万事急す…ぎない?
「逃がしたか…まぁ良い」
白銀の巨竜は鼻息を荒くしながら呟いた。
「『時』よ戻れ」
白銀の巨竜がそう呟くと、先程スカルに消滅させられかけていた邪竜の胴体が元に戻る。
「痛かったか?すまんな?グリーン・アイズ偵察に出させて…」
「クリア・アイズ、パープルアイズ出て来て良いぞ…」
白銀の巨竜がグリーン・アイズと呼ばれる邪竜とじゃれあっていると2体の邪竜もそこに来た。
巨竜と小竜達はまるで家族みたいだった。
「さて時間よ…進んで良いぞ…」
白銀の巨竜がそう言うと、俺の時間は元通りに進むようになる。
その瞬間俺は今にも意識を失いそうなプレッシャーを感じた…
-邪竜がいつの間にか3体いるだと…
結界を張れても俺はキュアリスみたいに完璧なモノを張れるわけじゃない…
空間操作能力を持つ俺がギリギリ耐えきれるレベルの『死』だ。少しでも攻撃を受けて、空間操作が出来なくなれば俺は死ぬ。
と言うか、既に動けなくなっていた…
-意識が消えそうだ…
苦しい中俺は必死に自分が生き残る術を探ろうと考える。
-この白銀の竜には時間を操作する能力があるのか…?
時間操作があった事を俺は何となく理解していた。邪竜が一瞬で3体になったのを見て、俺は自分の時間が止められたのだと悟った。
時間操作において相手の方が何枚もうわての様だった。
つまり正攻法で逃げるのは不可能…話し合いしか手段は無さそうだ…
-こちらが一方的に攻撃したのに、話し合いなど出来るのだろうか?
俺がじゃれているドラゴン達を苦し気に見ていると、巨竜はその視線に気付いたようだった。
そしてこちらを向く。
「初めまして勇者よ。君の名はこの山にも届いている…我が名は白銀竜アルドラ。」
-敵意はない?のか?
「初めまして…俺の名はアルタイル…」
息も絶え絶えながら自己紹介をする。
「早速だが、よくも我が同胞を傷つけてくれたな?」
先程俺達が消滅させかけたグリーン・アイズと呼ばれる邪竜の方を見てから、俺に向かって睨みつける。
アルドラと呼ばれる巨竜からは睨まれるだけで冷や汗が止まらなかった。
-相手は既に怒っている。帰してはくれないだろう…
-アマテラスのあの力を使うか…いやそんな隙があるのか…
相手に時間操作の能力があるならば、アマテラスを使う暇もなく俺は死ぬ。
考えた末に今回の討伐の件に対して正直に言う事にした。
「生き物に死を運ぶ邪竜だ…俺達が討伐しなければ…」
だがアルドラは即答する。
「それはお前達が生きる為の都合だろう?私達が生きる為の都合は考えてはくれないのか?」
巨竜は溜息を吐いた。まるで俺達の討伐がただの一方的な侵略だと分かりがっかりしたようだった。
「この子達が邪竜に転身したのは最近の事だ…何故転身したか理由はさっぱり分からんがな…」
-つまり元々は普通のドラゴンだったってことか…
俺は口元に手を当てて少し考え事を始める。
「私達が貴様ら人間に何をした?この子らと共に、我らはこの山で長年静かに暮らしていたのだぞ!!」
そう、このペテルギウス山脈のドラゴン達が平和に暮らしていた事を俺達は知っていた。
本当はドラゴンなどいないのではないかと、平和過ぎて噂されるほどだった。
更には人々が窮地の際、ドラゴンが人を助けたという伝説すらあった。
俺はハッとした。
-つまり俺達はここの邪竜がただ『死』を振りまくバケモノだと決めつけていたのだ…
まるで『死』を振りまくスカルが他の人間によってバケモノだと決めつけられていたように…
「この度は本当に申し訳ない…どう詫びれば良いか…」
頭を下げて、ただ謝るしかなかった。心を込めて何回でも…
俺達はここのドラゴンたちに対してとてつもなく申し訳ない事をしたのから…
だが俺の反省した様子を見てか、アルドラはやれやれと言ったように口を開いた。
「ただ一帯の魔物を狩りつくして、エサを用意してくれたのは助かるがな。」
ふぅっとアルドラは一息ついてリラックスを始める動作をする。
-急にどうしたんだ?許してくれるのか?気を抜いて良いのか?
俺も竜の様子を見てホッと気を抜きかけた時だった。
「だが今回の件で我は人間を黙らせる事を決めたのだ。だから死ね。」
アルドラは巨大な体を持つドラゴンとは思えない程、物凄い速さで爪を振りかぶる。
油断した。一瞬で、俺は巨竜に不意を突かれて攻撃を受けそうになっていた。
-胴体真っ二つか…避けられても結界が傷付けば邪竜の力で…
完全にかわさない限りは死ぬ
-ムリだ…これ死んだ…
ツクヨミやアマテラスを使おうとするが、動作が間に合わない…
「カースド・バレット」
誰かが呟いた。
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俺はアマテラスとツクヨミを両手に構え使う準備をする。
だが何も見えなくなっていた…
-時間操作能力を誰かが使ったのか?
俺は何となくだが時間を操作しているような感覚を感じた。
-だが誰だ?時間操作能力を持つ人間なんて一握りだ…キュアリスは使えないし…
時間が経っても何も見えない。
いつの間にか俺の目の前は真っ暗になっていた。真っ黒の布が巻かれているようだ…
俺は身の危険を感じて構えを解かずにいた。
「止めとけ…そして動くな!アルドラ達からはもう逃げた…」
声だけが聞こえる。どこかで聞いた事があるような声が…
「その布を俺が良いと言うまで外すなよ。あとアマテラスとツクヨミをしまえ。」
俺は怪しいと思いつつも言われた通りにした。
もし今なら俺を殺そうとするならば、こいつはいつでも殺せているだろうから…
「率直に言う。お前の婚約者のあのベガは魔物だ!!」
-は?ベガが偽物?それはあり得ない…なぜならば俺達はずっと一緒にいるからだ。
「お前は今、『ベガが偽物?それはあり得ない…なぜなら俺達はずっと一緒にいるからだ。』と思っているだろ?」
-当てられた?偶然か?
「『当てられた?偶然か?』いや必然だ。」
「俺は全てが手遅れになるのを防ぐ為に、今ここにいる。お前が全てを失う前にな…」
謎の人物は俺にそう言った。
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