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何を言っているか分からないと思うが『俺の婚約者』が『俺』に寝取られた  作者: 社畜マー
『俺の婚約者』が『俺』に寝取られた。
40/40

何を言っているか分からないと思うが

最終話です。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

後書きは活動報告に書いてあります。

 プロポーズから1年が経った。


 今日、シリウス王国の立派な教会で俺とベガは結婚式をあげようとしていた。


 純白のドレスに包まれた花嫁となったベガはそれは美しかった。


「ベガぁ…幸せになってくれよぉ…。アルタイルゥゥゥゥ、ベガを泣かせたらテメェを湾岸に沈めてやっからなぁ…」

 プロキオン王は朝からずっと泣き続けている。それはもう娘の旅立ちが辛いのだ。


「あなた…いつまでも泣かないの…王様でしょう?」

 ベガの母親が結婚式という事ではせ参じていた。その姿はベガに似て、綺麗な黒髪のとても気品のある淑女と言った感じだった。

 というか、俺が魔王を倒す旅をしている間もベガの母親の姿は見た事が無かった。


 彼女はベガの呪いを解くために、世界中を旅して俺達のサポートも実はしてくれていたそうだ。


「でも…でもぉ…」

 プロキオン王はそれはもう迫力がある泣き方だった。外見が怖いのに大きな声で泣くものだから、正直俺は何故か物凄くヤバい事をしたのではないかという罪悪感に駆られてしまう。


「で、式後だけれどプロキ、国はベガとアルタイル君に任せて私達は旅立つわよ!!」


「え?」

 俺はビックリした。それって国の内政を俺達に任せるって事?いきなりの急展開に俺はプロキオン王の方を見た。


 プロキオン王も「え?初めて聞くけど?」って顔をして驚いていた。


 いや…あんたら家族はどこまで破天荒なんだ…



 そうして式準備だったり化粧をしたりであっと言う間に式の時間になった。



 教会の祭壇へ続く真っすぐな道

 それはまるで短い人生を太く歩めという意味を持つかの様に、俺にとっては短くも長い道だった。


 その先にガン泣きしているプロキオン王の手を握るベガの姿があった。

 純白のベールに包まれて顔は見えなくなっている。


 そのベガに向かって俺は一歩一歩進んでいく。



 協会の椅子にはヴァルゴ、レオ、キュアリスなどを始めこれまで旅を支えてくれた仲間たちが俺達を祝福していた。


キュアリスはあの後プロキオン王にスカウトされ国の中枢に居座って仕事をしている。


レオはカノープス王国が気に入ったらしく、飲み歩いているらしい。

後に借金を重ね過ぎて世界中で指名手配される事になる。


ヴァルゴは世界を旅しているそうだ。奴隷や虐げられている人、戦争で家族を失った人をシリウスまで護衛し送り届けてくれている。


トーラスは仲が悪かったが、国の発展の為今では仲良くしている。ベガの前だけだけれど…


分かり合うことはないけれど、別々の道を歩む者として敬意を示しながらこれから未来を作っていくつもりだ。



それぞれが身分や立場に関係なく個性を生かし未来を作っていく。

これからもこの国は発展していくだろう。


 協会の外にはシリウス王国の人々、カノープス帝国の兵士、妖精の国の妖精たち、魔物の国の魔物達が俺達を祝福してくれている。


 だがアルドラ…せめて協会の窓の隙間からこちらを必死に覗こうとするのは止めてくれ…

 すっごく怖い。


「おめでとうアルタイル、ベガ」


 彼らたちの笑顔を見ると俺はこれまで戦ってきて良かったと思う。


 これからも人々の笑顔を守るために俺は戦い続ける。



 祭壇の前で神父のスカルが俺達に祝福の言葉を捧げる。

彼はフードを被るのを止めた。

キュアリスがフードを被っていると、めっちゃ怖いから止めろと国令でスカルに命じた。


彼は今まで命を奪った者への贖罪に、協会を建て孤児の世話もしている。


「病める時も、健やかなる時もお互いに支え合い、生涯を共にすることを誓いますか?」


「誓います。」

 ベガは微笑みながら言う。


「誓います。」

 俺もベガに微笑み返して言う。


「誓うぅぅぅ…ワシも誓うぅぅぅぅ」

 プロキオン王も俺達の間に入って来た。どこまで娘離れ出来ないんだ。


「貴方…みっともないでしょ。こんな素晴らしい日に…」

 プロキオン王の奥さんは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてプロキオン王の耳をひっぱり娘から話した。



「ゴホン」

 スカルは空気を一旦仕切り直すかの様に咳ばらいをした。


「では新郎アルタイル、神父ベガ。生涯を共にする誓いのキスを」


 俺はベガの顔にかかった純白のベールを上げる。


 そして誓いのキスをしようとする。




「その結婚待ったぁ!!」


 協会の入り口に一人立つ男の姿があった。


「は?え?何が…」

 俺を含めて式場にいる人間全てが驚いていた。


「その結婚を考えなおせ、ベガ。お前を幸せに出来るのは俺しかいない!!」


 入口に立つ人間…それは俺、勇者アルタイルと同じ姿をした人間。


「そうこの勇者アルタイルしか、ベガお前を幸せに出来ない!!」


 ベガは目の前の俺と、入り口に立つ俺の偽物を見てどちらが本物なのか不思議そうな顔をしていた。



 いやいやいや…


 せっかくハッピーエンドで終わるところだったでしょう?

 何を最後の最後に邪魔してくれているのかなぁ?


 しかもそれを勇者がやるってどうよ?

 マジで人の心とかないんか?


また来たかって感じだった。

 俺は大きな溜息が出そうになる。



 本当に何を言っているのか分からないと思うけれど、『俺の妻』が『俺』に寝取られようとしてる。


 次は悲劇ではなく、みんなが笑える喜劇が待っていますように…

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