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おお勇者よ、死にかけてしまうとは情けない

 俺はシリウス王国のプロキオン王の元に、報告に来ていた。


 王は顎に立派な髭を生やし、いつも睨みつけるように鋭い目付きだ。王冠を被っていなければ、ヤクザやゴロツキの様に恐い顔立ちだ…

 

 豪華絢爛な椅子にどっしりと座り毎度ながら大変威厳がある。


-ずっと何かに似てると思ってたけど、スーツ着てたらマフィアのボスだわ。ボスと言うより若頭か…


髪型はオールバックで見た目は30後半から40代前半に見えるし…


「おお勇者アルタイルよ、死にかけてしまうとは情けない…」

 こちらを睨みつけ、会って早々厳しかった。


-それもそうだな…娘の危機だったんだから…


 王の椅子の隣には、白い短髪でこちらも厳格そうな顔の執事・セバスチャンがついている。


彼は王の側近だけあって、なんでもこなせる。


王の世話や国の壊滅、スパイとして潜入など…

俺達の旅の際はセバスチャンに何回も旅支度や宿の手配などで助けられた。


本当に1人で仕事をこなしてると思えない程有能で、どこにでも現れる神出鬼没な執事だ。



 1週間が経ち怪我が治った今、国王の元にベガがインキュバスに襲われた事について報告に来ていた。


「プロキオン王よ…全くその通りでございます。」


 神妙な面持ちで俺は言う。本当に俺は無力だ…


 俺の態度が固かったのか、王の態度は急に柔らかいものになった。


「アルぅぅ…固い固いよ。パパって呼んでくれて構わんよ!!むしろ早くじいじって呼ばれたいなぁ!!」


 明るく軽いノリで王は俺の緊張を解いてくれようとする。


 顔は怖いがフレンドリーで国民からの信頼は厚い。かといって国政もしっかりとこなす、凄い王様だと感心し尊敬している。


「ふふふ。」


 しばらく考え詰めてた俺に少し心の余裕が出来る。ふと笑みがこぼれた。


「そう…君は英雄として、辛くても常に笑顔でなければならん。結婚し国王になるならば尚更だ!!」


「プロキオン王よ。ありがとうございます。」


 この王様に一瞬で元気づけられる。俺はまだまだ王に敵わないなと思ってしまう。


「パパと呼びなさい。」


 王の隣にいるセバスチャンがコホンと咳をする。王も、王らしくない動作に少し反省したようだった。

 

「では本題だ。報告は聞いているが、今回は何が足りなかった?」


 先程まで笑顔だった王は急に真剣な表情になる。


「心の弱さかと…魔王を倒して(おご)りがございました。」


 相手がインキュバスだとして、どこか油断していたのかもしれない…


 最初に全力でとどめを刺していればこんなことにはならなかった…


「うむ。では二度と今回みたいにならぬよう反省し精進せよ!!」


 プロキオン王は下あごの髭を整えながら、もう一言言った。


「これは父としての命令だが、ベガを何があっても守れ!!以上。」



 思った以上に王への報告が速く終わった。


 謁見の間を出ると、外でベガが待っていた。謁見の間の扉が閉まった瞬間、ベガは俺に抱きついた。


 謁見の間は城の最上階の為、人目に映ってしまうのだが…


 だが俺も久しぶりにベガに会えてうれしかった。ベガを強く抱き返す。


「アル…怪我も大丈夫そうで良かったですわ。貴方にずっと会いたかったの。」


 ベガは俺が完治するまでこの城で過ごしていた。警戒の為その間、外出は完全に禁止されていたようだ…


-怪我か…あいつと同じ場所に傷が残ってしまったな…

 インキュバスの胸の同じ部分におなじような傷が残ってしまった。


「やっぱり実家と言えど、あまり居心地は良くないわね…早く私達の家に帰りたいわ…」


 ベガはすることが無くてただただ暇だったという。



「俺がお前を守るから…」


 俺はベガから少し離れ、彼女の両肩に手を置く。


「お前の為に、俺は今以上に強くなる。」


 ベガと自分に対して誓いを立てる。


 ベガは首をかしげてニッコリと微笑んでくれた。


「必ず守って下さいね。私の王子様!」


 そう言って、ベガは背伸びして俺に口付けをする。


 俺はもっと強くなる。平和な世界を守る為…


 いや、ベガを守る為に!!


----------------------------------------------------------

「で、本当は浮気相手はインキュバスだったの…」

 ヴァルゴは一人でバーに来ていた。マスターに事の顛末を話していた。


「イケメンだったら寝取ろうかと思ったんだけどね…ふふふ。」


 グラスに入った赤色のワインを傾けながら、少しずつ味わう。


「でも良かったですねぇ。インキュバスで…」


「インキュバスでもアルが重傷を負うくらい強かったのよぉ。私アルが死んじゃわないか、不安で不安で…」


 ヴァルゴは酔いも回ってか、泣き上戸となっていた。


「マスター、そこの女性に回復薬(エーテル)を。」


 右腕が無い隻腕の男がバーに入って来てマスターに声を掛ける。


「あらぁごめんなさいねぇ。私イケメンじゃないと………あなたは…」


 ヴァルゴはその男性の姿を見ると少し驚いたようだった。


「隣良いかな?」


「あなたなら、喜んで。」


 隻腕の男はヴァルゴに話しかける。


「今日は大事な話があって来たんだ…」

これでプロローグ終わりです。


ここまで読んで頂きありがとうございます。


次回から本番です。


もし少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、


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― 新着の感想 ―
[一言] >スーツ着てたらマフィアのボスだわ。ボスと言うより若頭か… この世界若頭いるんすね… ベガが仲間たちがいうようなワガママなところがみえず、普通に愛し合ってそうですな
[一言] 結果ベガはインキュバスと浮気してたことになるのだけど、主人公君みたいに精神的ダメージを受けていないのは何故だろう?
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