<番外編>実は私は…
プロキオン王視点で物語が進みます。
儂の名前はプロキオン王。
シリウス王国の王様をしておる。
とは言え、最初から王様ではない。計算高い頭脳を使って女性を口説いていたら、いつの間にか婿養子として王になっていた男じゃ。
つまり我が妻がシリウス王国の正当な王位継承者!!
の筈が、儂に仕事を任せて今は世界中を気ままに旅している。
最後に会ったのはデネブの葬式の日じゃったのぉ…
本当に彼女は女王としての意識が足りておらぬ。
旅に出る時の一言も「私今まで自由が無かったから、自由に生きてみたいの」じゃと…
いやぁ。儂の方が威厳がある(顔が怖い)とは言え、自分の国をないがしろにするなと言いたい。
ましてや国の危機らしいと言うのに…
「プロキオン王よ…お昼は何になされますか?」
セバスチャンが儂に聞く。
「とりあえずチョコレートと飴玉を沢山持ってきて。」
「御意。」
そう言ってセバスチャンは去って行った。
儂は今謁見の間で椅子に座っておる。マジで城から衛兵が消えてヤバい。
気晴らしに出歩けず、城にこもりっきりじゃ…
仕事が多いけど、何からしたら良いか分からないから、何もしておらん。
コンコン
謁見の間の扉をノックする音が聞こえる。誰かが来たようじゃ。
「お父様…入ってよろしいでしょうか?」
我が愛娘ベガの声が聞こえた。
「構わん。構わん。好きにせよ。」
謁見の間の扉が開き、ベガと可憐な少女がその場に現れる。
「おお、かわいい子じゃのう。友達か?」
儂はベガに聞く。
ベガは微笑みながらうなづく。
その可憐な少女は少し恥ずかしそうにしながらベガの背中のドレスをつまんでいる。
「はい。この子をお父様に紹介したくて…本日はまいりました。」
満面の笑みで、ベガは儂に笑いかける。
「おぉ。近う寄れ。ほっほっほ。」
こんな可愛い子達が儂の元によって来るなんて、テンションアゲアゲじゃ。
ベガと可憐な少女が一歩、また一歩と近付いて来る。それはもう満面の笑みで。
-はぁ…もったいないのぅ…
一歩踏み出したその時だった。
「いぎゃァァァっぁぁ」
ベガと少女は何か苦しみ始めた。
「だ…大丈夫か?」
儂は心配した。何故なら今この場の空間は…
「熱い、熱いぃぃっぃぃ…」
ベガと少女は苦しみ始めていた。
「プロキオン王よ…チョコとアメ玉をお持ちしました。」
セバスチャンがちょうど良いタイミングでお菓子を持ってきた。
「ありがとうセバスよ…」
儂はお菓子を食べながら、のんびりとその光景を眺めていた。
「お父様…酷いですわ…私に何の恨みがあって…」
ベガは半泣きになりながら儂に言った。
とは言っても、魔物に対して働く結界張って何が悪いの?って思うんじゃけど…
「恨み…恨みねぇ…お前が愛娘に成り代わっている事に恨みがないとでも?」
「は?」
ベガは焦った様な顔をした。そして一歩後ろに引こうとした。しかし
「いぎゃァァァァぁ」
ベガの後ろも浄化の結界があったようじゃった。出来たてほやほやの
詠唱無しには浄化の結界は張れない…
でもね…空間移動で結界そのものを動かしてくれば、簡単に結界もここに持って来れるよね?
「はぃ。キュアリスちゃん。」
儂は褒美にキュアリスちゃんにチョコレートと飴玉を沢山あげる。
透明化が解け、キュアリスちゃんは姿を現わす。
「おう。大儀であるぞ。」
キュアリスちゃんはそう言って、チョコレートをほおばる。
まったく…どっちが王様なんだか?誰だよ、こんな無垢な子にクソみたいな教育した奴?
