終わりの始まり
俺はメイドを連れて牢獄に戻る。
「おぉアルよ。待ちわびておったぞ。」
キュアリスはにっこりと笑顔で微笑む。太陽の様な屈託ない笑みは今の俺には眩しすぎる。
「あぁ…ありがとう。」
俺の様子にいち早くヴァルゴは気付いたようだ…まぁ服が血塗れだから、どうあっても気づくんだが…
「それ…何があったの?」
心配そうにヴァルゴは聞く。
「何もなかったよ…たださっきのメイドさん達はこれだけしか助けられなかった…」
破けた服や傷はツクヨミで治した。それでも心の傷までは治す事は出来ない…
「ヴァルゴ、レオ、スカル、キュアリスお前達の力を貸して欲しい…」
俺は覚悟を決めて4人に話しかけた。
「今からベガの偽物たちと戦いに行く。」
時間は刻一刻を争う…
これ以上街の人達を犠牲にしない為に…
最初からこの4人を連れて牢獄の外へ行くべきだった…
-俺の偽物…
そう…インキュバスとサキュバスが大量にいた事で、もしベガの正体がサキュバスだったらと思うようになる…
-俺の偽物はインキュバスになっている可能性がある…
この前のインキュバスのように…
少しずつだが、俺の中でバラバラで謎だったパズルのピースが埋まっていく。
-俺の予感が正しければ…
俺達は牢獄から出て地上に上がっていた。誰もいなくなった城の中を無言で歩く。
城の従者たちを俺達が四方から守り、街を目指して歩いていた。
そこに上空を飛ぶ2つの影があった。その影の一つは俺達を見るとこちらに降りて来た。
「よぉ!!」
そこにはこの前の俺の偽物と同じ姿のインキュバスが飛んで来た…
だが以前と違って、両翼はしっかりと生えていた。
「下がって…キュアリス」
俺は従者たちをキュアリスの空間転移で街に移動してもらおうとする。
「お前のするべき事はしたのか?」
そう言ってインキュバスは俺に向かってアマテラスで斬りかかりに来た。
キンッ
俺はアマテラスでそれを受ける。
「血塗れじゃねぇか?さぞかし頑張ったんだろうなぁ?」
憎々し気にインキュバスは俺に言う。
「しっかりと逃がさねぇと、お前ら死ぬぜぇ!!」
インキュバスは一方的にしゃべってくる。正直うるさい…
こうしながら俺達は刀での斬り合いを続ける。時間を稼ぐ為に…
「では達者での!!」
そう言ってキュアリスは城の従者を連れて空間転移した。
この場にはヴァルゴ、レオ、スカルが残る。
「キィィィィィィィィ」
超音波の様な何かに呼びかけるような大きく耳障りな音が城の屋上から聞こえた。
「ディエス・バレット」
スカルの右腕を元に戻す…とは言っても、空間操作の力を持つならば無意味だが…
-つまり俺はアイツの右腕を斬り落とすか、あいつ自身を『消滅』させれば勝ちだ。
『消滅』は空間操作や結界では防げない。防御不可の絶対攻撃…
「スカルとかこの場では無意味だろ」
インキュバスが溜息を吐いた。
レオとヴァルゴは構えていた。インキュバスと俺達は両者睨み合う。
その時だった。街の方から爆発音が聞こえて来た。
「なっ」
俺達はその爆発音に驚く。だが次々と爆発音が聞こえる。あらかじめ街に仕掛けられていたようだった。
「さぁ復讐の時よ。皆の者存分に暴れまわりなさい!!」
屋上の人間が大きな声で叫んだ。まるで心の中から聞こえてくるような…
憎しみが込められたような声色だった。
「この時が来てしまったか…」
インキュバスは溜息を吐いた。
「俺を急いで倒さねば、街は大変な事になるぞ!!」
インキュバスは教えてくれるかの様にそう言って襲いかかって来た。
「ヴァルゴ」
アマテラスで空間を切り裂き、ヴァルゴの影魔法ハイドラで敵を拘束しようとする。
-かわされるか?
相手が俺だとすれば、このパターンは分かっているはずだ…つまりかわされる
と思ったが、インキュバスはその拘束をあっさりと受ける。
そこにレオのかぎ爪での渾身の一撃が加わり、インキュバスはその場に倒れた。
「こいつあっけねぇな…つまらねぇ…」
-倒せたのか?少し不安だが構っている余裕はない…
「とどめ、さしますか?」
スカルは自分の右手を見て、俺に同意を求める。
俺は少し迷ったが…
「いや、もし起きあがってもこのレベルの雑魚なら大丈夫だ。」
ヴァルゴは少し驚いたようにこちらを見たが、何も言わなかった。
「それよりレオ、ヴァルゴ、スカルは街中を頼む」
-俺は…
恐らく城の屋上にいるであろう、ベガの偽物を倒しに行く。
俺は空間を切り裂き屋上に移動する。
「あらぁ?貴方は…」
ニタリと笑いながらベガの姿で俺に話しかける。
「ベガなのか?」
偽物だと思っていた…だがサキュバスとなったベガ本人の可能性もあった。
「えぇそうです。私はベガです」
その後少し悲しげな表情をして
「インキュバスに犯され…どうして助けてくれなかったの?アルタイル?」
両手の指を組み、顔を右側に少し傾けて悲し気に俺を責める。
-やめてくれ…
「に、してもあのカスが簡単にやられるとは…あいつが偽物の勇者だったか…」
「クソが、失敗した。」
憎々し気にベガは呟く。
その後急に笑顔になり
「ねぇアル…あなたも淫魔になりましょ?それでこの国でずっと一緒にいましょ?」
甘い誘惑…ベガとならばと思ってしまう…
「それはこの国の人々を支配してまでするべきことか?」
危害を加えないなら正直俺は構わなかった…
でも他に危害をまき散らす…そんな存在は許せなかった…
「あなた達が魔物を殺して武器にして支配するのと変わらないでしょ?」
当たり前のようにベガは言う。
「違う…俺達は世界を平和にするために…」
「違わないわ…それは貴方たち人間の理由であって、私たちには関係ない…他の生物も貴方達は飼育して、殺して、食べるでしょ?」
「それと変わらないわ。」
そうやってベガと会話をしている最中だった。
「それ以上そいつの話を聞くな!!」
突如ベガの後ろにインキュバスが現れ、アマテラスで彼女を貫いた。
大きな翼を羽ばたかせインキュバスが間に割って入った。
「あら…あなたは?さっき倒されたと思っていたけど…」
口から血を流し、ベガの偽物は後ろを恨めしそうに眼を開いて聞く。
「俺がこいつら如きに倒される訳ないだろ?」
「生意気ね!!」
ベガは右手を自らの体に当てて、瞬間移動する。
-空間移動の力?ベガが何故?
「ずる賢く無ければ、何も救えないんでね!!」
ベガは溜息を吐いた。
次は左手を先程刺された部分において、傷を回復する。だが完全に傷は回復しないようだった。
-時間操作か?つまり俺と同じ力をあいつは持っている。
つまりあいつの正体は…
「私が貴方達を相手にすることになるなんてね…」
そう言ってベガの髪色はピンクに変わる。体は青白く変化していき頭には角が生え、肩には4枚の翼が生えた。
サキュバスの女王の姿…
ベガに化けていたサキュバスクイーンが正体を現した。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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