は俺を見ると急に黙り込んだ…
-あ、やべぇこの状況
と俺と王様の両方が思ったように気まず過ぎる沈黙の時間が流れる。
「今日はサービス良いのね…皆…」
プロキオン王は俺の隣に座る女性が下着姿なのを見て少し寂しそうな表情をした。
「あ、えっと、いえ、王様は既に妻帯者ですので…こんなサービス出来ません…」
嬢の1人が気まずそうに言う。
再び気まずい空気になる。
「プロキオン王…とりあえずソファに座ってはいかがでしょうか?」
俺はとりあえず王様に提案した。
「はい……あ、そこ良いですか?」
プロキオン王は俺の向かい側のソファにちょこんと座った。
帰りたい…だが両隣の女性は俺の両腕に抱き着いたまま固まっており、離れてくれそうになかった。
まるでこのVIP席では俺が王様でプロキオン王が一般人のような待遇だった…
-普段と逆みたいな状態だな…
抱き着いていない女性が王様の席の両隣に行く。
こうしてソファに深く座って両隣に綺麗な嬢を抱きつかせる俺と、ソファにちょこんと座る気まずそうな王とで地獄が出来上がった。
「え、あー…とりあえずドンペリのボトル二つ。」
気まずそうにしながら王様はドリンクを注文する。
『明けない夜は無い…』
俺はそう王に教わった。
すぐさまドンペリが届き、栓が開けられる。
俺にとっては早く明けて欲しい夜が始まった。
今夜は記憶から欠けて欲しい一日になりそうだ…
こうして俺達はもう戻らない夜を駆ける
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