「お父様…私が偽物だなんて酷いですわ…」
「テメェの正体分かっておるんじゃよ。サキュバスクイーンめ。」
パチン
その合図とともに謁見の間の仕掛けが動く。
今現在、この空間で安全な場所は玉座の近くのみ…それ以外は…
可憐な少女は後ろに引く。
-後ろに逃げて良いのかのぅ?
少女の足が地面に着いた瞬間、地面から針が無数に少女を突き刺す。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
少女は痛そうにしていた。そして人間の姿でいられなくなったのか、サキュバスの姿に戻る。
「クソ…地面は危険か…」
ベガの偽物は翼を生やし、空を飛ぼうとしたが…
「ほれ…」
キュアリスちゃんの杖の一振りと共に、空中に飛ぼうとしたサキュバスは地面に思いきり突進した。
キュアリスちゃんは飛ぼうとする生き物の空間を地面に置き換えて、生き物を地面に激突させて遊ぶのが好きだそうだ。
-本当に誰だよ…こんなクソな教育した奴?
ガキン
地面に激突したベガの偽物の元に大きな鉄球が落ちて来る。
現在謁見の間には、トラップマスターの儂が仕掛けた罠のスイッチが数千個くらいあるからの…
マジで暇だったから仕掛けた。なんかの拍子で誤作動しないか不安になっていた。
-今日1日で罠を無くすぞぉ
「うわ…痛そう…」
多分100キロくらいあるんだよ…あれ
「クソがぁぁぁぁ…」
サキュバスクイーンは大変ご立腹の様だった。
彼女は我が国の秘宝『イザナミ』『イザナギ』を取り出した。
「テメェら木っ端みじんにしてやるよ。」
ベガの偽物は、我が娘に似つかわしくない汚い言葉を吐いた…
それと同時に彼女の体は青色の…サキュバスの体に変わっていく。
そんな汚い言葉を言うのは、デネブだけで十分なのに…お父さんショック…
イザナギの銃口から物凄いアブなそうな魔力を感じる。
うんんん…ピンチ…ヤバいね…怒らせ過ぎた。
「死ねぇぇ、あぁぁぁ」
イザナギから魔力弾を放つとともに、儂らのいる場所目掛けて大きな魔力が物凄い勢いで近付いて来る。
「はい、残念でしたぁ…」
儂は勝ち誇った。サキュバスの放った魔力弾は彼女とその手下のサキュバスに跳ね返っていく。
-空間操作の能力者のキュアリスちゃんがいたはずなのに…
本当に怒りって我を忘れさせるから怖いね。
空間操作の力で無事渾身の一撃は彼女達自身が受ける。その瞬間、手下のサキュバスは消え去った。
そしてボロボロになりながらも、クイーンはまだご存命の様だった。
「許さない。許さないからなぁ。」
「キュアリスちゃん。お願いして良い?」
儂はキュアリスちゃんに生チョコを渡す。その瞬間目を輝かせ
「空間魔法奥義・ブラックホール」
キュアリスちゃんが、その魔法を詠唱するとともにサキュバスクイーンは、多分なんか異空間に飛んで行った。
ていうか、こんな魔法を詠唱無しで唱えられるとか規格外過ぎて教育した奴は本当に誰かと問い正したい。
まぁ役に立ったから、良いか。
「万事解決。後は全てアルタイル君に任せるかね。」
儂はセバスチャンの方を向く。
「紅茶とケーキを持ってきてくれるかな?」
セバスチャンは笑顔でうなづいた。
「あと沢山のお菓子と契約書もね。」
儂は技術や能力ある者には、年齢関係なく褒美を与え雇うようにしておる。
年功序列?そんなもん、国を腐らせるだけじゃからの。
能力ある者がやる気を無くす事自体、国の損失じゃからの。
キュアリスちゃんはこの国の未来を担うべき若者じゃからね…
その為に、まず人格補正からかなぁ…
やる事はまだ沢山ある。
でもその未来への道を閉ざさぬよう、アルタイルよ頼むぞ。




