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何を言っているか分からないと思うが『俺の婚約者』が『俺』に寝取られた  作者: 社畜マー
『俺の婚約者』が『俺』に寝取られた。
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魔王スペルビア

「おぉ…アル言われた通りにベガの偽物を隔離したが大変な事が起きておる。」

 キュアリスはシリウス王国に着いた俺を見るなり、慌てた様子で俺に言う。


「どうした?」


 サキュバスクイーンはキュアリスに空間を何十に作り疑似的な封印をした。

 あとは俺がキュアリスの作った空間を壊して全てを壊せば万事解決するはずだった。


「それが空間を隔離した後、サキュバス自身が増殖しておるのじゃ…空間を壊そうとしている。」


-多分俺から奪っていた力でシエントバレットに近い力を使ったのか?


 やっぱりここまで苦戦した相手だから、一筋縄でいくとは思っていなかった。


「じゃあ俺が奴を倒してくる。」


 いよいよ俺を苦しめた存在との最終決戦だ。


「空間を裂け。アマテラス。」


 空間を開いて俺は何百にも増殖したクイーンがいる空間にたどり着く。そこには無数のサキュバスクイーンの姿があった…


-うわ…引くわ…

 あまりの数の多さに若干引いた…

 むしろそこまで増殖できるなら、最初からそうすれば簡単に国を滅ぼせていたのでは?と良からぬ事を思ってしまった。


「シエントバレット…クソ、とっとと出て奴らをぶっ殺してやる。」


 クイーンはそりゃあもう怒っていた。正直こんなブチ切れた相手とは戦いたくはなかった…


「あぁ、勇者アルタイルか…」

「チッ…やっぱり私がインキュバスにした奴は偽物か…」


 ハァとクイーンは溜息を吐いた。


「あいつめ…インキュバスになってからすぐに私の呪縛から逃れやがって…」


-多分あいつは自信を呪った事でサキュバスになる世界のルールには従うものの、そのサキュバスに従わなければならない個人のルールを破る事が出来たのだろう…


 確証はないが…


「もういいや…テメェをぶち殺してその後に国を滅茶苦茶にすれば…クソ、勇者の絶望する顔が見たかったなぁ!!」


 クイーンは国を滅茶苦茶にして、俺を絶望させたかったのだろう…

 でも俺はそれを防ぐために過去に来たんだ。

 むしろ俺が何人も苦しんだのだ…それだけ綿密に作戦を練っていたのだろう…


 敵ながら尊敬に値する。

 その力を世界の平和の為に使ってくれればきっと世界は簡単に平和になってくれただろうに…


「イザナギよ」

 彼女は両手でシリウス王国国宝の銃イザナギを構え、独り言をブツブツ言いながらも、魔力を貯めていたようだ。


-あの構えはかつて邪竜達を召喚した…


「あはははは。邪竜が3体もここに召喚されれば、あんたは太刀打ちできないでしょう?」


 そう言ってサキュバスクイーンは以前邪竜を召喚したように、両手にイザナギを持ち魔力弾を放った。


「ギィィィィヤァァァァ」

 そこにはクイーンの望んだとおり、ドラゴンが姿を現わす。


-けど残念だったな…その邪竜はもう…


 邪竜から元通りの白銀の体に戻った竜達がその場に出現する。更には竜達と共に、くアルドラさえも出現した。


「よう小娘。この子達をよくもいたぶってくれたな?」

 アルドラ達は現れるなり、サキュバスクイーンの分身を次々と攻撃していった。


「勇者アルタイルよ。雑魚は任せて、本体を頼むぞ!!」

 アルドラは大きく頼もしい声で言った。


 味方にすればここまで頼もしい存在もいないだろう。


 あっと言う間にサキュバスクイーンの分身体を竜達はなぎ倒していく。



「はぁ?何で邪竜の呪いが解けているのよ?クソクソクソクソ」


 サキュバスクイーンは慌てている。全てが予想外なのだろう。


「クソ、魔王城の魔物達を召喚するしか…」


 そう言って、魔王城の魔物達を召喚しようとした。しかし現れたのはボロボロになったピエロの格好をした人間だけだった…


「は?クラウンがボコボコになっている…なんで…」



「なんで?って顔をしているなぁ…クイーン。お前の計画で残っているのは、お前だけだよ。」

 俺はアマテラスとツクヨミを構える。


「チクショウ。私が長い年月掛けたのに、こいつらに勝てないなんて…」

 サキュバスクイーンは悔しそうな表情をしていた。


-いやお前は俺達を何人も苦しめたさ。俺が未来から来なければ、国を滅ぼしていた。


「本来はインキュバスになった勇者の体で使うつもりだったが…やむをえない。」

 クイーンは分身体の一体に左手のイザナミを構えて撃ち込む。


-憑依の銃…イザナミ…でもどうして自分自身に憑依をするんだ?


「おいでませ…魔王スペルビア様!!」

 サキュバスの体はボコボコと肉体を変化させていく。


 女性らしい体は筋骨隆々の男性の体に変化していく。


 かつて俺達が倒した最悪の魔王…

 色白の鋭い目付き…銀色の長髪をした色白の魔物…


「魔王スペルビア…」

 俺はかつて倒した魔王がその場に現れた事に少し驚く。完全に倒したはずだったのに…


-イザナミにスペルビアが憑依して再臨出来るように細工をしていたのか?


