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何を言っているか分からないと思うが『俺の婚約者』が『俺』に寝取られた  作者: 社畜マー
『俺の婚約者』が『俺』に寝取られた。
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[番外編]乙女は闇の中で蠢く

 番外編ですがヴァルゴ視点で本編の物語が進みます。


 ご了承お願いします。

 アルタイルの相談が分からないまま私達は翌日アルタイルとプロキオン王に城に召集された。


 謁見の間には私、レオ、スカル、キュアリスが来ていた。ピスケは子育てで来れないようだった。


「お前達にそれぞれやって貰いたいことがある。」


 そう言って玉座に座る王の前に立ち、アルは私達に言った。


「へっへ。魔王スペルビアを倒したアルタイル様が俺達を4人も招集するとは、ワクワクするぜ。それだけの頼み事って事か?」


「あぁ。任務の内容はまた後程説明するが、急を要する。今回の件は王の勅令として最優先の任務として準備をして欲しい。」


 私達はアルタイルの言葉にそれぞれ相槌を打つ。


 アルタイルから各自やるべき事の書かれた手紙を渡される。この手紙は確認後、各自他の人間に見られない様に処分するように言われる。


-それだけ他に漏れてはならない作戦って事ね…


「では以上だ…しばらくバラバラになって行動を行うが、国を守る為の重要な任務だと分かって欲しい。解散前に、何か意見のある者はいるか?」


 スカルが左手を上げて、アルタイルに意見を言う許可を取る。

「そのアルタイル…」


「あぁ、重要な話があるって言っていたな…それって何だったんだ?」


-???


 アルとスカルは久しぶりに会うはずだ…

 私はこの前バーで会ったから、スカルの話も彼がアルと会っていない事も聞いていた。


 スカルも何故知っているのか困惑している。ローブ越しにこちらを見る。


 私はもちろん首を横に振って、何も言っていないと否定する素振りをした。


「その忙しいところに申し訳ないのですが…実は王都の下水道に沢山の魔物が潜んでいるようです。」


 アルタイルはその言葉を聞いた瞬間、顔色は急に変化した。なんというか一瞬だけ、凄く悲しそうな顔をした。


「あぁ、知っている。それも俺達がすぐにやるべきことだ。」


「であれば、僕の右腕を解放して下さい。俺が殲滅してきます。」


 そう、スカルの腕はこういう時に便利だ。大量の魔物に対して絶大な効果を持つ『死』の腕。


「いや、それはダメだ!!」


 アルタイルが凄い剣幕でスカルの提案を拒否した。凄く感情的だった。普段ではありえない位…


-なんで?魔物が潜んでいるならば、一番良い方法なのに…


 アルタイルも自分自身の取り乱し方にハッとしたようだった。

「ごめんスカル……」


 少し間を開けて


「この件は俺が直々に片をつけるから、それぞれの任務を最優先に当たって欲しい…」


 凄く悲しそうに…本当に何かを隠しているように


 この時私は何かある事を悟った。アルが影を見せる程の…





 謁見の間から出た後、私は下水道に向かう。


 排水の匂いとヘドロの匂いで凄く臭い。


-まったく、久しぶりの地獄の匂いね…


 私は孤児だった…下水道に隠れて、大人達から食べ物を盗んで生きて来たことを思い出しながら奥へと歩く。



 奥の方から誰かいるような感じがする。音の反射する音で何となく分かるのだ。だがそれにたどり着く前に、アンデッドなどがうろうろしている。


 だが普通の人間のいるような雰囲気が全くなかった。



-奥にいるのは人間じゃない?知性を持った魔物?


