終わりの始まり②
「サキュバス・クイーンである私に勝てると思っているの?」
そう言って上空に飛ぶ。
俺の偽物だったインキュバスも翼を使って上空に飛ぶ。
ダンッ
銃声が響いた。サキュバス・クイーンは両手に美しく輝く銀色の銃を構えていた。
-あの2丁の銃はまさか…
「セロ・バレット」
俺の偽物はクイーンの動きを遅くしようとツクヨミで弾を放つ。
しかしクイーンは右手の銃で弾を撃ち、銃弾を打ち消した。
「ツクヨミでの攻撃なんて無意味よ!!キャハハ。」
クイーンはそう笑いながら、俺の偽物など眼中にないかの様に上空を目指して飛んでいく。
両者物凄い速さで上空で戦う。サキュバスは両手に銃を持ち銃弾を放つ。
アマテラスでインキュバスが斬りつけるのを左手の銃でガードしている。
斬られたにも関わらず、銃は美しい銀色のままだった。
絶対に傷がつかない銃…
-やはり武器はベガのモノだ…
『イザナミ』『イザナギ』と言うシリウス王国の国宝。
俺はただただ上空での戦いを眺めている。
俺の偽物は怒ったように
「何をやっているカス。急いでこいつを倒さないと…」
俺に向かって怒鳴った瞬間、隙を突いたサキュバスの銃弾がインキュバスの左翼を撃ち抜く。
銃弾が当たった瞬間、魔力による爆発を起こす。これが『イザナギ』の力。
当たった対象に魔力を爆発させることが出来る。つまり超小型の大砲のような武器。
-そこに空間操作の力が加わると…
インキュバスの左の翼が綺麗な円を描いたように穴が開いた。
-今イザナミを使われたらマズイ…
『イザナミ』は銃弾を当てた相手の体に憑依出来る。つまり体を乗っ取れるのだ…
サキュバスは左手のイザナミを構える。
インキュバスもそれに当たるまいと距離を取る。だが左の翼に穴が開いているのと、飛ぶのに慣れていないせいかバランスを崩す。
イザナミで撃つのを躊躇った。だがイザナギで再びバランスを崩したインキュバスの右の羽を目掛けて撃つ。
イザナギでの弾は右の羽に着弾すると爆発し、彼の両翼は飛ぶのがギリギリの状態になる。
うまく飛ぶことが出来ず、俺の偽物は体勢を崩し、空から落ちていく。
上空から落下する偽物を助けようと俺は近付いていき、上空で彼をキャッチする。
「違う…俺を助けるんじゃなく、一刻も早くあいつを殺せ!!」
「は?」
何を言っているのか分からなかった。こいつを助けてサキュバスを早く倒した方が良いだろう?
そして俺達は城の庭に落下した。クイーンは右手のイザナギで城の庭目掛けて銃弾を放ち、爆発させて別の空間を開いた。
ダンッ
ダンッ
ダンッ
何もない空間のいたるところに、遊ぶように適当に弾丸を放っていた。
-何か意図でもあるのか?
その後両手の銃をクルクルと回して遊びながら、上空を目指して俺達から逃げて行く。
俺は偽物を地面に立たせ、逃げて行くクイーンの姿を見る。
-まるで時間を稼ぐみたいな…
眺める俺の姿とは対照的に、俺の偽物は焦っているようだった。
「クソッ」
インキュバスはアマテラスの時空操作を使ってサキュバスの元に行こうとする。
だがどこから湧いて出たのか急に庭に大量のサキュバスとインキュバスたちが出現していた。
-いや右手の空間操作で、銃弾を放った場所からインキュバスを出現させているのか…
淫魔達は俺の偽物に、彼が空間操作を使う暇が出来ないよう、ひたすら特攻を続ける。
淫魔らは自分達が死ぬ事などお構いなしに、ただひたすら偽物に攻撃を続けていた。
更に上空にはサキュバス・クイーンの元に何百もの大量の淫魔達が集い始めている。
俺達をクイーンに近づけさせない為の、淫魔の壁が出来上がっていた。
-まるで彼女に近づけさせない為に
俺達はクイーンに近付く為にそれを討伐し続ける。
-アマテラスで空間操作さえ出来れば、淫魔の壁なんてどうって事ない…
少しでも淫魔達の攻撃の手が止まれば…
お構い無しに淫魔達は無限に湧き続けていた為、俺達は彼女に近付けなかった。
「そろそろ良さげな高さね!!」
サキュバスははるか上空で『イザナギ』を両手に持ち、それを構える。
「空間を裂け、アマテラス」
淫魔達の攻撃の間に隙を突いて俺の偽物はクイーンの元に瞬間移動する。
が遅かった…
イザナギを構えたクイーンは俺を待つことなく、銃弾を地上に放つ。
「開け地獄の扉よ!!」
空中でイザナギの弾が爆発する。それと同時に大きな空間が発生する。
右手の空間操作…左手の時間操作
両手を使う事で次元の操作をすることが出来る。つまりこの世界に現存する、好きなモノを呼び出せるのだ。
つまり今上空に出来ている大きな空間は、時空間を操作したことによるひずみだった。
空間から何かが飛び出してくる。
-あれは…まさか…
そこから邪竜が1匹ずつ現れ、合計3体が出現した。
-あれはペテルギウス山脈の邪竜達…
邪竜が出現し終わると、空間は消え去った。これにより邪竜は元いた場所に帰られなくなる。
『死』を振りまく邪竜は混乱しているようだった。
何が起こっているか分からない邪竜達は、そのまま街を目指して飛んで行った。