 本当に最後の最後に俺が初めて見る光景を披露してくれた。

 クイーンはどこまでも用意周到な敵だった。


-恐らく魔王スペルビアが俺達に負ける前提で計画をしていたのだろう。


 だからこそスペルビアを再臨出来るように、入念な準備をしていたのだ。


 きっと魔王スペルビアが世界を支配できない時のサブプランとして、内密に計画をしていた。



「ルクスリアよ…どうして我がここに…?」

 スペルビアは状況を理解できていないのか、近くのクイーンに現状を聞いた。


「スペルビア様…貴方を勇者の体で蘇生させようとしていましたが、計画が邪魔されました。申し訳ございません。」


「いや、良い。お主が儂を呼んだのはあそこにおる奴らを殺す為じゃろう?それに我が時間と空間を操る力を得ている事を感謝するぞ。」


 魔王スペルビアは焦燥しているクイーンに微笑みかけ、彼女の苦労をねぎらう。


「では行くか。」

 スペルビアは右手の指をポキリと鳴らす。


 スペルビアはいきなり俺の真後ろに出現した。

「死ね。」


 スペルビアは左手を俺にかざす。


 が、俺はいつの間にかアルドラに助けられていた。


「ううむ…厄介じゃの…あいつ。」

 アルドラの右手は消滅していた。


 魔王スペルビアの能力は『消滅』。それだけで厄介だったのに、更に空間と時間を操る力を得てしまった…


「アルドラ…少し時間を稼げるか?」


 俺はアルドラにお願いをした。


「シエントバレット」


 俺は分身体を作る。それと同時に俺は右手にツクヨミ、左手にアマテラスを構える。


 その間も魔王スペルビアは空間移動により、俺の背後に近付き『消滅』の力で攻撃してくる。


 しかしこちらにはアルドラがいる。消滅の力を中和する為に、動きながら時間魔法を使ってくれている。


「ドス・バレット」


 俺は魔王を倒すべく、アルドラに乗り攻撃を避け続け次々と俺に有利な空間を作っていく。


 しかしアルドラは俺を庇いながら移動していくため次々とスペルビアにより体を消滅させられていく。


 俺の力も少し得たスペルビアの『消滅』の力はとてつもなく強く、次第にアルドラはボロボロになっていく。


 数分も経たないうちにアルドラにも限界が近づいている様に見えた。


「アルドラ、もういいありがとう。降ろしてくれ。」




 俺はアルドラから降りる。それと同時に魔王スペルビアは少しニヤリと笑った。


「どうした勇者アルタイルよ?鬼ごっこはもうおしまいか?」


 そうしてスペルビアは右手の鋭い爪で空を切る。それと同時に俺の分身体は消え去った。


「次はお前だ。どう殺してやろうか?あはははは。」


 スペルビアは強い。だけどもう俺は準備を終えた。


「アルドラ…最後に願いを一つ聴いてくれないか?」


 アルドラは俺に頼まれた事でやる気を見せる。


「なんじゃ?友よ。願いを何でも聞こうぞ!!」


 アルドラはとてつもなく張り切っている。だけど俺がアルドラにいえる事はただ一つ


「今から他の竜を連れて必死で逃げて、俺の攻撃に巻き込まれない様に守ってくれ。」


「はぁ?え?」

 アルドラは状況が理解できないのか訳が分からなそうな顔をした。


 正直俺も無茶ぶりをしたと思って反省をしている。


「じゃあ頼むぞ!!」


「クイント・バレット」



 俺が今回作る空間はただ一つ。このキュアリスが作ってくれた空間丸ごとを俺の攻撃範囲にする。


 俺は最高速度で加速し続け、逆にアマテラスで攻撃された魔王スペルビアとサキュバスクイーンの流れる時間はどんどんと遅くなっていく。