 少しだが薪が焦げた匂い…それも沢山…


-誰かここに来ているようね…それもかなりの頻度で…


 不思議な事に住んでいるような形跡がない…


 ネズミや蝙蝠を食べた後がないからだ…もちろんパンとか残らないモノを食べている可能性があるが、お腹を壊して吐いたり、下痢の後がない…


 そもそも下水道周辺に浮浪者が一人もいない時点で少しおかしい…


 身寄りのない人は人眼のつかない場所にコロニーなどを形成して、固まって生活している事があるからだ…


-まさかとは思うけれど…ここに住んでた人達は…



 先程のアルの様子…そしてここまでたどり着くのに一人もいなかった事…


 悪い予感は何となくしていた。だってアルが取り乱すくらいだから…



「助けてぇ…嫌ぁぁぁ。痛い痛い痛い…」


 奥から女性の声が聞こえる…襲われているようだった。


 ほのかに明かりが見えて来た。


-あぁ、そう言う事…


 男たちに下水道に連れて来られて、おもちゃにされ最後はゴミの様に捨てられる…そんな光景…


-何でこんな匂いのキツイ所でやるのかしら…


 せめて路地裏でやる事やって、下水道で捨てれば良いのに…


-見られたくない、何かでも隠すつもりかしら…


 私はハイド&シークで透明になっていた。見つからない様にそっと歩く。



-街の娘ね…助けてあげないと…


 助けようとしたが、どうやら遅かったようだ。



「あぁぁぁぁぁぁ…」

 女性は断末魔の様な声を最後にした。明かりの中で見た光景…

 女性は徐々に青い肌に変わっていき、頭から角、背中から羽が生えて来た。


-魔物への転身…相手の男は魔物?でもあの姿は…


 女性を襲っていたのは全裸の衛兵たちだ…ニヤニヤと笑いながら楽しんでいる。だがその中にはインキュバスも混じっていた


-インキュバス…あぁ、そう言う事か…


 アルタイルが悲しそうな顔をした理由…


-下水道にいる魔物が、元は街の人やお城の兵士だったのね…



 優しいアルタイル…スカルがアルタイルに提案した事を拒否した理由…


-アルタイル自身が魔物となった街の人を殺す為…スカルに罪を背負わせない為…


 先程のアルタイルの悲しそうな表情…

 既に沢山の街の人達を殺したかの様な顔だった…


 昨日以来、アルタイルは別人のように少し影を見せるようになった…

 まるでバーにいた一瞬の間に、別人に変わったかのような違和感…


-何か一瞬で辛いことを味わったかの様に…例えば別次元にいたかの様に…




-ねぇ、アルタイル…貴方…


 私はナイフを持ち容赦なく衛兵とインキュバスの首を斬る。


 ハイド&シークの効果が消える。私は急に衛兵たちの前に出現する。それを見たサキュバスたちは驚いた様子だ。


「クソ、敵だ。殺せ!!」


その場にいた魔物達と、更に奥にいた魔物は警戒態勢に入り、武器を構える。



-何でも一人で抱え込み過ぎなのよ…


 私は前に踏み寄りサキュバスの首も一瞬で落とす。


ドンッ


 銃声が響く。


ドンッ

ドンッ

ドンッ


 至る所から私に向かって銃が放たれた。


「へへ、やったか?」


 暗闇からどんどんと魔物が出て来る。衛兵、インキュバス、サキュバス、それにアンデッドも…


「効かないわよ、そんな攻撃…」


 私は私から伸びた影を盾の様に使って攻撃を防いでいた。私の影は実体を持つから…



-私が貴方の変化に気付かないと思ったの?誤魔化せると思ったの?


 私は許せなかった。アルタイルが一人だけで闇を背負おうとするのが…


 こんな下衆に対しても殺すのに罪の意識を持ち、彼だけが汚れようとしているのが許せなかった。



-こんな私にも気を遣うなんてね…


 私にも言って欲しかった。元暗殺部隊の人間として沢山人を殺してきた私に…


 こんな汚れた私にも、これ以上汚させないとするアルタイルが愛おしいと同時に許せなかった。


-少しでも良かった。私にも罪を背負わせて欲しかった…だって私は貴方と違って闇の住人だったから…


 もう私は汚れる事はないから…



-ねぇ、アルタイル?今の貴方は未来から来たのでしょう?


 私は以前のアルタイルの姿をしたインキュバスの傷と、アルタイルの傷が同じ位置にあった事に気付いていた。


 更にインキュバスがアルタイルのお腹を貫いた時から、不思議とインキュバスにも傷が出来ていた事に気付いていた…


 そしてバーでの一件での急激な変わりよう…



 きっと過去にこの下水道で沢山の人間を殺した。だから闇を抱えた…


-そしてそれ以上に辛いことがこれから起ころうとしているのね…




 貴方が一人で罪を背負う事は絶対に許さない。


 あなたが相談してくれなくても、私は貴方が一人で背負おうとする罪は背負う。


「ハイドラ」


 私から伸びた影は、普段の蛇ではなく竜の様に荒々しく敵へと巻きつき、動けなくする。


 私の影は闇が多ければ、それだけ攻撃範囲も広く、強力なモノになる…


 一瞬にして影は、バケモノの様に周りの人間の首を喰らいつくす。


 影に喰われた魔物は闇の中に溶けていく。



-例え元人間だとしても、何人殺しても私の心は全く痛まない…


 だって私はこれ以上汚れられない位、汚れている事を知っているから。



-こんな汚れた私でも、手を…光を差し伸べてくれた貴方…


 あなたが光であり続ける限り、私は貴方の影として…



「ひょひょひょひょひょ…まさかこんなべっぴんさんが、自ら来てくれるとはねぇ…」

 宝石をジャラジャラと付けた派手な格好のアンデッドが、城の方角の奥の方から現れる。


 骸骨がそのまま派手な格好をした風貌。だがアンデッドの中でも上位であろうと言う、禍々しさが見ただけで分かった。


 アンデッドの王、アンデッドロードであろう…


 パチンッ


 彼が指を鳴らすと大量のアンデッドが下水の中から現れる。


「君の様な人間が、絶望に打ちひしがれながらアンデッドになるのが、私は楽しみでねぇ…」


 派手な格好のアンデッドロードが笑うと、周りのアンデッドもケタケタと中身のない口の骨を揺らして笑う。



「貴方、女心を全く分かっていないでしょ?私は今苛立っているのよ?」


 勇者アルタイルの光を曇らせるモノは振り払う…


 彼の手は絶対に汚させない。汚れるのはワタシだけで良い…


 私は貴方の影なのだから…

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