 彼らはアマテラスに斬られ続けるうちに、無限に等しい位遅くなる。




 俺は左手に持つアマテラスでこれ以上ない程加速し続けた。前はアルドラに勝つつもりで加速し続けたが、今回は違う。


 魔王を消滅させられるだけのエネルギーを、この広大な空間を使い加速によって作り続けるのが目的だ。


 強大な相手ならば、封印してもいつか封印を解いてしまう可能性がある。

 ならば封印を解いても一般人でも勝てるように、無限に相手を遅くしてやればよい。


 相手を無限に遅くするついでに俺の加速したエネルギーによって消滅させられればなお良しだ。



 俺はこの無限の空間の中で時間を圧縮し続け、次第に光よりも速くなっていく。


 俺が光よりも速くなったことで、次第に見えるのは闇だけになっていく。


-光を超えた先には闇しかないのも皮肉だよな…


 きっと俺達が光として闇を消し去ったと思っても、いつか再び闇は生まれてしまうだろう。

 魔物と人は分かり合えても、それがいつまでも続くとは限らない。


 平和なんて一時的なモノかもしれない。けれどその平和を願う人の為に、俺は平和を作り続ける。


 光よりも早い俺は俺自身が光の様に輝く流星になる。

 その流星は1秒間に何本何百本と流れ続けて、その流星の光が発せられる頃には収束して広大な大きな光となる。


 その光は宇宙の超新星爆発の様に圧倒的なエネルギーを発して周りに広がった。


『ノヴァ』



 魔王よ…サキュバスクイーンよ…せめてこの無限の空間で悠久の時を過ごしてくれ。


「ス……………ペ…………ル………ビ………ア………様…」

 魔王スペルビアに手を伸ばそうとしたクイーンとその分身たちは消滅した。 

 

 魔王スペルビアももはや時間の圧縮により俺達の1秒がスペルビアにとって何万年も長いものとなってしまった。


「これで終わりか…長いようで短かったな…」

 俺はアマテラスをしまう。

 俺の勝利だ。




「ククククク。隙が出来るのを待っておったぞ」

 魔王スペルビアは両手にイザナミを持っていた。つまり俺に憑依をしようとしていた。 


「貴様の力の予想はしていた。だから我は時間の力を用いて貴様が油断する時を待っていた。」


「さぁ、我の依り代になるが良い。」


 魔王スペルビアは俺に憑依をする。つまりこれを受ければ、俺は魔王に乗っ取られてしまう。


ドン


 銃声が響き、魔王の撃った憑依の弾は俺を目掛けて向かって来た。


「カースドバレット」


 俺の目の前にはカースドの姿があった。恐らく俺の身代わりになり、スペルビアに憑依されてしまった。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁ…痛い。痛い痛い。」

 カースドは苦しみだした。いや……カースドではない…魔王スペルビアか…


「痛い痛い痛いいやだあぁぁぁ。」


 カースドに憑依したスペルビアは死ぬほどの苦痛を受けている。


 カースドは邪竜3体分の呪いを自ら引き受けていた。その呪いと自らの呪いにより、もはや立つのも苦しい位だったはずだ。


 つまり魔王はその姿に憑依した事で、彼の苦しみを死ぬまで味わう事になってしまった。


「嫌だ。死にたい。殺してくれぇ!!」


 これから魔王スペルビアは死ぬ事がない。封印の中で永遠に苦しみ続けるだろう。


 それが魔王スペルビアの本当の最後だった。

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